震災から5年。東北による東北の素材で作った特別な日本ワインと日本酒

2016年03月09日
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震災から5年。東北による東北の素材で作った特別な日本ワインと日本酒
Summary
1.震災から5年の節目に飲みたいワインと日本酒を全国で
2.2012年からはじまったvin de MICHINOKU
3.福島の生産者と酒屋が山形で造る日本酒

今度の金曜日、3月11日で東日本大震災から5年になる。いまもポジティヴな話ばかりとは行かないのが東北の現状だが、それでもあらゆる取り組みがなされ、未来の日本の国のあり方をさまざまな形で模索している。
例えば、このコラムのテーマであるナチュラルワインの世界では、2012年から東北に思いを馳せたプロジェクト「vin de MICHINOKU」があるし、日本酒も今年「ゴールデンスランバー」という献杯のための日本酒が生まれた。
それぞれの魅力と購入できる店、飲める店を紹介したい。

フランスの生産者との絆がきっかけ。東北6県のブドウで出来た「vin de MICHINOKU」

3月11日午後7時に日本全国で一斉に抜栓するワインがある。
「vin de MICHINOKU」。
このワインが生まれたきっかけは、仙台・上杉でビストロ&ワインショップ『BATONS』の店主・板垣卓也さんが大震災のあとの渡仏の際、訪問先の生産者・ティエリー・ピュズラ&オリヴィエ・ボノームでの会話だった。
その年、諸事情で日本に出荷しない「KO」というキュヴェを東北のために使えないかということで2012年、彼らの本来KOとなるべきワインを「東北」というワインとして提供してもらったことが始まりだった。(東北はKOされない!という意味も込めて)
そして、大阪を拠点に清澄白河や浅草橋でも展開する『フジマル醸造所』の藤丸智史さんと2011年ヴィンテージを出荷する「2014年3月に「東北」という名のワインで3.11にみんなで繋がれたらいいよね」という話となり、賛同者が集まり2014年3月11日は大阪が東北とワインで繋がる夜になった。

けれど、2015年にリリースする「東北」は無く、せっかくの企画が1年で終わってしまいそうになったとき、東北のブドウを使って本当の東北ワインを造ろうという話が浮上した。その醸造を買って出たのが、山形・タケダワイナリーの岸平典子さん。
条件は
・東北6県のぶどうを集めること
・それを健全に醸造すること
その二つ。
不安は大きかった。
無添加での醸造にこだわりたかったが、みんなの気持ちで集めたブドウを無駄にはできないという想いもあり、醸造の最終判断は岸平さんに任せた。
心配は杞憂に終わり、岸平さんは無添加で醸造。昨年、2015年3月11日に初めて東北6県のブドウのみを使ってナチュラルに醸造された「vin de MICHINOKU」がリリースされた。

今年は2ヴィンテージ目。
青森は『十和田乗馬倶楽部』の山ぶどうを『アルチェント』葛西さん、『アグレアーブル』竹川さんが、
秋田は『ワイナリーこのはな』のワイングランドを山形『ひつじや』の西塚さん、『酒屋源八』の日下部さんが、
岩手は『くずまきワイン』のマスカットベリーAを『紫波自園自醸ワイン』の佐藤さんが、
宮城は『八瀬ぶどう園』の山ぶどうを『ラトリエドゥヴィーブル』の吉田さんが、
福島は『ふくしま農家の夢ワイン』の山ソーヴィニヨンを『レガレット』の宇津木さんがそれぞれ運搬。
そして、山形からは『タケダワイナリー』と『酒井ワイナリー』のマスカットベリーA。
この東北のブドウたちを、岸平さんがナチュラルに醸造したというもの。

味わいはマスカットベリーAのニュアンスが優しく、淡い印象。
それは、岸平さん曰く2015の山形のマスカットベリーAの特徴ということらしい。さらに青森の山ブドウがかなり良い感じで味わいに出ているのだという。

ボージョレ・ヌーヴォーは同じ地域のワインを一度に沢山の人々が楽しむが、一つのワインを同じ日、同じ時間に日本中で楽しむことは画期的である。

<買える店>
宮城:BATONS、吉岡屋、藤原屋、佐藤商店/北海道:円山屋今村昇平商店/岩手:山田酒店/山形:酒屋源八/福島:古川クラ酒店、吉田酒店/東京:Dive to Wine、THE WINE STORE、ジャジャ、伊勢丹 新宿店(B2)FESTIVIN、相模屋本店、パーラー江古田/神奈川:鈴木屋酒店、エスポワしんかわ/名古屋:ペシコ/京都:エーテルヴァイン/大阪:フジマル醸造所/広島:hanawine/福岡:とどろき酒店

<飲める店>※確認の取れている店舗のみ掲載
宮城:ノート、皿然、ビストロゴトー、村田や、トキシラズ、小福、ムジカ、サンスーシイ、へそ屋、アンコール、アンセルクル、ヴィーブル、氏ノ木、のんびり酒場ニコル、イルクオーレ/北海道:佐平次、コルツ、やまくろ、かぜまち軒/青森:アルチェントロ、アグレアーブル/秋田:エノテカ・オルモ・デル・カウカソ/福島:レガレット、ジョイエ/千葉:ビストロコマ/東京:楽記、祥瑞、メリメロ、リベルタン、モンド、ユメキチ神田、クオーレフォルテ、あじる亭、二毛作、ラ・ピヨッシュ、葡呑、ビコック、ワルツ、キナッセ、オルガン、ウグイス、夜木、ル・ヴェール・ヴォレ・ア・トウキョウ/神奈川:ビーノ、天藍 祖餐/新潟:ヴァンオクターヴ/長野:クチーナにし村/愛知:とりこころ/広島:ポルコ、ウルル、堺町バル、コーダリー、SCENA/徳島:ヴィヴァン/福岡:あじさわ/熊本:コルリ/長崎:アンペキャブル

福島の想いを山形で造る日本酒

もう一つ紹介したいのは日本酒だ。
震災の津波で気仙沼市の実家が流され、山形県山形市で『六根浄』という酒販店を営みながら酒造りをしている熊谷太郎さんと、津波で蔵ごと流されただけでなく帰宅もかなわずに、山形県長井市で鈴木酒造店という蔵を営む鈴木大介という二人が出会い、震災の被害を受けた者同士が協力し、献杯するにふさわしいと思う理想の酒を力を合わせて造った。

「ゴールデンスランバ」という日本酒としては変わった名前の由来は、福島県浪江町に伝わっていた祭り、「安波祭(あんばまつり)」の文字がありました。「安らかな波」と書いて「安波(あんば)」。そこからビートルズのアビーロードB面のメドレー中の曲名「ゴールデンスランバー」の名が連想された。歌詞の内容も「かつてそこには故郷へと続く道があった かつてそこには家へと続く道があった」から始まるあたりも単なる偶然とはいえないのではないかという。
鎮魂と、残された人たちの明日への活力への一歩となることを願い、東北の皆で想いを分かち合うことができる酒。福島出身の二人が福島の米で造る献杯にふさわしい一本。
こちらも、3月11日、日本各地で飲むことができる。

<3.11献杯酒「ゴールデンスランバ」の仕様>
・原料米/福島市産「夢の香」100%仕様(契約栽培米100%)
・精米歩合/55%(造り〜純米吟醸)
・使用酵母/協会6号

<飲める店>
福島:〈福島市〉酒膳家 古燈、たすいち、楽酒味Run、会津郷土料理 楽、味乃 桃の井、味心だいのじ、しぞーかおでん・お茶の間、創彩食卓 虹のかご、藤むら、土竜、K-CIRCL、Kontonton、〈会津若松市〉時さえ忘れて、盃爛処、ゑびす亭、居酒屋舞酒、ねぼけ茶屋、會津蔵武、〈郡山市〉こふく、三代目 塩原屋 まる仙、〈いわき市〉SOBAダイニング さくらい、〈須賀川市〉北の酒膳、〈南相馬市〉串焼きアンカー、diningbar ターキー、焼鶏 炭吉、〈伊達郡国見町〉田舎屋(デンシャヤ)/宮城:〈仙台市〉伊達のいろり焼き 蔵の庄 総本店、Izakaya 雷太、和醸良酒 〇たけ、和の極 DE 一福、伊達のいろり焼き 蔵の庄 一番町本店、ワインとお酒と板前バル 魚が肴/山形:〈山形市〉お酒 丸山、MUSIC&BAR Lover Soul、御りょうり屋 伊藤、ボーノ、酒場 やっしょまかしょ、Villaggio ヴィラッジオ、第二公園 山長、酒場 ワンカップ、つきや、山形おしょうしな総本店、本町 金六、至福の楽園 和楽本店、炭火焼 干物居酒屋 やまぎし、焼肉居酒屋 獏羅(ばくら)、〈米沢市〉Dining海豚、〈酒田市〉串カツ 乙杯、〈鶴岡市〉庄内ざっこ、〈新庄市〉オキノコミチ、〈村山市〉ひつじや、〈西置賜郡白鷹町〉そばきり八寸/岩手:〈盛岡市〉Mine(ミネ)、〈一関市〉おかかの味 竹もと、居酒屋 こまつ、Casual dining うるる、〈奥州市〉味のさんま/青森:〈青森市〉菜のはな、〈弘前市〉二代目でん八、はすや/北海道:〈帯広市〉日本酒Bar 蔵粋、〈釧路市〉旬菜 天司朗/栃木:〈宇都宮市〉國酒の仕業、居酒屋 茶々丸、〈日光市〉炭火やきとり 龍馬、〈芳賀郡芳賀町〉居酒屋 助さん/埼玉:〈深谷市〉うお串や雷文、天之美禄、〈志木市〉浜の台所 越喜来や/東京:〈文京区〉鰻と地酒 稲毛屋、〈港区〉GONZO、炉ばた 魚魚炭、〈大田区〉Re 楽酒、地の酒しん、日本酒とワインのお店 ottimo、〈墨田区〉十彩(といろ)、のみくい処 かどや、〈葛飾区〉かもし処 ひょん、〈渋谷区〉umebachee、手打蕎麦ごとう、〈新宿区〉居酒屋 うまいもん、〈世田谷区〉三軒茶屋32016、JOE'S MAN 2号、〈杉並区〉酒とあて 醸す、〈練馬区〉炭火串焼 串まさ/神奈川:
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