世界最大級のカレーパンの祭典「カレーパン博覧会2016」が3月6日（日）、iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズで開催された。主催は日本カレーパン協会と、イッツ・コミュニケーションズ株式会社。
カレーパンは日本発祥！ 超定番から進化系カレーパンまで100種類以上集まる
記念すべき第1回目となる同イベントには、東急線沿線を中心としたエリアのパン屋73店舗、117種類のカレーパンが集められた。入場は無料で、入口でトレーとトングをもらい、パン屋のようにピックアップし、一人5個まで購入できる。カレーパンの袋には、赤色やオレンジ色、黄色などのシールが貼られていて、各色で価格が分かるようになっている。
100種類以上のカレーパンの中から5個を選ぶとなると、どれにしようか迷ってしまう。悩んだ挙句、変わりダネをチョイスしてみた。まん丸のフォルムが美しいのは、カレーの名店と呼ばれる「ビストロ喜楽亭」のカレーパン。
薄めの生地に、スパイスの効いたルウ（餡）がたっぷりと詰まっていて、ボリューム満点。さすがカレー屋なだけあり、ルウが本格的だ。
正方形の形をしているのは「ブーランジェリー ニコ」のカレーグラタン。上にかけられた白いクリームはグラタンソースで、デニッシュ風食パンのふんわりした生地の中にルウが入っている。油で揚げず、形も斬新で、こんな進化したカレーパンがあるとは……！
卵の黄身が見えるのは、「天馬」のとろ～り半熟卵カレー。
昨年開催されたカレーパン総選挙で、東京WEST部門2位にランクインしたのだとか。もっちりした食感の生地と、卵でマイルドになったルウがマッチしている。辛くないので、ドーナツなどのお菓子感覚で食べられる。筆者のイチオシ！
パンの周りに正方形のラスクがついているのは、「ブラウニー」のサクサクチーズカレーパン。
ザクザクした歯ごたえが楽しめ、ルウの中には、正方形にカットされたチーズが入っている。こちらも辛さは控えめで、小さい子どもでも食べられるだろう。
カレーパン博覧会に行き、「カレー」に欧風カレーやインドカレーがあって一言では表せないように、「カレーパン」にもさまざまな種類があることを知った。
カレーパンの発祥は日本。1929（昭和2）年、東京市深川区常盤町にあった「名花堂」の2代目店主・中田豊治さんが作ったという。カレーは水分が多くて焼くのが難しいため、当時人気の洋食メニューだった「カツレツ」にヒントを得て、油で揚げたそうだ。この頃は、パンを油で揚げるのはハイカラだったとも言われている。それが現在では、油で揚げずに焼いたものもあれば、楕円形ではなく丸型や正方形もある。まさに、カレーパンが進化を遂げている。カレーパンを考案した同店は、「カトレア洋菓子店」に名前を変え、現在も江東区森下で営業を続けている。
大人気過ぎてすぐに完売……。スケールアップした次回に期待！
カレーパンを目掛けて、会場には多くのファンが訪れた。11時開場の予定が10分前倒しになり、オープンからわずか30分も経たずに完売のアナウンスが流れた。
「カレーパンはお一人様5個までで、約5,500個用意していましたが、お並びいただいているお客様が予定の人数を超えたため、今からお並びいただいても、カレーパンを購入できる可能性が低く、完売のアナウンスをしました。結果的には約1,500人の方にご来場いただき、予想をはるかに上回る反響でした」と同イベントのスタッフは話す。
完売のアナウンスを聞き、会場外では「えー！」と悲鳴あげる人の姿もあった。無事にパンを購入できた人でも「10時30分から1時間並んでやっと買えましたが、お目当てのカレーパンは品切れ。でも買えただけよかったと思うことにします」（30代男性）という。
ちなみに同イベントでは、クラウドファンディングを実施していて、3,000円以上支援するとお礼としてカレーパンが必ずもらえる。「クラウドファンディングで支援していたので、パンの種類は選べないけれども、並ばずにカレーパンをゲットしました。こんな行列になるとは思っていなかったので、ラッキーでした」（20代女性）という声もあった。
日本カレーパン協会会長の佐藤絵里さんは、「カレーパンを多くの人に知ってもらいたく、今回の開催に至りました。『次回も参加したい』とパン屋さん側からもお声をいただいているので、来年の開催も検討しています」と話した。「カレーパン博覧会」は、毎年恒例のビッグイベントになりそうだ。
（取材・文／名久井梨香）
日本カレーパン協会
http://www.currypan.jp/