第七夜:工房まる 恵谷 和史さん
今回のはしご酒案内人は、広島出身の恵谷(えだに)和史さん。地元の高校を卒業後、進学を機に福岡へ。人生の半分以上を福岡で過ごし、「もう福岡から離れたくない!」と断言する福岡lover。「福岡は日本でいちばん温かい街。博多弁の女の子、最高にかわいいですよね。すぐに惚れてしまいます(笑)」。と、恵谷さんは言う。
大名にある老舗のレコードショップで約10年間、バイヤーとして働いた後、FMのパーソナリティやクラブDJ、音楽イベントの企画・制作などを手がけてきたほか、「trouville」というユニットを結成し、いろんな人たちを“繋ぐ”ことをコンセプトに、音楽を中心にフリーペーパーの制作・発行、デザインやアートなどのトークイベント、パーティなどを開催。現在は、障害者支援施設「工房まる」でアート創作の支援を行っている恵谷さんに、お気に入りのお店を案内してもらった。
昼11時から朝6時まで18時間営業の実力派居酒屋へ
この日のスタートは、天神からバスで10分ちょっと南へ下った場所にある居酒屋「文治」。街場から少し離れたエリアでありながら、わざわざ訪れるファンも多く、深夜ともなれば、人気飲食店の店主たちも訪れているという、話題の居酒屋である。
「昨年、カフェの店長をしている友人から『文治ってお店、やばいですよ』と教えてもらったんです。11時からずっと営業しているから、休日のお昼から飲みに来ることも少なくありません。日替わりのメニューには旬の魚や野菜を使った料理がズラリと並び、いつも悩んでしまいます」と、恵谷さんは言う。
▲「生マグロぶつ」(780円)。この日は長崎県産のマグロの中トロが入荷していた。
この日は、スタッフがオススメしてくれた「生マグロぶつ」からスタート。恵谷さんの地元である広島の日本酒「天寶一 千本錦」とともにいただく。口に含んだ瞬間、とろりと溶けて幸せな気分に。すっきりとした味わいの日本酒との相性も抜群だ。
カウンターのショーケースに入っていたマテ貝や、カゴに盛られた生しいたけ……調理前の食材がとても美味しそうで、思わずオーダーしてしまった。
(左)「特大マテ貝焼き」(780円)。“蒸し”も選べる。
(右)大将の実家で採れた「しいたけ」の釜揚げ(480円)。
「ここに来たら、ぜひ食べて欲しいメニューがあるんです!」と、恵谷さんがオーダーしたのがこちら。
そのメニューとは「カニカニカニ」(480円)。
この写真では見えないけれど、いちばん下に「カニ豆腐」があり、ズワイガニのほぐし身、カニ味噌がのっている、まさに“カニの三重奏”。
角皿から丸皿に移し、ぐちゃぐちゃに混ぜていただくのが恵谷さん流。
「これをアテにちびちびとお酒を飲んでいる時間は、最高に幸せです」。
文治(ブンジ)
- 電話番号
- 092-555-7820
- 営業時間
- 11:00~翌6:00
- 定休日
- 定休日 無休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
同郷の店主と意気投合! 地元・広島を感じるお好み焼きを
続いて訪れたのは、ディープなお店が集結する「三角市場」にある「童童(わらべ)」。実は、この店を恵谷さんに紹介したのは、私だった。同じ広島出身だし、音楽も好きだから、絶対に合うと思ったのだ。
「最初はお昼に一人で来てみたのですが、すぐにハマりましたね。広島のソウルフードといえばお好み焼き! 店主・遠藤さんのコテコテの広島弁も最高です」と、恵谷さんは言う。
(右)恵谷さんにとってのソウルフード「肉玉ソバ・イカ天入り」(950円)。
「童童」の店主・遠藤さんは、広島で21年、鉄板焼きの店を営んでいたという。「福岡が大好きで、心機一転、福岡に移転することにしました!」と遠藤さん。“福岡が大好きな広島人”という共通点が、ふたりの距離をグッと縮めたようだ。
(左)広島から最高級のものを取り寄せているという「広島カキ鉄板焼き」(100g 950円)。
(右)野菜たっぷり、油分少なめ。細麺が特徴の「ヤキソバ」(1玉600円+玉子100円)。
店内はカウンター12席のみ。遠藤さんを客が囲む“コの字”カウンターということもあって、初めて会った客同士も会話が弾む。遠藤さんは、博多の屋台で見知らぬ同士がすぐに打ち解け、話に花が咲くフレンドリーな雰囲気に惹かれたというが、この店もまさにそんな空気が流れていた。
▲左から、遠藤さん、偶然店に居合わせたライターI嬢、寺脇、恵谷さん
童童(ワラベ)
- 電話番号
- 092-781-3370
- 営業時間
- 11:30~14:00/17:00~22:00(金・土・祝前日は~23:00、土曜は夜のみ)
- 定休日
- 定休日 日曜
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自然派ワインのバーで〆ようと思ったけれど…
そろそろ〆ようとやってきたのは、女性店主・島さん(みんなは“島ねぇ”と呼ぶ)が昨年オープンさせた自然派ワインを揃える「ile」(フランス語で“島”のこと)へ。
「島ねぇとは、以前、島ねぇが働いていた店の頃からの仲で、昨年5月にオープンしてすぐから来ています。島ねぇがセレクトするおいしい自然派ワインが、お財布に優しい価格でいただけることも嬉しいですし、何より、島ねぇのトークが楽しくて。ここへは、夕方のオープン直後か、今日みたいに〆に来ることが多いですね」。
(左)お酒が入るとさらに面白くなる島ねぇと、それを楽しみに訪れているという恵谷さん。
(右)ワインは1杯650円〜。ボトルも揃える。
「そろそろお会計を……」
そう言いかけたとき、白髪の紳士が店に入ってきた。その顔には見覚えがあって、向かいの雑居ビルにあるスナックのマスターだった。マスターは営業の途中で、時々、1杯だけ「ile」に飲みに来る。
「店閉めたら追いかけるけん、先に行っとってよ」と、島ねぇ。
私たちは、マスターがいる「Obmek(オブネック)」へ行くことになった。
イル(ile)
- 電話番号
- 092-716-7887
- 営業時間
- 18:00~翌1:00
- 定休日
- 定休日 不定休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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最近、お気に入りのスナックで熱唱!
「ile」の向かいにある雑居ビルの5階。エレベータを降りて右へ行ったところに、マスターの店はある。
「実はココに来るのは二度目。前回も島ねぇに勧められてきました。そのときマスターから『お兄ちゃん、歌うまいね~』なんて言ってもらっちゃって。お酒も進むし、凄く楽しかったんです」。
というワケで、まずは1曲目に必ず歌うという「君は薔薇より美しい」を熱唱!
数曲歌ったところで、おもむろにマスターがギターを手に取った。
実はこちら、ただのカラオケスナックではなく、マスターが弾くギターに合わせて歌えるのだ。最初は難しいかなと思うけれど、キーも合わせてくれるし、歌っているうちにどんどん気持ち良くなってくる! これはハマるのも納得である。チャージは1人3000円。
「はしご酒の醍醐味は、オーナーや大将、店長、シェフ、偶然居合わせる他のお客様と出会い、会話ができること。個人的には静かなバーとかよりも、賑やかでワイワイしていて、初めて会った人とも気軽に話せるような感じが好きです」。
気づけばこの日も午前様。そろそろ帰ろうとしかけたとき、島ねぇが、店のお客様を連れてやってきた。今夜も長い夜になりそうだ。
Obnek(オブネック)
- 電話番号
- 092-721-4416
- 営業時間
- 19:00~24:00
- 定休日
- 定休日 不定休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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