噂のお店は、朝と夜で姿が変わる新橋の人気店
新橋駅・汐留口から歩いてすぐの“新橋駅前ビル1号館”内にある、「稲庭うどん 七蔵」。このうどん店でいただける“ローストビーフ”が絶品だと幾人もの食通が明言している。
「うどん店なのにローストビーフ?」と疑問に思うかもしれない。実はこのお店、昼間は行列必至の人気うどん店だが、夜になると、稲庭うどんはもちろん、ウニやあん肝を使った特製テリーヌ、新鮮な魚介類を使った料理などがいただける“創作料理店”に変身するのだ。その夜の営業時に、噂のローストビーフがいただける。
店主の葛西剛男さんは、プリンスホテルで板前経験のある、一流料理人。ホテルで磨かれた確かな腕と知識を持ってして作られる創作料理は、見た目も味も絶品と評判だ。
開店と同時の17時に来訪。まだ早い時間だというのに、店内はみるみるお客さんで埋まっていった。空いている席も、そのほとんどに「予約席」の札が置かれている。「1週間後の予約も埋まっている場合もあるんです。来店時には、電話予約してもらうのが確実です」(葛西さん)。
テーブルやカウンターなど、70席以上が用意された店内は、明るく清潔な印象。横の席が気にならないよう、テーブルとテーブルの間についたてがあったり、バッグが何個も入りそうな大きな物入れが置かれているなど、細やかな心配りも嬉しい。
また、質にこだわった家具からも「お客さまに快適に過ごしてもらいたい」という店主の優しさが伝わってくる。「業務用のモノではなくて、座り心地に重視した家庭用のモノを使っているんです」(葛西さん)。また、それらは常にベストの使い心地であるように、定期的にメンテナンスされているのだとか。
ローストビーフに込められた、店長の熱い思い
なぜ、うどん店なのにローストビーフをメニューの一つにしたのだろうか。「40年前の話になりますが、ホテルで働いていた時にローストビーフの持つ力に感銘を受けたんです。食べたお客さまは皆、笑顔になってすごく満足そうに帰っていくんですね。和食を専門にしていましたが、いつか自分の店を持ったら絶対にローストビーフを出すんだ、とずっと思っていました」(葛西さん)。
2005年に店舗を改造し、広くしたことをきっかけに、夜は創作料理の店とすることに変更。そこでついにローストビーフがメニューに登場することになり、晴れて長年の夢が叶った。そして今や、1テーブルにつき1枚以上は注文される、大人気メニューになっている。
そんな思い入れのあるローストビーフ、思いの分だけ手間暇もたっぷりだ。仕込みは毎朝、開店前から始まる。「まずフライパンで1時間かけて外側を焼いて、その後オーブンで6時間、じっくりと内側に火を通していきます」(葛西さん)。こうした手の込んだ仕込みを経て、できたてのローストビーフがその日の夜に振る舞われる。
いよいよ実食! 食べたことのない味わいと食感の連続に、感動が止まらない
刺しが入った赤身肉が、ソースと絡まってキラキラと輝きを放っている。すでに、「絶対おいしい」と確信が持てる美しさだ。
口に入れると、脂身がふわっととろけて、肉の甘みが一気に広がった。さらに、噛めば噛むほど、凝縮されていた肉の旨みがジュワリと溢れだしてくる。
「厳選した和牛の、いい部分だけを切り取って使用しています。柔らかさを感じてもらえるように、筋の部分は全て取り除いてしまいます」(葛西さん)。確かに、筋の歯ざわりを一切感じなかった。そのひと手間が、このとろける食感を作りだしているのだ。
さっぱりとしたオリジナルのオニオンソースが、脂身のこってり感を中和してくれて、何枚でも食べられてしまいそう。主張し過ぎず肉の旨味を引き立てているソースにも「さすが」の一言。「酸味をやわらげるため、一度沸騰させたワインなどに材料を混ぜ合わせるという、段階を分けた作り方をしています」(葛西さん)。
美しい見た目、口の中に入れた瞬間のとろける食感、甘さと旨み、相性抜群のソース……どこをとっても、至極のローストビーフだった。稲庭うどん店が提供するローストビーフ、騙されたと思って一度食べてもらいたい。今まで食べてきたローストビーフの概念を覆すような一皿に出合えるはずだ。
<メニュー>
和牛ローストビーフ 1枚 2,500円
※価格全て税込
稲庭うどん 七蔵
- 電話番号
- 03-3571-5012
- 営業時間
- <稲庭うどん>11:20~14:10 <創作料理>17:00~22:00(L.O.21:00)
- 定休日
- 定休日 土・日・祝
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。