造りたてのオリジナルビールをその場で、しかも造り手の顔を見ながら飲むことができる。それも試飲レベルではなく、ビールを引き立てる料理とともに楽しめる、それがBREWPUB(=ブリューパブ)。
米国では1990年代から人気を集め全米各地で見られるようになった店の業態だが、日本では2010年オープンの高円寺麦酒工房がその先駆けと言えるだろう。同店を運営する、株式会社麦酒企画は、高円寺を皮切りに2012年阿佐谷、2013年荻窪、2014年中野、2015年西荻窪と、クラフトビール人気と比例するようにして中央線沿線に店舗展開を続けてきた。
そして今年2月、6店舗目となる『高田馬場ビール工房』をオープン。中央線から山手線へと進出した。
高田馬場ビール工房では、同店で醸造した6種を常にメニューオン。小ロットで仕込むため、店内にずらりと並ぶタンクには完成したビールがスタンバイし、次なるビールも工房内で発酵を続けている。IPA、ホワイトなどタイプは様々、柑橘系、キャラメル風味のもの、苦みを効かせたもの、コーヒー風味など味わいも多彩だが、どれも個性が強すぎないようにしているという。
その象徴的なビールが、定番の「ブロンド」。より多くの人に飲んでもらいたいと、度数も控えめ、軽くフルーティーに仕上げたエールタイプ。クラフトビールの入門的存在だ。
そのため、ブロンドのみレシピは全店舗共通としているが、他のラインナップは各店毎に違う。また店舗毎に醸造家も違うため、提供する時期は異なり、味わいも若干違うというものも”クラフトビール”にしかない魅力だ。
グラス300ml、ボトル500ml、樽1,800mlというサイズ展開も、醸造の現場らしい幅広いスケール感で、一人でもグループでも利用しやすく、さらにボトルと樽はプラス700円、2,500円で容器を購入でき、お持ち帰りOK。このステンレス製の容器は一度購入すれば何度でも使え、テイクアウトのみの利用も可能。これぞブリューパブ! 自宅用だけでなく、ギフトやレジャーに利用する人も多いという。
ビールのお供となる料理は、ローカルでありたいという創業期からの願いから、なるべく国産品を使うようにし、将来的には自分たちの畑で育てた野菜を使うため自社農園も準備中だ。
人気のフィッシュアンドチップスは、現地イギリスのようなフリット生地ではなく、衣にパン粉を使い、サクサクっとした歯応えも楽しい軽い口当たりに。ナチョスには辛味をマイルドに仕上げた自家製のサルサソースを使うなど、ちょっとしたポイントが光る。
いずれも強すぎない味わいに仕上げてあり、また各種調味料がセルフサービスカウンターに用意されているので、自分好みの味わいに仕上げることもできる。自分の家のような使い勝手の良さで毎日通いたくなってしまう。
「お客様には日本在住の方をはじめ、旅行客の方など外国籍の方も多く、日本のクラフトビールが海外からも興味を持たれていることを強く感じます。ですが、クラフトビール人気を一過性のものにしないため、あくまでも日常に沿った飲み物としての提案を心がけています」と広報部長の坂本龍太氏。
街に根付いたブリューパブを目指しているため、土地との縁を大切にして店舗展開を続けてきた同店だが、この高田馬場もまた同様。ビール工房の醸造を統括する醸造部長、藤川貴之氏が学生時代から馴染んでいる土地だからという。それに加え、若い人にもクラフトビールに親しんでもらおうというのも、より学生の多い土地を選んだ理由のひとつ。
どの街にも1軒はあり毎日利用する“街の豆腐屋さん”、あるいは”街のパン屋さん”のように、生活に必要なインフラとして、「街のビール屋さん」として
「ビール工房」がこれからどの街へ展開していくのか、目が離せない。
(取材・文/亀山小絵子)
< メニュー>
ビール グラス400円〜
フィッシュアンドチップス ハーフ620円 フル920円
サルサ&ナチョス 560円
(価格はすべて税別)
※15:00~17:00はドリンクのみ営業
高田馬場ビール工房
- 電話番号
- 03 6457-6410
- 営業時間
- 月~金、土 ランチ:11:30~L.O.14:30 ディナー:17:00~23:30 (L.O.23:00) 日・祝 ランチ:11:30~L.O.14:30 ディナー:17:00~21:30 (L.O.21:00)
- 定休日
- 定休日 年中無休(年末年始を除く)
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。