はじめまして!
料理芸人の『クック井上。』と申します。dressingで連載【餃子で巡る世界の旅in東京】を始めることになりました!
まずは簡単に自己紹介。
41歳、芸歴17年目、『ツインクル』というお笑いコンビを組んでいます(同期は我が家・髭男爵など)。「『ぷっ』すま」(テレビ朝日)」の芸人料理対決企画で優勝した事をきっかけに、「はなまるマーケット(TBSテレビ)」や「週刊女性(主婦と生活社)」などから“最強料理芸人”と名づけていただき、気づいたときには仕事の割合がお笑い1:料理9になってしまった芸人でございます。
料理は食べるのも作るのも大好きですが、中でも一番こだわりがある料理が餃子。今までの人生で食べてきた餃子はざっと2~3万個、昨年焼いた餃子は約5,000個、行ったお店で餃子があれば必ずオーダーするので、食べた事のある餃子店・餃子の種類は数え切れません。
僕が人生で一番おいしいと思っている餃子が、我がオカンの餃子。大好きすぎて再現したものを、冷凍食品として商品化して販売した経験もあります。そんな愛してやまないオカンの餃子には、いくつか特徴があります。
・サイズ:餡をたくさん入れすぎず、一口サイズ。
・餡・中身:キャベツ・ニラなど、野菜をたっぷり使い、豚肉は野菜の5分の1以下で。混ぜ方にも工夫があって食べた時の口どけが良く、食感がエアリー。
・味・味付け:塩分は濃くなく、油分も少ないのでしつこくなくいくつでも食べられる。
・焼き方:両面焼き。カリッと焼いていてライスにもビールにも合う。
そして最大の特徴としては“懐かしい味”だという事。いや、自分のオカンの餃子なので当たり前なのですが、“懐かしい味”って“美味しい”の基準の一つだと思っていまして。で、コレまで食べてきた餃子の中で、オカンの餃子とは似ても似つかないのに、ひと口目から“懐かしい味”だと感じた餃子があるんです。
と、前置きが長くなりましたが、そろそろ旅に出かけましょう。
無類の餃子好きの僕が東京にある世界の美味しい餃子をご紹介する連載【餃子で巡る世界の旅in東京】の初回は、まず日本の餃子から。
吉祥寺の有名店 創業80年以上の老舗『いせや公園店』の絶品餃子を求める旅!
JR・京王井の頭線「吉祥寺駅」南口から徒歩5分。マルイの横にある七井橋通りへ行き、井の頭公園に向かって歩いていきます。天気の良い日なんかは、京王井の頭線の「井の頭公園駅」で降りて、公園内を通って来るのもアリです。
いや~、気持ちいい風が吹いています。
例に漏れず、色んなお店に誘惑されながら辿り着きました、『いせや公園店』。井の頭通りの入り口と隣接しています。
いせやは創業80年以上の老舗焼鳥屋で、純粋な餃子店ではありません。
でも僕はここの餃子とお店の雰囲気が昔から大好き。(どんな餃子かは後ほど)
耐震性の問題から建て替え工事が行われ、今は綺麗な建物になっています。
以前の建物は、こう言っちゃあれですが、汚くていつ崩れるかわからないボロさ・・・、完全に言い過ぎましたが、まぁ昭和風情あふれる建物でした。
でもそれが最高に良くて、1階はまるで外国の屋台で食事をしているような雰囲気、2階は広い座敷だったので、隣の席の知らないおじさんやおばさんと会話したり、外国人観光客に片言の英語でメニューを説明したり、自由な雰囲気が漂っていました。
今は以前とは違って、清潔でお洒落なお店へと生まれ変わりましたが、昔の店内をご存知の方は、その頃に思いを馳せながら飲み食いするとこれまたおつです。
説明が長くなりましたが、さっそくお邪魔してみます!
まずはビールから いせやは上京したての頃の思い出の場所
やっぱり最初は瓶ビールをオーダー。一杯目は一緒に来た人とお互いに注ぎあって、ぐびっと一気に飲み干すに限りますね! このペースで飲むとすぐひと瓶なくなっちゃうんで、料理が来るまでペースダウン♪
改装前は、春になると窓際の席から公園のサクラを鑑賞できたんです。店内にいるのにピクニック感覚が味わえて、心が裸になる感じがしました。そんな当時のことを思い出しつつ、お目当ての餃子と、昔から僕が頼んでいる定番メニューのシュウマイ、焼鳥、自家製中華ガツ、ショウガ焼きも注文。
もはや新ジャンル! 独特なのに懐かしい味がする、いせやの餃子
待つこと数分、餃子が運ばれてきました!
今から18年前に上京して、初めて食べたひと口目から“懐かしい味”と感じてからずっと通い続けている思い出の餃子ですが、紙が敷いてあったり、焼き目も普通の餃子と少し変わっていて特徴的です。これは一度揚げてから焼き目をつけているからなんですって。
僕は、これを酢7:醤油3、酢多めの酢醤油にラー油をたっぷり5周ほどかけたタレで食します。
さらに七味をラー油の上に10振りがオススメです。見た目より辛すぎないのでお試しあれ!
いっただきます~♪これこれ、この味! この食感!
餡がたっぷり詰まっていて肉々しい。でも肉汁がジュワっと広がるようなジューシーさではなく、かといってパサついてもいない。食感も焼き目はバッチリなのにカリッというより少ししっとり。肉・タマネギ・ニラとシンプルな具材なのに、ここにしかない独特な味わい。
『ラーメン二郎』がラーメンではなく、『ラーメン二郎』という新しいジャンルであるように、『いせやの餃子』も、もはや新ジャンル!
それにしてもそれだけ独特なのに、数多ある餃子の中でオカンの餃子とは全く似ていないにもかかわらず、ひと口目から“懐かしい味”と感じたのはいせやの餃子だけ。たまに食べないと禁断症状を起こして、この餃子の為だけに吉祥寺を訪れるほど。
どこまでも不思議な餃子。
皆さんも食べて頂ければこの言葉の意味がわかって頂けると思います!!
一度ご飯にバウンドさせて餃子を食べたあとに、ピリっとしたタレのかかったライスを一口。これがうまい~っ!
いせやは、テレビや雑誌などで何度も紹介されているんですが、なぜか餃子はあまり紹介されていないんですよね。だけどスタッフさんいわく、来店客の9割は注文する人気メニューだそう。ちなみに、オカンもいせやに連れてきたことがあるのですが、「うん。これはこれやね!お母さんのとどっちが好き?」と、ライバル意識を燃やしておりました(笑)
他のメニューにも、こだわりの食べ方がある!
他のメニューもいただきましょう! 自家製中華ガツ(ミノのからし味)は、酸味が効いていて、つまみにもってこい。
シュウマイは、辛子醤油でいただきます。肉々しいのは苦手なんですが、いせやだけは別。
ひと口では絶対に食べられない大きいサイズで、餃子と同様、ここでしか食べられない独特の味なのに、なぜかどことなく懐かしい味。
塩味の焼鳥は、お皿の端に七味を小さじ2分の1ぐらい出して、付けながらいただくのがこだわりです。ちなみに鶏皮・ひなどり・つくね以外は豚肉を使用しているそうですよ。
しょうが焼きを食べるときは、ライスも注文して、勝手にしょうが焼き定食にしちゃいます(笑)。
ライスの上にキャベツの千切りをのせ、タレをたっぷりつけた豚ロースで巻いて、セルフで肉巻きおにぎりにして食べるのが◎ですよ。
裏技をもう一つ。タレ味の焼鳥はそのまま食べるのも美味しいですが、ライスの上に乗せて、勝手に焼鳥丼にするのもオススメ。タレもしっかりとライスにかけましょう。これもうまいっ!
「勝手にしょうが焼き定食」「勝手に焼鳥丼」の為にランチで来るのもオススメです。
というわけで、昼間からほろ酔い気分で美味しくいただきました。もちろん完食です!
「流れに身を任せた途端、道が開けた」 僕が料理芸人になるまで
僕が料理芸人として活動するきっかけになったのは、芸人仲間たちのおかげ。タイムマシーン3号の山本が「ブログで料理を載せてる時、“ビストロIno”って書いてますけど、ピンとこないから“クック井上。”ってどうすか?」と助言をくれたり、流れ星・ちゅうえいが「こないだ、井上くんちのホムパで食べた料理がめっちゃ美味しかったから、料理上手の芸人さんを探してるスタッフさんに井上くんの事喋っちゃったよー」とか。
あとは、無二の親友・響(ひびき)」の小林のおかげ(先輩だけど長い付き合い過ぎて呼び捨て)。
小林とは、芸人をはじめた頃からの付き合いで、昔は365日中360日ぐらい一緒にいました。
昼間のいせやで「勝手に焼鳥丼」したり、お互い大した仕事も収入もないくせにビールに口付けたりしていました。
ある時、「井上、料理が得意なんだから、もっと料理推せば? 資格とか取って料理芸人を名乗っちゃえばいいじゃん!」とアドバイスをくれたんです。僕は「いや、売れたらいつか料理の仕事がしたいとは思ってるけどさ、売れてもないのに料理を推すなんてカッコ悪くない?」と言ったんです。そうしたら小林が「大丈夫! お前がスベっても転んでも誰も見てねーから(笑)やっちゃえよ!」って。そこで完全に吹っ切れました!もう振りき切ってやろうと。
それまでは「俺が俺の人生を決める!」みたいな訳のわからない感じで力んでたんで、人生上手くいく気配ゼロだったんですけど、周りからの助言を信じて流れに身を任せた途端、少しずつ道が拓けました。
自分の道を迷っているみなさん、僕もまだまだ全く成功者と言える立場ではないですが、大事なのは、一見、無責任に思える周りの助言、そして「大丈夫! お前がスベっても転んでも誰も見てねーから(笑)やっちゃえよ!」何かしら道が開けますよ。
おっと、すみません。昼間から思い出のお店でビールと餃子を食べていたら、色々と思い出してつい喋りすぎちゃいました。
家族にお土産! 大好きな餃子をテイクアウト
実はいま、3歳と0歳の子どもがいるのですが、なかなか一緒に外食できない奥さんにも、よくデートしていた『いせや』の思い出の味を食べさせてあげたい。
なんと、ドリンク以外は全品お持ち帰り可能だそうです。
こりゃ、テイクアウトするしかないでしょ! 思い出の“懐かしい味”の餃子と焼鳥を片手に、スタッフの毛利山龍彦さんと記念撮影カシャリです。
今日はありがとうございました! お土産を持って、子どもと奥さんが待つ我が家に帰ります~。
帰宅してすぐ懐かしくなって、半分くらい僕が餃子を食べてしまいそうですが(笑)
そんなこんなで、無類の餃子好きの僕が東京にある世界の美味しい餃子をご紹介する連載【餃子で巡る世界の旅in東京】の初回は、スタート地点として日本の餃子から、思い出の店『いせや公園店』の餃子をご紹介しました。
餃子専門店でなくても、絶品餃子はあるのです♪
次回はどんな国に旅をして、どんな餃子を食すのか・・・、その餃子にも色んなストーリーがあるはずです。
次回も乞うご期待。
<メニュー>
ビール(大ビン) 500円
手作りギョーザ 400円
手作りシューマイ 360円
ミックスやきとり(4本入り) 1皿320円
自家製中華ガツ(ミノのからしあえ) 350円
豚のしょうが焼き 500円
※すべて税込
編集協力:名久井梨香
撮影:神出暁
いせや公園店
- 電話番号
- 0422-43-2806
- 営業時間
- 12:00~22:00
- 定休日
- 定休日 月曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。