江戸時代は増上寺の門前町として栄え、今では都内有数のビジネスエリアとなった大門・浜松町エリア。これまでサラリーマン向けのリーズナブルな居酒屋はあったものの、就業人口・居住人口あたりの飲食店数が少なく、ゆったりと食事を味わえる空間は少なかったという。
そんな中、「燻製」や「とろさば料理」、「熟成肉ステーキ」などの特色を持つ9つの飲食店が入った商業施設『GEMS(ジェムズ)大門』がある。
なかでも1・2階に陣取る『Trattoria Cicci Fantastico(トラットリア チッチ ファンタスティコ)』は、肉をメインとしたトラットリア。どーんと大きなオープンキッチンを中央にかまえ、迫力満点の薪火が目立つ。塊肉が焼ける芳ばしい香りは、つい引き込まれてしまいそうになるほど、食欲のそそる光景だ。
カウンター席は、キッチンの延長上にあるから、臨場感あふれるシェフたちの巧みな技を見て楽しむこともできる。
トスカーナの味を再現! Tボーンステーキが圧巻の大きさ
「イタリアンだけど、うちのメインは肉なんです」。店長の甘利信悟さんが自信をもっておすすめするメニュー「USA産“チョイス”ランクTボーンステーキ香草ニンニクバターソース」は、Cicciへ来たならオーダー必須!
Cicciで扱っているのはアンガス牛の“チョイス”ランク。アメリカの牛肉格付けシステムは「肉質等級」と「歩留まり等級」が組み合わさった、米国農務省(USDA)の格付け検査官により8等級に分けられており、日本より厳しい。そんな厳しい基準をクリアしたブラックアンガス牛の“チョイス”ランクは、最上級のプライムに次ぐグレードだが、薪で焼くのに適した少しサシが入る程度の肉質で、肉の脂身が一番程よくいただけるんだとか。
おいしい塊肉のポイントは食材の風味を活かす“薪焼き”にアリ
Tボーンステーキと聞くと、アメリカ料理をイメージする人も多いだろう。しかし実は、イタリア・フィレンツェの名物料理で正統派の店ではキアナ牛を薪で焼く「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」として親しまれている。
こちらでは、アンガス牛を使用するができる限り本場の味を再現するため、伝統的な薪で焼くスタイルを守っている。
肉にストレスをかけないよう、均等に火入れするのはまさに、シェフの技の見せどころ。肉の位置を微妙にずらしながら丁寧に焼く。炎を発する新しい薪から、低温で長時間ゆっくりと熱を与える木炭まで、さまざまな性質をもつ木を巧みに操り、塊肉を極上の焼きに仕上げてくれる。
薪は火持ちのよいナラを使用。ほのかに甘い薫香がついた肉は、香りが芳しく、食べるほどに食欲が増すおいしさ。レアな赤身は柔らかく、Tボーンだからサーロインとフィレを欲張りに食べられるのも良い。部位で肉の味が変わるから食べ飽きないうえに、香草バターニンニクソースもたまらなく合う。600グラム~提供とボリューム満点。余分な脂が落ちていてうまみがぎゅっと凝縮された薪焼き肉だから、ぺろりと食べられてしまう。
塊肉のうまさを引き出す!スモーキーなイタリアンビール、イタリアンワインがラインナップ
この薪焼き肉にぜひ合わせて飲んでもらいたいのが、イタリア産クラフトビール「ロックンロール」。ファンキーな名前の由来は、伝説の某ロックバンドがツアーの際に公式ビールとして扱っていたからだとか。ビターなホップとコショウが利いた力強い味わいのスパイシーなビールが、薪焼き肉の薫香とよく合うのだ。
もちろんワインも忘れてはならない。それぞれのワインがもつ特徴を「泡・海・山」というタイプ別にわかりやすくメニューに記載。例えばトスカーナを代表する肉料理に合わせるため、同じトスカーナ州のものだけでも17種類の品揃え。グラスワインも、イタリアでは、テーブルワインはコップで飲むのが定番であることから、値段を気にせずがぶがぶ飲める「Cicciのコップワイン」が同店一押しだ。
具材が山盛り!イタリアの家庭料理に学んだ自家製生パスタ
同店では自家製生パスタも楽しめる。この日登場したのは10種類の魚介をふんだんに使った、「築地魚介のペスカトーレ ブローデット風自家製タリアテッレ」。
ボリューム満点の魚介をかきわけると、自家製タリアテッレが。パスタには、トマトの酸味がほんのり利いた濃厚な魚だしがしみこんでいる。これは、イタリア・マルケ州の郷土料理「ブローデット」という魚介のトマト煮込み。アドリア海では、これに麺をいれて食べることが主流だそう。さまざまな貝はどれも歯ごたえがよく、食感の違いが楽しい。季節によって変わる食材にも注目したい一品だ。
一風変わったパスタを味わいたい人は、イタリア語で“指輪”と呼ばれる詰め物パスタを使った「ヨーロッパ産の野菜とキノコ パルミジャーノバターソースのトルテッリ」がおすすめ。
トルテッリとは、イタリア中部・エミリアロマーニャ州で家庭料理として親しまれているパスタの一種。サラミ、生ハム、ソーセージ、ウサギ、鶏レバー、仔牛の肉などの余った肉類に、つなぎを混ぜたものが詰まった、イタリア版餃子のようなパスタだ。いろいろなものが詰まっているから、1つ1つ微妙に味わいが違っておもしろい。パスタの塩味やバターの油分、そして野菜の食感がチーズによってうまく調和され、ソースとの相性も抜群!パスタに使われる野菜はすべて、イタリア、フランス産といったヨーロッパのものを取り寄せて作る。市川シェフのこだわりがつまった一品だ。
「『今宵、飲みに行く場所に困ったときは、とりあえずCicciに行こう!』と思って来ていただきたい」と話す店長の言葉通り、賑やかな厨房と明るい雰囲気はお店に足を運ぶだけで元気になれる。燃える薪の炎で焼き上がる塊肉を見ながら、ワイン片手に塊肉を食らうなんて、これ以上気分の良いことはないだろう。
【メニュー】
USA産“チョイス”ランクTボーンステーキ香草ニンニクバターソース 600グラム4,800円
築地魚介のペスカトーレ ブローデット風自家製タリアテッレ 1,900円
ヨーロッパ産の野菜とキノコ パルミジャーノバターソースのトルテッリ 1,400円
※すべて税抜
Trattoria Cicci Fantastico
- 電話番号
- 050-3184-3365
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- 月~土・祝日
ディナー 17:30~23:00
(L.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)
月~金
ランチ 11:30~15:00
(L.O.14:00)
- 定休日
- 日曜日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。