自由が丘の閑静な住宅街にひっそりと佇む一軒家レストランで食通からも高い評価を受けるイタリアン『mondo(モンド)』。その姉妹店として代官山アドレス裏、以前は東横線の踏切があったあたりに5月18日(水)にオープンしたのがこちら。
『mondo』がハレの日のリストランテであるのに対し、こちらは「イタリアン炉端」とでもいうべきカジュアルさ。カウンター席から見えるのは、炭を使った焼き場。こちらでは、串に刺された肉や魚、野菜などが本当に炉端焼きのようにじっくり焼き上げられていく。
しかし、味わいは単なる炉端焼きにあらず。広尾の名店『リストランテ アクアパッツァ』の前料理長・樫村仁尊シェフによって、焼きっぱなしだった素材にイタリアンのエッセンスが加えられていく。
サザエの壺焼きならエスカルゴバターを、グリーンアスパラの塩焼きはサルサヴェルデを。逆にイタリアの伝統的な料理であるランプレドットは大衆酒場のもつ煮のようだし、オーソブッコに添えるのはきりたんぽ風に炙ったサフランのリゾットだったりと、樫村シェフの長いイタリア料理経験が新しいベクトルに進んでいるのを感じる。
店の使い勝手のよさは、これまでの本格イタリアンにはない自由さだ。
オープンの18時からの客層は比較的しっかりとした食事をチョイスするが、21時以降になると、よりカジュアルに使うゲストが増える。5品出てくるイタリアンスタイルの「おばんざい」やチーズとワインだけでワイワイ楽しんでいる光景もこの店を象徴するものになりそうだ。
料理のサービスだって、面倒な説明はしない。
客からの反応があれば「旨いでしょ?」だけ。
そこに「どうして?」と訊かれたら、はじめてその旨さの理由を明かす。
あくまでも客同士の会話が弾むことを優先しているからだ。
樫村シェフは「レストランで働きはじめた頃、レストランが頂点で大衆酒場はランクが落ちるなんてことを思っていました。けど、そうじゃなかった。大衆酒場のあの空気感を出したくて、新しい店では食卓を賑やかにしようと思ったんです。会話が主役。その脇役として料理と旨い酒です」。
オープンしたばかりで、木を使った内装はまだまだ白さが目立つ。けれど、彼らが目指す大衆酒場のように時間の経過とともに木は色づき、店もいい味を出していくことだろう。
<メニュー>
ポルケッタ2,500円。トスカーナやウンブリアなどで使われる秘伝のスパイスでマリネした豚肉をシンプルに焼き上げたもの。熱を通すとカレーのような香りがあり、少し甘みも感じる。この日は大仙豚を使用
くるくる巻いた太刀魚(1本)800円は、愛媛の郷土料理で現地では甘辛い醤油ダレを塗るところをバルサミコやハーブ、ピンクペッパーなどでイタリアンらしく。強火の遠火で焼かれていて、巻いた竹も中からも熱せられるので仕上がりはふっくら。
小型のスキレットを用い、駿河湾で獲れた桜えびとフランス産のホワイトアスパラガスによる、桜えびとホワイトアスパラガスのフリッタータ1,100円。お互いの素材の持つ旨み、甘みが卵を媒介に絡みあう。
ワインはグラスで25種類がスタンバイ。写真は左から①~⑥
① Margo Regio Bianco2014 / Margo(マルゴ レジオ ビアンコ)
グラス1,000円、ボトル7,000円
② Vitovska2010/Vodopivec(ヴィトフスカ/ヴォドピーヴェッツ)
グラス1,900円、ボトル13,000円
③ Matis2013 / La Cerreta(マティス/ラ チェッレータ)
グラス900円、ボトル6,200円
④ Rosato2014 / Ttinchero(ロザート/トリンケーロ)
グラス1,300円、ボトル8,400円
⑤ Le Coste / Le Coste(レ コステ/レ コステ)
グラス1,200円、ボトル12,000円
⑥ Vino Rosso2014 / Francesco Brezza(ヴィーノ ロッソ/フランチェスコ ブレッツァ)
グラス600円
falo(ファロ)
- 電話番号
- 050-5488-2790
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
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- 月~水・金・土
17:00~23:00
(L.O.23:00)
日・祝日
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(L.O.21:00)
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