第十一夜:hanajuku代表・花井裕一郎さん
今回のはしご酒案内人は、福岡・筑豊生まれの花井裕一郎さん。フジテレビなどで番組演出などを手がけていた花井さんは、2000年より長野県小布施町に拠点を移し、小布施町立図書館「まちとしょテラソ」の館長などを務め、講演会などで全国各地を飛び回っていた。現在は図書館を交流の場、ワクワクする情報を提供する場として演出するほか、「まちづくり」などにも携わっているが、2年ほど前から拠点を福岡市内に移し、活動している。今回はそんな花井さんのはしご酒にお供させてもらった。
カウンター10席のみ。店主の実直な仕事が堪能できる和食店へ
6月某日。開店と同時に訪れたのは、感度の高い店が集まる大手門エリアの一角にある「十石かじはら」だ。
福岡県宮若市(旧宮田町)で生まれた花井さんは、二十歳で東京に出て、長野・小布施町を経て約2年前に福岡に戻ってきた。「飲みの世界を知らずに東京に出てしまったので、早く帰ってくれば良かったって後悔してる」と笑う花井さんの情報源は、花井さんが手がける数々のプロジェクトのメンバーである地元のクリエーターたち。「ココも仕事仲間のクリエーターが誰かから聞いてきて。。。家からも近いし、来てみたらすごく良くて通うようになったんだよね」と花井さんは言う。
店名が表すように、席はカウンター10席のみ。席に着くと店主の梶原恵さんが、その日仕入れた魚介が美しく並べられたネタ箱を見せてくれた。
素材を見ながら、何をオーダーするか悩むのも贅沢な時間。この日は「毛がに」(1,080円〜)と、花井さんが「あれば必ずオーダーする」という「すっぽん茶碗蒸し」(1人前648円)をオーダーした。
関西の寿司屋や割烹で修業し、生まれ育った福岡で店を構えた梶原さん。その丁寧な仕事ぶりが光る上品な味わいに思わず頬が緩む。
「カウンター、いいよね。店主の仕事ぶりが見えるし、他のお客様とも自然に話すこともるし。この店は大将も素敵だし、味も好みなんだよね」
10席のみゆえ、事前の予約は必須。遅めの時間は、当日の電話確認でも比較的入りやすいそう。コース(5,400円〜)もあり、しっかり和食を楽しみたいときにも重宝する。
※価格はすべて税込みです。
十石かじはら
- 電話番号
- 092-737-5410
- 営業時間
- 17:30〜23:30
- 定休日
- 定休日 日曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
“お肉大好き!”花井さんイチ押しの小バコ焼肉店へ
19時過ぎ。この季節、福岡はまだまだ明るい。2軒目は、外食では肉を食べることが多いという花井さんが「いろいろ行ってみた挙句、結局ここがいちばんだった」と断言する「熱血ヤキニク酒場クラウン」へ。
「ココも植村と一緒に来たのが最初。佐賀の吉野ケ里や直方市などのプロジェクトで現地へ行くことも多く、仕事帰りにそのまま来たんだよね。福岡って街がコンパクトで、夜間はコインパーキングも安いから、車を乗り捨てて、翌日取りに行くこともできるでしょ。そのときも、『今日も乗り捨てじゃ〜』って言って、飲んだな〜」と、花井さん。
肉用の薬味やタレなどとともに運ばれてきたのは、オリジナルの味噌だれとキャベツ。福岡の焼鳥店へ行くと、必ずポン酢とキャベツが登場するが、焼肉店では珍しい。甘辛い味噌だれに付けながらキャベツを口に運ぶとこれが美味しくて。肉を食べる前にキャベツを食べておけば、消化にもいいだろうし、これはナイスアイデアである。
▲やみつき赤身1,354円、ミノ787円、丸腸722円
「僕は赤身の肉が好きなんだけど、ココは肉がキレイ。雰囲気もいいし、もちろん大将も素敵だし。おいしいからどんどん食べちゃうんだよね。いつか韓国人の友人を連れてきたいと思ってるよ」。
この場所に店を構えて9年。18席のみのこぢんまりとした小さな店ながら、ファンが多いのも納得だ。
▲階段が急なので飲み過ぎにはご注意を!
※価格はすべて税抜きです。
熱血ヤキニク酒場クラウン
- 電話番号
- 092-725-6785
- 営業時間
- 火~日 17:00~24:00(L.O.23:00)
- 定休日
- 定休日 月曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
来福客を必ず連れて行く、大人の蕎麦処へ
花井さんが〆の店として選んだのは、博多駅前にある蕎麦処「良寛」。
「仕事で博多に来る人って、最初は博多らしいものを食べたがるけど、何度か来るようになるとそういうものよりも、ここみたいな店が喜ばれるんだよね。一度連れてくると『また良寛行きたいんですけど』とリクエストされることが多いよ」
この6月に36周年を迎えた老舗ながら、とても気さくな大将との会話が心地よい。
「お酒はいつもお任せ。アテを頼むと、大将がそのアテに合う日本酒をセレクトしてくれるから」
▲地元・福岡の若波酒造が、白ワインのようにドライで酸味のきいている日本酒」をイメージして仕込んだ「若波 純米吟醸 FY2」(写真左)と日本酒のことを丁寧に説明してくれる大将(写真右)。
旬の食材で作る一品料理も充実しており、コース(3,240円〜)もある。花井さんは、来福客のもてなしや会食などで利用することが多いそうだ。
▲写真左上から時計回りに「本日のお通し」、「芝海老サラダ」(850円)、「ざる」(700円)、「そばがき」(550円)
「東京にもいろんなものがあるし、福岡にもいろんなものがある。だけど、福岡の方が断然面白いと感じるのは、人と人との距離が近いからだと思うな。さっきも『クラウン』で隣のお客さんから「雑誌の撮影ですか?」と話しかけられたけど、東京だと話しかけられないもん。そこから話が始まって繋がっていく。そこが福岡の面白いところだよね」
気づけば閉店間近。福岡の夜は楽しく、時間が過ぎるのが速く感じる。
※価格はすべて税込みです。
良寛
- 電話番号
- 092-451-1931
- 営業時間
- 11:30〜14:30(L.O.14:00)、17:30〜22:00(L.O.21:30)
- 定休日
- 定休日 日・祝
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。