本格的に暑くなってきたニューヨーク。この季節になると、やはりスパイスのきいたエスニック料理が食べたくなる。東南アジア系に関していえば、ニューヨークで最も幅広く支持されているのは、やはりタイ、インド、ベトナムだろう。インドネシアやマレーシアあたりになると、ややマイナーなイメージはぬぐいきれない。そんな中、まだ知る人ぞ知る存在だが、美味しいインドネシア料理のレストランがある。内装はクリーンで、盛り付けも洗練されている。場所はブルックリンで、最も開発の進んだウイリアムズバーグの北東に隣接するグリーンポイント地区だ。
その名はSelmat Pagi(スラマッパギ)。地下鉄のGラインが通るナッソーアベニューの駅から少し歩いた住宅街にある。スラマッパギのオーナーは、先日このコラムでも紹介した大人気アイスクリームブランド「ヴァンレーウェン・アルチザン・アイスクリーム」のオーナー。「アイスクリーム」と「インドネシア料理」――まったく関連性がないけれど、あの美味しいアイスクリームを生み出したオーナーたちの納得する味なら美味しいに違いないと訪れてみた。そして、実に期待しただけの大満足できる味だったのである!
共同オーナーのローラ・オニールはオーストラリア出身。彼女と共同オーナーのベン・ヴァンレーウェンがオーストラリアにいるローラの家族を訪ねる際、よくバリ島に立ち寄るそうだ。そして2人は、バリの食べ物にすっかり魅せられたという。一方、ニューヨークでのインドネシア料理の評価は低すぎると感じた彼らは、アイスクリームづくりを始めた時、ストリートに面したスペースにスラマッパギをオープンすることを決意。2人はバリ島で料理のクラスをとり、それを元にオリジナルメニューを開発した。
特に人気のあるのは「ナシゴレン」や「ビーフレンダン」。伝統的なピリ辛料理でありながら、お洒落で見栄えよく出てくるのがスラマッパギの良さだ。
▲ナシゴレン
インドネシアといえばサンバルソースも有名だが、サンバルソースを混ぜた「サンバル・デヴィルドエッグ」も好評。乾燥したビーツを粉末状にしたものを上にのせている。このトッピングはスラマッパギのオリジナルで、伝統に独自のアイデアを加えた創作料理もある。
▲(左)サンバル・デヴィルドエッグ、(右)ビーフレンダン
ちなみに、「スラマッパギ」はインドネシア語で「おはよう」を意味する。でもこのレストラン、週末にブランチを出す以外は夜しかオープンしていない。そのわけをローラに聞いてみたら、「元々は朝食、ランチ、ディナーを出すつもりだったんだけど、この界隈の人たちは朝が遅いので、ディナーと週末のブランチだけに変えたの。ブランチではバナナパンケーキ、黒いもち米、バリ式スクランブルエッグなどいろいろな料理で、お客さんを『おはよう』と迎えているのよ」との答えが返ってきた。
今年初めまでスラマッパギの奥はアイスクリーム工場になっていたが、今は移転してスペースがあいている。そこで、ローラたちはスラマッパギを拡張したい考えだ。グリーンポイントも徐々に開発が進んでいるので、地元以外からもお客がやってくるそう。とにかくあの著名なアイスクリームチェーンの系列なのだから、是非一度試す価値はあるとお勧めしたいレストランだ。
Selamat Pagi(スラマッパギ)
- 電話番号
- 718-701-4333
- 営業時間
- 火~金17:30~23:00、土・日 ブランチ 11:00~16:00、ディナー 土 17:30~23:00、日 17:30~22:00
- 定休日
- 定休日 月曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。