♯002 青い街の禁断の地下、渋谷。
渋谷は谷の街である、谷間にある街と言った方がいいかもしれない。現在は道路の両側にビルが建ち並ぶため、坂は見えても丘は見えない。でも、道路沿いに建つビルが取り壊されると、唐突に崖が見えたりする。かつては粋な黒塀が建ち並んだ円山の三業地からは検番も消え、空虚なラブホテル街と化したが、色町の残り香のようにぽつりぽつりと名店たちが点在している。若者たちだけが通り過ぎる青臭い街と決めつける前に、渋谷の真の実力をお教えしよう。もちろん、グルメランキングの点数や評価は、決して渋谷ナビにはならない。
ハチ公から、世界的な名所になったスクランブル交差点を渡り、センター街や、公園通りへ。若者たちの導線の向う、人込みを離れた地下の3軒が今回の秘宝たちだ。海の幸から山の幸までを豪快に料理し、飲み放題で提供する店名非公開の店。勝どきの名店『かねます』に決して引けを取らないスーパー立ち飲み。そして食後には、下町で愛される金宮のシャリ金にこだわり、焼酎の新しい飲み方をプレゼンする、元ボクサーが営むリーズナブルなバー。3軒ともこの街の知られざる秘宝だ。
店名非公開の名店
109を過ぎて道玄坂を昇る人は、ラブホに消え行くカップルか、坂の右側に集中する風俗目当ての客ばかりではない。関東大震災後の焼け跡から生まれ、再び東京大空襲で消滅した銀座・浅草に負けない夢の街「百軒店」跡には、今もカレーの『ムルギー』や焦がしネギ系ラーメンの『喜楽』、今や数少なくなった名曲喫茶の『ライオン』など、魅惑的な店が多い。しかし、そんな地域も越えて、どんどん道玄坂を昇り、もうすぐ246通りにぶつかる寸前の地下に、完全予約制にすることで食材ロスをなくし、驚異の原価率で山海の珍味を惜しげなく提供する奇跡の店がある。
目印はビルの看板だけ、、、
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