多くのビジネスマンが行き交う街、大門・浜松町エリア。駅の周辺にはオフィスの数に負けないくらいの飲食店が立ち並んでいるが、少し道を外れ路地に入ると昔ながらの長屋や下町の情緒が残っている場所でもある。
そんなエリアに佇むのが、ホルモン焼きの店『ホルモン焼 夏冬(ほるもんやき かとう)』だ。夜は新鮮なホルモンと酒を楽しめる気軽な店として人気。
長屋で営むホルモン焼きは素朴な人気店
『ホルモン焼き 夏冬』の店主が店を始めたのは17年前のこと。シンプルなメニューだからこそ、何よりもホルモンの鮮度に気を使い、信頼のおける業者から仕入れている。店主は「ホルモンはお客が自由に食べるものだ」と、多くを語らないが、新鮮なホルモンのおいしさに多くのファンが集う。
店内は、長いテーブルが2卓と椅子だけのシンプルなレイアウト。20人も入れば、店内は満員だ。
扱うのは、豚ホルモン。人気のかしら、しろ、レバーなどといった部位。さらに「小盛り」「中盛り」「大盛り」と、それぞれの部位を少しずつ盛り合わせたお得なセットも用意されている。『ホルモン焼 夏冬』では、客が自ら七輪でホルモンを炙っていただくスタイルで、食べ方は、それぞれの客に一任されている。
店主によれば「新鮮なホルモンを出しているので、サッと炙って火が通ったらすぐに食べるのが美味しいとは思うけどね」とのこと。特に、脂ののった大腸“シロ”は、口の中に広がる甘みとプリプリとした食感がクセになる。店主自身もお気に入りの部位だ。今回、お見せできないのが残念だが、ぜひ店に足を運び、自分の目で確かめてほしい。
ホルモン焼き屋のランチ名物は限定の「カレーライス」
そんな『ホルモン焼 夏冬』には、夜だけではなく、ランチタイムにも多くの人が足を運ぶ。目当ては、なんとカレーライス。「えっ、ホルモン焼き店なのに!?」と驚いてしまうが、ランチ限定の「ポカラカリーライス」を提供するようになってから、もう10年が経つという。人気の定番メニューなのだ。
店主と家族同然の付き合いをしていたネパール人の友人に、昼間は使っていない『ホルモン焼 夏冬』の店舗でカレーを販売することをお願いしたのが、きっかけだったという。
スパイスがしっかりと効いたネパールのカレーが原型。現在、カレー作りを担当するのは、ネパール出身のコマラさん。元々のレシピは、彼女のお姉さんが考案したものだ。
“ポカラ”とはネパールの地名とのこと。ただし、ポカラに伝わる味を再現したのではなく、こちらで提供する「ポカラカリーライス」は『ホルモン焼 夏冬』のオリジナルカレー。このカレーを一言で表現するならば、“どこにもないカレー”と言うしかない。
主なトッピングは、ジャガイモ、インゲン、ニンジンで、すべて後乗せ。だから、スパイスの風味を邪魔しない。ルーには、タマネギと牛スジがとけ込んでいる。スパイスの調合は、現在調理を担当するコマラさんだけにしか伝わっていない秘伝のもの。
ひと口頂くと、とろみのある見た目に反して、スッキリとした味わい。そして、しっかりとした辛さを感じる。この辛さが旨い。ときおり、周りのトッピングや煮込まれた牛スジの甘みが癒やしてくれる。ネパールのカレーを原型としたスパイシーさと、牛スジの甘みが不思議とマッチしているのだ。ライスは日本で食べられる一般的なジャポニカ種だが、硬めに炊かれていて、カレーとよく合う。
「辛い、辛い」と食べ進めていると、コマラさんが笑顔で大きなジョッキ(おそらく夜はここにチューハイが波々と注がれる)に冷たい水を注いでくれる。スカッとした辛さがクセになるカレーライス。午後の仕事がはかどりそうなパンチのある味わいだった。
昼はエスニックな暖簾が出迎えてくれる。ちなみに夜は、大きな提灯が目印だ。
<メニュー>
ポカラカリー 800円
※価格は税込
ホルモン焼 夏冬
- 電話番号
- 03-3431-0552
- 営業時間
- 11:30~13:30、17:00~23:00(ランチはカレーライスのみ)
- 定休日
- 定休日 祝日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。