果物が好きです。
好きだからと云ってしょっちゅう食べているわけではありませんが、果物が好きです。今までに一番食べた果物は何かと考えたらやはりミカンです。子供の頃、両親がまだ仕事をしているうちに家に帰ると殆ど食べ物がありません。コンビニもないし、それよりも何よりも現金を持っていません。泥棒のように家捜ししてもあるのはミカンだけ。なぜかミカンだけは箱に入ったのがいつもある家でした。なのでとにかくミカンを食べる。空腹の小学生にミカンを与えても焼け石に水。どんなに食べても満足感がない。そのうちに弟も帰ってくる。弟と二人でミカンを食べ続ける。箱一杯のミカンがどんどん目減りしていきます。それでもミカンしかないので競い合ってミカンを食べる。満腹になると云うよりは飽きてミカン終了。キロ単位でミカン減少。母親が帰ってくるとミカンはどうしちゃったの誰かにあげちゃったのと子供に訊きますが、食べちゃったと云うと本気で呆れたような顔をしてこれで夕飯はあまり食べないんだからとブツブツ申しました。
そう云えば、ふと思い出しましたが、ミカンもなかった時にはギンナンを探し当てて今はあまり見かけない電熱器を引っ張り出してきてフライパンを乗せてギンナンを煎って食べたこともあります。空腹ですからギンナンなんて満足感が無に等しく、それでも食べ続けましたら鼻血ブー。母親が帰ってきて私の血だらけの顔や服を見て大慌てしたのをこの間のことのように思い出します。
夏と云えばスイカですが、子供の頃はスイカで生きていたんじゃないかと思うくらい食べていました。初めて黄色いスイカを食べたオドロキとヨロコビは今でも忘れません。
そして、今回のお題の桃なんですが、これが私にとっては夏のイメージが全くありませんでした。
なぜなら桃は缶詰になっているものだと思っていたからです。
シロップで煮られた桃の魅力に私は取り憑かれていました。フルーツミックスの缶詰に入っている時は桃なんて別に気にしないよなんて態度を取っていますが、桃単体の缶詰だと心も魂も奪われ桃の女王に平伏しておりました。桃を食べた後のシロップも全飲みして忠誠を誓いました。ツンデレですかこれ。とにかく桃缶バンザイ。桃にシーズンがあるなんて知ったのはずっと後。随分と大人に近くなってからのことです。
その桃の魅力に再び取り憑かれたきっかけは、以前横浜そごうの地下1階にありました『タカノフルーツパーラー』で食べた桃パフェ。夏も終わりに近いある日のこと。店員さんの説明曰く桃の季節ももうすぐ終わりで傷みかけで見た目に悪い部分がありますがそこが最高に美味しいのですと云うレコメンドを受けて食べてみた桃パフェの妖艶なる味と香り。
すっかり桃の魔法にかかりました。今でもその魔法は解けていません。その魔法に導かれるままに新宿の『タカノフルーツパーラー本店』に参ります。ひと夏に何度も参ります。日本各地から集まった桃が一堂に会しております。
たまりませんわん。
他の果物のパフェには目もくれず桃パフェ推し、桃パフェ一辺倒であります。
地下1階にある『パフェリオ』でも桃パフェ(ソフトクリームベース)が戴けますが、やはり5階の『パーラー』が好き。お客さんは9割以上女性ですが全く気にしません。こちらで戴く桃パフェの素晴らしさ。ウマウマウー。
私を魔法にかけた夏の終わりの桃パフェに再会すべく、桃パフェを何度も食べて自分探し(鳥肌が立つ言葉ですが)をしている感もあります。
若かりし日のあの感動をもう一度。シェーンカムバック。
そんなに桃が好きなら桃だけ食べていればいいじゃんと思ったそこの貴方。
悔い改めよ。
桃パフェの優雅なメロディアスウエイブにその身を委ねる時に人は初めて愛を知るのです。愛こそはすべてとあのビートルズも申しております。ラブユー東京と黒澤明とロス・プリモスも申しております。この夏、貴方は桃パフェで愛を知るのです。
シン・ゴジラもクレイジーケンバンドの香港的士もヨロシク。美味しかったです! 御馳走様でした!
タカノフルーツパーラー新宿本店
- 電話番号
- 03-5368-5147
- 営業時間
- 11:00~21:00(L.O.20:30)
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