また新たに、“ちょい飲み”ができるチェーンの飲食店が登場した。今年に入ってから、『STARBUCKS EVENINGS(スターバックス イブニングス)』、『ケンタッキーフライドチキン高田馬場店』、『クラウンハウス 関内店』など、既存店とはコンセプトを変え、ちょい飲みができる新業態が続々とオープンしている。チェーン店でのちょい飲みは、2016年のトレンドといっていいだろう。そして7月、東京・浜松町にできたのが『一風堂スタンド』だ。
■ニューヨークからの逆輸入! 日本酒の立ち飲み屋『一風堂スタンド』
『一風堂』は、国内のみならず、海外12カ国・地域でも展開する博多ラーメンのお店。新業態である『一風堂スタンド』はラーメンだけでなく、日本酒とおつまみも味わえる立ち飲み店だ。新業態がオープンしたきっかけは、アメリカ・ニューヨークにある。
ニューヨークではラーメンは人気の日本食で、食べるために2時間も待つのは当たり前だ。そこで、『一風堂』のニューヨーク店にはウェイティングバー(待っている人用のバー)が設けられている。客は、日本酒を含むさまざまなお酒を飲みながら、同じくラーメンを待っている人たちと会話を楽しむという。「このスタイルを日本でも実現できれば…!」と、ニューヨークから逆輸入する形で、『一風堂スタンド』がオープンした。
■日本酒を4つのチャートに分類 チャートごとのオススメおつまみはこれだ!
日本酒は「モダンとクラシックの法則」により、【クラシックライト】【クラシックリッチ】【モダンライト】【モダンリッチ】の4つのチャートに分かれており、常時4種の日本酒をそろえている。
クラシックとは日本酒の原点で、穏やかな味わいのものを指す。【クラシックライト】は凛としていてキレがあり、【クラシックリッチ】は、日本酒好きが好むような、お米のうまみを味わえる濃醇な一杯である。一方、モダンとは、日本酒のイメージが変わるような時代に合わせたお酒で、【モダンライト】は爽やかでみずみずしく、【モダンリッチ】は、フルーティーでジューシー。日本酒初心者ならば、【モダンライト】から飲みすすめるといいそうだ。
銘柄は季節や状況に応じて変わるが、基本は月替わりのよう。ちなみに日本酒の構成は、『博多住吉酒販 本店』が監修している。
そこで、取材時のラインナップであった「松の司 純米酒(滋賀・松瀬酒造)」「出雲富士 純米吟醸(島根・富士酒造)」「東一 純米吟醸(佐賀・五町田酒造)」「新政 生成(エクリュ) 酒こまち(秋田・新政酒造)」に合う、オリジナルメニューのおつまみをそれぞれ教えてもらった。
【クラシックライト】に分類される「松の司 純米」は、和のムード漂う定番な味わいで、米のうまみも感じられる。これには「パクチー辛豆腐」がマッチする。
創業95周年を迎える福岡県の豆腐店『豆藤』が作ったまろやかな豆腐と、一風堂のラーメン「赤丸新味」に使用する辛みそを使った特製ソースが絡みあい、パクチーの香りがアクセントになっている。「松の司 純米」を飲めば、口の中がさっぱり。
【クラシックリッチ】に分類される「出雲富士 純米吟醸」は、辛口でうまみをグっと味わえるも、フルーティーなのでゴクゴクと飲めてしまう。これには「ラーメン豆天3種」をつまみたい。ラーメンのトッピングである「きくらげ」「紅しょうが」「あおさ」を魚のすり身と豆腐に練りこんだ一口サイズの個性的なさつま揚げだ。
【モダンリッチ】に分類される「新政 生成(エクリュ) 酒こまち(秋田・新政酒造)」は、甘みがありボディがしっかりしている。これには「オリーブとピクルスの味噌漬け」を。一晩味噌でつけたグリーンオリーブとブラックオリーブ、ピクルスは、味噌の香りがしみ込んでいる。そこにミニトマトや粉チーズが加わるという斬新な仕上がり。余韻が続くようなクセになる味わいで、酒がすすむ。
【モダンライト】に分類される「東一 純米吟醸」は華やかな香りで、軽やか。こちらにはラーメンの「赤丸新味」が合う。ベーシックのとんこつスープに、自家製の香味油と辛みそを加えてあり、辛みそをお好みで溶かしていくことで、一杯のラーメンに、味の奥行と調和が生まれる、新しい博多ラーメンである。90ml並々入ったラーメンの丼ぶり風のおちょこがかわいらしい。
お酒を飲んだあとのシメには、ラーメンは欠かせないが、お店をハシゴせずとも、シメにありつけるのだからこんないい話はない。
日本酒にさほど詳しくない方でも、4種飲み比べれば味の違いは明らかだ。『一風堂スタンド』で日本酒デビューするのもいいだろう。
■予想を上回る反響! 今後の店舗展開に期待
平日は開店から15時まではランチタイムとなり、お酒とラーメン類の提供となる。15時以降から、おつまみのメニューもオーダー可能になり、さらに席をなくして立ち飲みスタイルになる。店内一部にはテーブル席を用意してあるので、シーンによって使い分けられるのもいい。
オープンして約1カ月。ニューヨークの店舗でも勤務経験を持つ店長・樋渡憲二さんに反響について伺うと「想像以上に好評です」と笑みをこぼす。平日は近隣のビジネスパーソン、休日は近所の方が来店してくれるそうで、意外にも女性ウケがいいという。ニューヨークの店舗同様、たまたま隣で飲んでいる客同士で会話が生まれているそうだ。また、通りかかった人がにぎわっている店内を見て「おもしろそうだね」と入店されることも多いと話す。
「ラーメンを食べずに、日本酒とおつまみでサクっと飲まれるだけでもかまいません。日本酒は食べ合わせがよく、日本酒の可能性を知っていただければ」と樋渡さん。ぜひ一杯ひっかけたい。
<メニュー>
・日本酒各種 500円
・赤丸新味 850円
・オリーブとピクルスの味噌漬け 350円
・パクチー辛豆腐 350円
・ラーメン豆天3種 350円
※価格すべて税込
(取材・文/名久井梨香)
一風堂 浜松町店(一風堂スタンド)
- 電話番号
- 03-6459-0068
- 営業時間
- 月~木・祝 11:00~23:00、金・土・祝前日 11:00~翌2:00
- 定休日
- 定休日 日曜日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。