ワイン好きにはたまらない! 神田に遠藤利三郎商店の新店がオープン
「あの遠藤利三郎商店の新店が神田にできる! しかもワインに合う肉料理の店らしい」という噂が巷に流れたのが今年の6月。そして7月11日にJR神田駅西口から徒歩5分という恵まれた立地に『炭焼き&WINE 利三郎』がオープンした。
なぜこんなに話題になったのかというと、『遠藤利三郎商店』は「日本ワインを愛する会」副会長、「日本ワイン輸入協会」事務局長、約30年の歴史を持ちパリの伝統を受け継ぐワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」の人気講師でもある遠藤誠氏がオーナーであるがゆえ、ワイン好きグルメたちの間では訪れない者はいないほどの有名店だからである。遠藤氏は今をときめくソムリエやシェフをはじめ、生産者、料理研究家、ワイン評論家、芸能界などから師事、日本ワインコンクール審査員でもあり著書も多数、ワイン業界においてトップレベルの人物である。
その遠藤氏がオーナーである『遠藤利三郎商店』は都内に3店舗あり、どこも大盛況とくれば、この新店も大いに気になるところである。今までと違うのが店名に“炭焼き”が入っていること。これはメニューにも期待できそうだ。
食べられる分だけをオーダー! 量り売りの「パテ・グランメール」が大人気
なにやら大皿にのった巨大な肉の塊が運ばれてくる。なんと「パテ・グランメール」だ! 網脂に巻かれた正統派、これはワインが進むにちがいない。シャルキュトリー規範によると「パテ・ド・カンパーニュ」は豚100%なので、鶏レバーやパン、エシャロットなどが入ったこちらは「パテ・グランメール」と呼ぶ。
まずはレバーの良い香りが鼻をくすぐり、次に食感の面白さに驚く。口にした時になめらかさと肉の存在をしっかり感じられ、なるほど人気の所以がわかる。「肉を三段階に分けて挽いているんですよ」と話すのは長 良一総料理長。肉の挽きをわけるから肉のゴロゴロ感もありつつ、なめらかでリッチなパテに仕上がる。最低3日間は寝かせ味をなじませてから提供するので、よりしっとりとしたソフトな感触。パンにつけてディップとして食べる客も多い。
看板メニューは炭焼きと新鮮直送野菜、おいしさに顔がほころぶ
長総料理長が自信をもってすすめるのが国分寺小坂農園の野菜。ここに決めたのには訳がある。まずは都内にあること。地方ならではの水と畑で獲れる野菜も魅力的ではあるが、朝収穫したものがすぐ届くのは都内ならでは。畑にも行きやすいので状況がわかる。
2つ目は2ヘクタールもの広大な農地で多品目栽培をしていること。季節感あふれる野菜を30種類以上も育てているのでメニューに存分に取り入れられる。さらに近くの東京競馬場と提携し自家製の堆肥を作っていること。これらに感銘を受けた総料理長が農園に出向き仕入れさせてもらえることになったそうだ。
農園サラダにはその野菜が20~25種類ほど入っている。これだけの種類を家庭で摂ることはなかなかできない、ありそうでないサラダである。野菜の味わいが強いので塩、EXオリーブオイル、ヴィネガーのみで味付け。甘いものは甘く、苦いものは苦く、野菜本来の味を堪能できる。
この野菜は焼くとまた甘みが増してくる。そこにラルド(豚の背脂の塩漬け)をのせてくるとは! ほのかな塩分ときれいな脂が野菜と相まって、それはそれは天にも昇る気持ちになるのだ。
フレンチフライ付きの炭焼きは牛、鹿、鶏、羊、鴨、豚と常時7〜8種類、産地も国内外とさまざま。総料理長の目利きで選ばれた肉はメニューを見ているだけでお腹が空いてくる。本日は夏エゾ鹿の外モモ。「素材自体がおいしいものを焼いているので正直、なにもつけなくても十分おいしい」と言う長氏に思わず笑ってしまった。
確かに肉のうまみは感じられるのだが用意された3種類のソースをつけてみる。赤はトマト、玉ネギ、チリが入った酸味のあるさっぱりしたもの、白はハーブ、オニオン、クリームを加えたマヨネーズ、3つ目はマスタードである。するとこれがまた肉のうまみを引き立たせるのである。個人的には白が気に入った。肉にマヨネーズ?という気もするが、ぜひ試してほしい。
長氏はメニュー作りの際、外食時になにがあったら嬉しいかということを考えた。自分だったらワインにあうおいしいパテと野菜と肉があればそれが一番だと思い、この3つを柱に構成したそうだ。品数は決して多いわけではないがこれだけ満足いくのは、料理の質が高いからであろう。もっと純粋に食を楽しんでほしいと素材にこだわり抜き、手間ひまをかけた料理に癒される。
さすがのワインリスト! 飲んで食べて平均予算が5,000円!
「嫌いなワインがないんです!」と言うのは店長の室谷統さん。ワインのセレクトを一任されており、もちろんソムリエの資格保持者である。ボトルはスパークリング2,500円〜、ワインは2,000円〜、リストに載っているだけでも白25種類、赤32種類、季節や料理に合わせて揃えている。今はフルーティですっきりしたものを中心にしているが、秋になれば味わいが落ち着いた赤を増やしていくとのこと。グラスワインも常時6種類ずつは開いているし、時には本店から持ってきたりもするらしく秘蔵のワインに出逢えることも。フランス、イタリア、カリフォルニアはもちろん、オーストラリア、アルゼンチンからカナダ、ギリシャに至るまで、利三郎でしか出逢えないものが多く、さらにリーズナブルとくればワイン好きなら誰でも通ってみたくなるだろう。
せっかくなので室谷さんおすすめのワインを紹介していただこう。「重視しているのは味わいのバランスです。酸味と果実味と香りが均衡しているものを選んでいます」と言う。左から、ギリシャ「キリ・ヤーニ ヤナコホリ ヒルズ 2012年」はクシノマヴロという土着品種、メルロー、シラーを使って独特の渋みを持つ。味はしっかりしていてベリーなどの果実味があり、牛や鹿などの赤身肉にぴったりなのだそう。カナダの「ケンテ ワイナリー&ヴィンヤーズ ヴォヤージュ 2013年」はきれいで透き通った淡い赤色で少しの樽香、ベリーの香りと味が楽しめる。カナダのワインは非常にクオリティが高く洗練された味わい。ヨーロッパとアメリカの良いところを併せ持つ人気のワイン。「シルヴァン・ロワシェ ブルゴーニュ アリゴテ 2012年」は、いま注目の作り手でビオディナミに精通しており、すっきりキリッとしているので野菜のグリルにおすすめ。南アフリカ「ライクス プライヴェート セラー 2011年」シュナン ブランは通常フレッシュでフルーティなのにこちらは樽熟成したしっかりとした味わい。非常にバランスが良く白ワインながら豚や鶏とあう。「重すぎず軽すぎず、バランスの良いワインが僕は好きです」と最後にこっそり教えてくれた。
グラスワインは400〜900円、ボトルは平均4,300円、おいしく食べて飲んで平均予算が5,000円とは驚きである。6名以上集まればお得なパーティープランもある。仲間と集まるのに最適な店が誕生してくれた。
(メニュー)
パテ・グランメール 計り売り/8円/1g
農家のサラダ/1,000円
野菜の前菜/単品550円〜5種1,750円
本日の焼き野菜盛り合わせ/650円
炭焼き(夏エゾ鹿)フライドポテト付き/1,850円/130g
仔羊煮込みリゾット/1,500円
キリ・ヤーニ ヤナコホリ ヒルズ 2012年(ボトル)/4,500円
ケンテ ワイナリー&ヴィンヤーズ ヴォヤージュ 2013年(ボトル)/6,500円
シルヴァン・ロワシェ ブルゴーニュ アリゴテ 2012年/4,500円
ライクス プライヴェート セラー 2011年/6,500円
※ 価格すべて税込
炭焼き&WINE 利三郎
- 電話番号
- 050-5485-0595
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- 月~金
ランチ 11:30~14:00
(L.O.13:30)
月~金
ディナー 18:00~22:30
(L.O.21:30)
- 定休日
- 土曜日・日曜日
祝日
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