どうも、料理芸人・クック井上。です!
“餃子のバル”や“餃子女子”など、お洒落感がキーワードになっている最近の餃子ブーム。しかーし、そればかりに注目が集まりすぎじゃないかい? 餃子は、ブームではなく文化だ! という事で、餃子マニアで料理芸人な僕・クック井上。が、日本のノスタルジックな餃子店をご紹介。ここ、本当は教えたくないんだよなぁー…でも…えーい、教えちゃえ!
■餃子だけで勝負する! 餃子専門店“名前のない餃子屋”
やってきたのは、JR田町駅or都営地下鉄三田駅から徒歩4分にある餃子専門店。看板はなく、あるのは「餃子」と書かれたのれんと赤提灯だけ。実はこのお店…店名がない! 人呼んで“名前のない餃子屋”です!
店内はカウンター7席のみ。単品か定食かが選べますが、メニューも「焼き餃子」「野菜餃子」「水餃子」の3種類のみ。なんとも潔い! やはり一番人気は「焼き餃子」ということで、まずは焼きからいただきましょう!
綺麗な焼き色! 思わず「食品サンプルかよっ!」とツッコミを入れたくなる美しい仕上がりです。で、ここの餃子はひだがついていません。自家製のもっちり皮を使用しているので、市販の皮のようにひだをつける必要はなく、ピタっと閉じただけ。丸み帯びた可愛らしいフォルムがたまりませんねー。たまりませんし、もう我慢できませんねー。食うぜ!
ガブり、ザクッ! もぐもぐもぐ…、キター!
肉々しくてジューシーなのに全然しつこくない! そして芳醇な餡の香りとうまみよ…!
“肉汁ジュワー”タイプの餃子って、実質的に “肉の脂がジュワー”の場合があるじゃないですか。ここのは“肉のうまみがジュワー”! 脂がナイアガラじゃなく、うまみがナイアガラです!
餡の材料は、豚肉と少量のニラのみとシンプルですが、ザクザクと大き目にカットされたニラがいいアクセント。豚肉とニラの餡に醤油とショウガを混ぜ合わせて一晩置いてから、さらに塩と砂糖で味付けしているんですって。え、それだけ? シンプルな材料と味付けなのに、向こう側に何かがいるなぁと思ったら、なんと隠し味にエビを入れているそう。世のエビ餃子のようにプリプリっとしたエビが入っているんじゃなくて、ほんのりと向こう側にエビの風味がする程度。これがいい! というか、こんなに包み隠さず教えちゃっていいんですか? 餃子は包んでも、味は隠さないなんて素敵!
そして、うまみ&しっかり味の餡と相性抜群なのが自家製のもっちり皮。もっちりというと厚い皮を想像しますが、薄皮なんです。薄皮ならではの噛んだ時のサクっと感を上回るザクっと感が◎! 皮の材料はなんと、薄力粉と水オンリーだそうです。これまたシンプル!
まるで東京タワーのような哀愁を漂わせる餃子!?
ここの餃子を食べると、なぜだかトゲトゲしい気持ちがなくなり、ほっこりします。東京タワーのふもとで、昔ながらの雰囲気の店で餃子を味わう…。まるで実家のおかんの愛情に包まれているようで、心があったかくなります。僕、スカイツリーも素敵やと思いますけど、やっぱり東京タワーが落ち着く。同じように、洗練された流行のおしゃれ餃子もいいけど、昔ながらのあったかい家庭的な餃子が断然落ち着くんです! ここは味も雰囲気もツボすぎて、本当は教えたくなかったんだけど…、僕も包み隠さず教えるのが仕事です! 包み隠さない姿勢、おかみさんに負けてられません(笑)。
店内はカウンター7席だけなので、ひとりで飲みに来るのもオススメですよ。女性お一人のお客さんも多いそうです。さて、男性的な肉々しい餃子に続いて、女性的な野菜餃子もこれまたオススメです。
野菜餃子の餡は、キャベツ、玉ネギ、ニラ、長ネギ、ショウガと野菜たっぷりでヘルシー。先ほどの焼き餃子に比べて味がサッパリしているから、ビール・野菜餃子・ビール・野菜餃子・ビール…、無限ループで食べられちゃいます。やめられない、止まらない!
え? 肉と野菜、どっちがおいしかったって?
もう、どちらか一方なんて損します。味わいが全然違うから、2種類食べるのがベストです。あと水餃子は、ぷりっと感を味わえるのはもちろんの事、焼き餃子よりも小麦のいい香りが鼻に抜けていくのを楽しめます。肉か野菜か餡が選べますよ。うん、結局は「焼き餃子」「野菜餃子」「水餃子」3種類とも食べて(笑)ちなみに定食ならば豚汁とごはんがついてきます。実家を感じさせる安心感がハンパないですね! この安心感は、味やメニューだけでなく、おかみさんの醸し出す雰囲気のおかげだと思う!
■おかみさんに脱帽! この店に店名がない理由とは
この餃子専門店、人呼んで“名前のない餃子屋”は、おかみさんが1人で店を切り盛りしています。元々は、ご主人と2人でラーメン屋として経営していたそうですが、10年前にご主人が体調を崩されたことから、1人でも営業できる餃子屋にシフトしたそうです。餃子のレシピは、ご主人のいとこが中国人とのハーフだそうで、その方に教えてもらったのだとか。本格的なのに安心感のある餃子、やっぱり素敵なルーツと歴史がありました。
ところで、ずっと気になっていたのですが、なんで店名がついていないのだろうか…!?
「店名がないのはラーメン屋のときから。元々、主人の師匠が店名をつけずに、看板も出さずにラーメン屋を営業していて、その方針を受け継いだの。だからみんな普通に“餃子屋”って呼んでくれればいいのに、いつの間にか“名前のない餃子屋さん”なんて呼ばれるようになっちゃって」とおかみさん。
師匠とご主人の方針をずっと受け継ぎ、女手一つで店を守っているなんてカッコよすぎる!! 餃子の味はもちろんだけど、おかみさんのかっこいい姿と安心感に魅了されているお客さんも多いんだろうなぁ。
最後に、おかみさんと記念撮影をカシャリ。お土産用に冷凍餃子を販売しているので、テイクアウト! 焼いた餃子もテイクアウトできるとのことですが、おかみさん曰く「できれば冷凍で持って帰って、家で焼いて欲しいけどね」って。アツアツを食べて欲しいっていうおかみさんの愛だよ! ひとりでお店をやっていることもあって、取材は基本お断りなんだそう。だけど、僕がちょこちょこ食べに行っていたのを覚えていてくれたのと、僕の出演しているラジオをいつも聞いてくれていて、お願いしたら今回は特別に取材OKしてくれました。ありがとう、おかみさん…!
ふぅー、お腹いっぱい、胸いっぱい。今回の【餃子を巡る旅】も素敵な出会いがありました。店名、メニュー、作り方、店の佇まい、おかみさん…どれをとっても、飾ってなくてシンプルで、潔さと安心感がありました。こうやってお店のルーツや歴史、想いを知った上で食べたら、またひと味もふた味も感動が増しますね。東京タワーのふもとで、うまみと安心感が溢れる、ノスタルジックな餃子をぜひ堪能してみてくださいね!
<メニュー>
餃子(単品) 450円
餃子(定食) 700円
餃子(持ち帰り・冷凍) 350円
ビール中瓶 500円
※価格すべて税込
編集協力:名久井梨香
撮影:河島彩
名前のない餃子屋
- 営業時間
- 11:30~14:00、17:30~21:00
- 定休日
- 定休日 土日、祝日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。