フレッシュな魚介&野菜を自然派ワインと楽しみたいならここ!三軒茶屋に現れた注目のカジュアルフレンチ

2016年09月27日
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フレッシュな魚介&野菜を自然派ワインと楽しみたいならここ!三軒茶屋に現れた注目のカジュアルフレンチ
Summary
1.飲食店がひしめく三軒茶屋に現れた、カジュアルなフレンチ『umbilical』
2.五感を刺激する魚貝メインの料理と自然派ワインの素敵なマリアージュ
3.東京に新たなカルチャーを生む!? 様々なストリートカルチャーを愛するふたりから生まれた店

飲食店がひしめく三軒茶屋は、グルメ通だけなくデザイナーやミュージシャンなどアーティスティックな人たちも集まる街。そんな感度の高いエリアに、ひと際目を引くブルーの外壁が印象的な店がある。まるで異国の地に迷い込んでしまったかのような外観のこのお店は、三軒茶屋に2016年6月にオープンしたばかりのカジュアルフレンチ『umbilical』だ。旬の魚貝をメインにハーブ、スパイス、野菜をふんだんに使った料理が堪能できる。

感度の高い人たちに受け入れられる、カジュアルなフレンチとは何か? さっそくいただくことにした。

刺身の感覚でオーダーする、「本日のシーフードプレート」

お店いちおしの前菜が「本日のシーフードプレート」だ。この日は北海道厚岸産の生牡蠣とすだち風味のジュレ、鹿児島産カンパチの軽い炙りと赤オクラと柚子胡椒のソース、岩手産新サンマのカルパッチョと生姜のヴィネグレットの盛り合わせとなっていた。自然の風景を切り取ったかのような、美しい盛り付けに心が躍る。

生牡蠣は、ほのかな磯の香りと甘みが口の中いっぱいに広がり、新鮮な貝のうまみに思わず笑みがこぼれる。すだち風味のジュレが、さらに爽やかな香りを生み、あと味をさっぱりと仕上げてくれた。

「フレンチ版、刺し盛りです!」と笑顔で話すのはストアマネージャーでサービス担当の高橋春さん。そのキャッチーな言葉に、ユーモアある遊び心が伝わってくる。

カンパチは、軽く炙ってあり、香ばしさと脂身がマッチ。そっと寄り添う柚子の香りが季節の訪れを感じさせてくれた。野菜は、マイクロキュウリ、赤オクラなど、ちょっと珍しいものも使われている。たくさんの野菜とハーブで色合いが美しい一皿だ。

シェフの小野貴裕さんの地元、岩手から取り寄せているサンマを、ミョウガ、生姜のソースでいただくと秋の味覚が口の中いっぱいに広がる。肉厚の焼きナスもみずみずしくジューシーで、程よいアクセントとなっている。

「ミョウガとナスは、岩手の実家で作っているものです」とシェフの小野さん。食材の季節感、旬のうまみを自然と体験できるのは、シェフの食材へのこだわりと温かい地元愛にある。

このシーフードプレートに合わせるペアリングワインは、「ペティアンナチュレル ハッピー!/ナナ・ヴァン・エ・カンパニー」。酸味、ミネラルのバランスが良く、酸がしっかりしているスパークリングの自然派ワインだ。旬の魚のうまみを損なわない、柑橘系のさっぱりした口当たりである。ハッピーという名のワインは、オーナーの高橋さんからの「これから楽しい時間をお過ごし下さい」という意味が込められている。粋な演出が女心をくすぐる。

こんもりとした森のような鮮やかなグリーンが美しい「パクチーと季節のフルーツのサラダ」

緑の森の中にひっそりと隠れていたのが季節のフルーツ、キウイだ。パクチーやハーブ、キウイの香りが複雑に混ざりあいながらも、細かく散りばめられたコンテチーズが味をまろやかにまとめてくれる。ソースのビネガーと隠し味の蜂蜜が合わさり酸味と香りが華やかなフルーツサラダだ。シンプルだが一度食べたら、忘れられない存在感がある。

このサラダに合わせるペアリングワインは、「ザ・ササローズ シノン・ロゼ/ル・キャロワ・ボネール」。
「パクチーのエスニックな香りには、ロゼとの相性がいいですよ」と高橋さん。パクチーとロゼ?と疑ってしまったが、紅茶のような香りと甘みがあるロゼは、サラダの隠し味の蜂蜜やキウイの柔らかい甘みと合わさり、明るい気分にさせてくれる。こんな組み合わせた方があるのかと驚いた。

香ばしい香りとともにテーブルに運ばれてきたのは、「北海道産 真イワシとジャガイモのパイ包み焼き」。ツヤツヤのパイ生地に隠れているしっとりとした真イワシとジャガイモ。鳥の巣を思い浮かべる付け合わせは、薄くスライスしたゴボウは軽く素揚げし、マッシュルームの泡ソースで仕上げている。

サクサクのパイ生地と塩気の効いた真イワシ、そしてしっとりとしたジャガイモのペースト…それぞれ異なった食感が口の中で混ざり合う。マッシュルームのエキスと生クリームで作られた白い泡のソースは、キノコの香りとうまみが凝縮されていて、しっかりとした味付けだ。そのソースがパイ生地にしみ込むと口に入れた瞬間にとろんと表情を変える。初めは、パリッとした生地が食感のアクセントになり、次第にソースがパイ生地に染み込みしっとりとした深い味わいに変化していくのだ。

これに合わせるワインは、「レバリエール アンジュー/トマ・バタルディエール」。映像作家だった経歴を持つ若手の生産者が作っているというストーリー性のあるワインで、その生き方に高橋さんが惚れてしまい、入荷をきめたものなんだとか。

香ばしい料理に合うクラシックな風味の白ワインで、魚料理との相性も良く、さっぱりとした味わい中に酸味と甘みが隠れている。

メインの2品目は、「本日の鮮魚のブイヤベース」。ホウボウ、エビ、ムール貝、白貝など見ていてワクワクするような大ぶりの魚貝が香り高いスープに浸っている。ふわっとした肉厚のホウボウ、プリッとした食感のエビにうまみたっぷりのムール貝と白貝が、日本人好みにさっぱりと仕上げているというブイヤベースにしっかりと溶け込んでいる一品。

スープのうまみを最後まで楽しみたい人には、残ったスープでリゾットを頼むこともできる。

メインディシュに合わせるワインは、「キュベ100% 2013/ドメーヌ・ル・ピカティエ」。さっぱりとしたブイヤベースにアクセントを加える、コショウや塩気を感じる赤ワインだ。

ストリートカルチャーの洗礼を受けた二人だからこそ出せる味

(写真左より、ストアマネージャーの高橋春さん、シェフの小野貴裕さん、スーシェフの柳田航さん)
高橋さんと小野さんは、岩手出身で高校からの同級生。もともとは広告代理店、証券会社という飲食とは関係のない職種で働き、サラリーマンをしながらフードコーディネータースクールに通っていた。そこから、二人で本格的に起業することを夢に、飲食の会社に転職。高橋さんは『DEAN & DELUCA』で販売職を経験し、小野さんは、代々木上原のフレンチ『gris』や恵比寿の『ビストロ シロ』でスーシェフの経験を積んだそうだ。そして、今年6月に三軒茶屋に念願のお店をオープンさせた。

屋号である『umbilical』=アンビリカルとは、英語で「へその緒」という意味。「人と人が繋がる場所という意味を込めています。それと僕たち(二人)の地元、岩手県の一関が東北地方のへそ(中心)に当たることから『umbilical』と名付けました」と高橋さん。

店内は、以前とんかつ屋だった店舗をリノベーションしており、モダンでありながらも、木の温かみを感じ落ち着く空間。ブルーの外壁のイメージカラーは、二人が育った三陸、岩手県の旗の色、グリニッシュグレイからインスピレーションを得ているそうだ。


「僕たちは自分たちのスタイルを『ストリートフレンチ』と呼んでいます。自分たちと同年代くらいの人たち(30代)がふらっと入りやすい、自由な価値観を持ったフレンチの店を目指しています」と高橋さんと小野さん。彼らは、裏原ブームをはじめとしたストリートカルチャーの全盛期に青春を過ごした世代。ファッション、音楽、ライフスタイルにこだわりを持つ、お洒落に敏感な30代をメインターゲットにしている。

自由度の高い料理が岩手と三軒茶屋をつなぎ、二人の感性が感度の高い人と人とをつなぐ。彼らの得意とするカジュアルな「ストリートフレンチ」から食、ファッション、などライフスタイルのムーブメントが起こりそうな予感がする。予約の取れない店となる前に彼らにしか出来ない『ストリートフレンチ』をぜひ体験してほしい。
(取材・文/矢野詩織)


【メニュー】

・本日のシーフードプレート」/980円
※2人前からオーダー可能
※魚の種類は日によって異なる
・パクチーと季節のフルーツのサラダ/920円
・北海道産真イワシとジャガイモのパイ包み焼き/1,380円
・本日鮮魚のブイヤベース/2,450円
・ペティアンナチュレル ハッピー!/ナナ・ヴァン・エ・カンパニー
グラス950円、ボトル5,700円
・ザ・ササローズ シノン・ロゼ/ル・キャロワ・ボネール
グラス900円、ボトル5,500円
・レバリエール アンジュー/トマ・バタルディエール
グラス1,300円、ボトル7,800円
・キュベ100% 2013/ドメーヌ・ル・ピカティエ
グラス1,000円、ボトル6,000円

umbilical(アンビリカル)

住所
東京都世田谷区三軒茶屋2-15-3 1F
電話番号
050-5487-5639
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
営業時間
月~木
18:00~24:00
(L.O.23:00)

金・土・祝前日
18:00~翌2:00
(L.O.1:00)
定休日
日曜日
※月曜が祝日の場合は日曜営業、翌月曜が振替休日となります。
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/hykure060000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。