「一見お断りの店」や「常連」が日本ではなぜ価値を持っているのかということについての考察【美食の構造】

【店づきあいの倫理学】店は生きものであり「おいしさ」や「楽しさ」は数値化できない。だから顔の見えない他者からの情報「評価」を比較して店や食べるメニューを決めたりすることは無効だ。その店だけの「固有の身体感覚」のようなものがあり、その場その時の「代替不可能な店側/客側のコミュニケーション」が、その店の真価を決定づけている。「店と客の関係性」をもとに「よりおいしく食べるための店づきあい」の方法とは?

2016年10月26日
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「一見お断りの店」や「常連」が日本ではなぜ価値を持っているのかということについての考察【美食の構造】
Summary
1.シェリーにみるヨーロッパの食文化の構造
2.京料理ひとつをとっても、さまざまな店舗形態が入り混じっている現実
3.ファストフードからミシュラン三つ星まで幅の広い日本の食文化について

スペインのアンダルシアからシェリー原産地呼称統制委員会長のベルトラン・ドメックさんが来日した。
その記念セミナー「シェリーの21世紀」が10月5日にあって、講演を聴きに行った。
シェリーは同じスペインのワインに比べてマイナーな感があったが、スペイン・バルが街場のトレンド的に流通してきたこともあって、ピンチョスやタパスというツマミの概念や、ハモン・イベリコ・デ・ベジョータというのが、イベリア(イベリア半島)由来の黒豚を一定期間ドングリを食べさせて飼育したもののハムなのだ、ということを理解したりもしたことだろう。
ただシェリーについては、一般のスティル・ワインに比べてカテゴリーによる特徴がハッキリしていることを知っているだけで、辛口にしてもフィノやアモンティリヤード、オロロソというのがどういうものか、ということを味覚的官能的にぼんやりと分別するだけだったのではないか?
「ドンソイロ」というのがそのカテゴリー名なのか醸造者名なのかも区別がつかなかったし、美味しかったらどうでもいいやと思っていたというのが正直なところか。
フランス・ワインのA.O.C.にしてもスペインのシェリーにしても、ヨーロッパのワインは、どういう土地でどんな品種を使ってどのように醸造したか、ということが明文化されていたり格付けが決まっていたりして分かりやすい。

ヨーロッパの合理精神が行き届いていて、たとえば……

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