カベルネ・ソーヴィニヨンについてうかがうため、ボルドー大学ドゥニ・デュブルデュー教授のシャトーを訪ねたのは、今から4年前のことでした。教授はまるで講義でも聴かせるかのように理論立てて語り始め、最後は「カベルネ・ソーヴィニヨンは気難しいブドウ品種」というインタビューのテーマをひっくり返して、「本当に気難しいのはメルローかもしれない」と結んだのであります。
カベルネ・ソーヴィニヨンに比べるとメルローのほうが栽培は容易に思えますし、それこそ日本ではカベルネよりメルローのほうが圧倒的に優勢。世界的に見てもメルローはカベルネに勝るとも劣らず、あちらこちらで造られているように思えるのですが、教授がメルローのほうが気難しいかもとほのめかした理由は何だったのでしょうか?
カベルネ・ソーヴィニヨンのワインなら、ボルドーには昔から銘酒の誉れ高きシャトー・マルゴーやシャトー・ラフィットがあり、カリフォルニアのナパ・ヴァレーにもスクリーミング・イーグルやハーランといった、マニア垂涎のワインがあります。イタリアのサッシカイアやオルネッライアなど、一連のスーパー・タスカンも忘れてはなりません。つまりカベルネ・ソーヴィニヨンは、ボルドー以外の土地でも偉大なワインを生み出しています。しかし一方、メルローは・・・?
つまりそこそこの品質のメルローなら世界にいくらでもあるけれど、偉大なメルローはボルドーの右岸を除いて、非常に限られた例しかない。したがって、メルローこそ栽培適地が限られた、真の気難しい品種ではないか・・・というのが、教授の見立てなのでした。
さて、話はここからが本番です。
メルローから造られる偉大なワインというと、、、
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