東京・池袋の人気中国料理店『聚福楼』が待望の2号店をオープンし大人気を博している。羊の塊肉やウサギの丸焼きをがっつりと食べられる店として肉好きの間で話題を集めてきたが、これまで「予約がとれない」「満席で入れない」という不満の声も多かった。しかし、2号店はコンセプトをそのままに、ワニの塊肉をメニューにラインアップ。1号店から徒歩1分のところに140席の大箱で誕生し、肉ラヴァーにとって喜びのオープンとなった。
羊の塊肉は重量1.3kg超のダイナミックさ
『聚福楼』の一番人気といえば羊の塊肉。主にオーストラリア産の肉を厳選し、「羊の足の丸焼き 前腿」(写真上)は食感が柔らかいモモ肉を使用する。卓上には串刺しにした肉を焼く特注の炭焼き台が置かれ、1.3kg超の羊肉が豪快に焼かれるが、その超ど級サイズの塊肉に思わず目が丸くなる。そして羊肉は一度表面を炙った後、いったん厨房に下げられカットされ再び登場する。
羊肉が再提供されたら、ここからはセルフで焼き上げよう。ハサミを入れながら好みの大きさにカットして焼くのがベスト。ひと口食べると羊肉独特のクセが控えめなため食べやすく、どんどん箸が進んでいく。羊肉は醤油、塩、香叶(テンジクアオイ)、花椒などの調味料に7~8時間漬け込んで下味を付けているため、口の中で醤油やスパイスの芳ばしい香りも感じる。スパイスや卓上調味料も用意するが、まずはひと口、何もつけずに堪能したい。
自家製唐辛子粉とコチュジャンで自由に調味
二番目に人気なのが「羊の背中の焼き」(写真)。こちらも前腿と同様、塊肉で提供され、その重量はなんと1.5kg! 串刺しにされた塊肉は、時折串の端を回しながら全体に焼き色をつけていく。「お客様に驚いてほしいと思い、数年前、中国で流行っていた姿焼きや塊肉の炭火焼きを日本に持ってきました」と話すのはオーナーで中国出身の山本晶さん。「身体にいいものを提供しようと考えて、冷え症や疲労回復などにも効果の高い羊肉を選びました。脂身が少なくヘルシーなため、女性のお客様からも人気が高いです」と続ける。
背中の肉は、前腿よりもジューシーで柔らか。前脚と同様に、香辛料を加えた醤油ベースの下味をつけているが、スパイスや調味料で味わいを変えて楽しむのが『聚福楼』のスタイル。特製スパイスは、数種の唐辛子粉をベースにクミン、ゴマ、塩など約10種類の香辛料を混ぜ合わせたもの。真っ赤であるが見た目ほど辛みはなく、クミンの風味が強い。また、甘辛い自家製コチュジャンも、羊肉にアクセントを加える名脇役。卓上には塩やフェンネルシードなどの調味料、スパイスを常設する。好みの味で食べ進めることで、1.5kgでも4人で来ればあっという間に食べ尽くしてしまう。
「兎の丸焼き」はそのメニュー名通り、丸ごと一羽分のスペイン産や韓国産のウサギを姿焼きする一品。炭焼き台からはみ出るほどの大きさに、誰もが驚嘆するはずだ。ウサギもまた重量1.5kgという重さで食べ応え十分。こちらも串を回しながら約15分かけ、じっくりと香ばしくきつね色になるまで焼き上げていく。
「ウサギも羊肉と同じように脂身がなく、ヘルシーな食材です。また糖尿病予防など、健康効果が期待できますね」と山本さん。冷凍せずフレッシュなまま仕入れるウサギは臭みが少ないため、塩のみで下味を付ける。しっかりと中まで火を通しても、肉質は柔らかく、歯切れのよい食感が小気味よい。鶏肉に似た淡白な味わいのため、初めて食べる人でもすんなりと受け入れられそうな味わいだ。
中国人シェフが作る本場の中国料理も健在
厨房をとり仕切るのは、中国・東北地方出身で料理人歴20年超のシェフ。中国人客に人気が高いとすすめてくれたのが、現地でもよく食べられる「鶏爪の辛味炒め」だ。こちらは鶏の足(モミジ)を、コチュジャンベースの甘辛ソースで絡めた炒め物。甘辛く濃い目の味付けはビールやハイボールとの相性がよく、酒のアテにもふさわしい。脂が多くもっちりとした食感で、クセもなく食べやすい。箸でちょびちょび食べるのでなく、豪快に手づかみで食べるのが本場流だ。
一見するとグロテスクな写真上の料理は「蚕の蛹と唐辛子炒め」。天ぷら粉でカラリと揚げた蚕を、唐辛子、ゴマ、ニンニクの芽、香叶(テンジクアオイ)とともに炒め合わせる。蚕はその見ためとは裏腹に臭みやクセがなく、香ばしい風味が特徴。カラッと揚がった蚕はサクッとした食感の後に、甲殻類の味噌のような芳ばしい風味が広がる。ゴマの風味が高く、時折口の中を刺激する唐辛子のピリリとした辛みが、酒を進めてくれる。この料理をおすすめしたい理由は、蚕の蛹(さなぎ)1匹には卵3個分の栄養素が含まれる、パワーフードである点。食べて元気になれる料理が『聚福楼』にはたくさん揃っているのだ。
塊肉は1kgオーバーのものが多いため、3人以上のグループ利用がおすすめ。一方でカップルで楽しむなら、四川や広東、東北など中国各地の料理をゆっくりと楽しむのもいい。週末は混み合うため、予約来店がベスト。2人客で予算6,500円程度と、見た目の豪快さに反してリーズナブルであることも、多くのファンを獲得している理由の一つだろう。
(写真/岡本寿)
【メニュー】
ホタテのニンニク焼き(1個) 680円
鉄板羊肉 1,280円
九個と羊肉の煮込み 1,580円
ゆで牛センマイの特製ソース和え 880円
牛ハチノスとネギの和え 980円
干し豆腐千切りの和え 680円
麻婆豆腐の石焼 1,080円
白身魚の四川風煮込み 1,680円
※価格はすべて税抜
聚福楼
- 電話番号
- 050-3464-7697
- 営業時間
- 16:00~翌4:00(L.O.2:30、ドリンクL.O.2:30)
- 定休日
- 不定休日あり
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。