2年前の夏、移転を理由に閉店した『ルージュトマト』が、『ルージュトマトチェルシー』として今秋、チェルシーに再オープンした。『ルージュトマト』がニューヨークで最初の店を2008年にオープンした時、「美味しくてヘルシーで、環境や企業の社会的責任にコンシャス」というそのコンセプトは、当時としては目新しかったといえるだろう。しかし、2011年に人気レストランとして注目されていた最中に閉店。新生『ルージュトマト』はコンセプトもシェフも変わらず、料理は美味しくて美しいままだが、雰囲気は大分変わった。
最初の店はアッパーイーストサイドの『バーニーズ』のすぐそばにあり、華やかな高級レストランだった。しかし、『ルージュトマトチェルシー』はもっとカジュアルで気楽に入れる。19世紀に馬小屋として建てられたランドマーク指定のビルを活用し、中は木やレンガのぬくもりを基調としたナチュラルで温かみのある空間になっている。
一番人気の高い料理はマッシュルーム。独創的な盛り付けも魅力的だ。食材はできるだけ地元でつくられたオーガニックのものを使う「地産地消」志向。どうしても地元で育てられない食材は、環境や社会的責任において信頼できる生産者から買い付けている。
肉料理で一番人気があるのは、意外にも鹿肉の料理だそうだ。
私はカリフラワーの料理をトライしてみたが、これもとっても美しくて美味しかった。パープルのカリフラワーと共にさまざまな野菜がセンスよく盛り付けられ、真ん中におかれたブルーチーズのソースをつけながらいただく料理だ。
ニンジンやリンゴ、生姜入りのカクテルがあるのも、ヘルシー志向の『ルージュトマト』らしい。飲み物も料理と同じコンセプトで、生産過程にこだわった品揃えをしている。ワインは1,600種類以上あり、大方が有機農法あるいはバイオダイナミック(ビオディナミ)農法でつくられたものだ。
『ルージュトマト』の1号店は、ベルギーのブリュッセルに2001年にオープンした。ブリュッセル店は、2014年にシェフとジェネラルマネジャーに売却された。ニューヨークの『ルージュトマト』は、創業者であるベルギー人のエマニュエル・ヴァーストレーテンCEOが率いる。ニューヨークで再出発したばかりの『ルージュトマト』だが、今後多店舗展開する予定という。「美味しくて美しくてエシカルな料理を肩肘張らないですむ空間で食べられる」場が増えるのは、嬉しい限りだ。
Rouge Tomate Chelsea(ルージュ トマト チェルシー)[閉店]
- 営業時間
- 12:00~15:00、17:30~22:30
- 定休日
- 月曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。