パスタと肉料理の人気店の3号店
六本木にパスタのおいしいイタリアンができたと話題になったのが5年前、盛り盛りの「シャルキュトリ」や契約農家直送の野菜を楽しんだ後にメインのパスタをいただくスタイルで瞬く間に人気店となった。リーズナブルでボリューム満点、大人がカジュアルに仲間と楽しめるとあって常に賑わいをみせている。3年後には同じ六本木のミッドタウンに、そして2016年、恵比寿に3店舗目をオープンさせた。
恵比寿という立地を考えて2人から楽しめるようにSサイズを用意したり、名物「シャルキュトリ」を置く“肉台”を作りスペースを広く使えるようにした。また人数を自在に変えられるようにテーブルが配置され、カウンター、個室や大テーブルもあり色々なニーズに応えられる。ご近所さん、女子会、デートなどオープンして間もないのにすでに満席状態が続き人気のほどがうかがえる。
「誰もが気軽にノックしてほしい」という願いを込めた店。早速“ノック”してみよう。
パスタの1,000本ノックから生まれた味はさすがのレベル! 変わり麺も初登場!
まずは『ノック』の代名詞とも言えるパスタから。こちらではメインが肉でも魚でもなくパスタなのである。イタリアンならば通常はプリモピアットと言って前菜の後に出て来るものだが、それではお腹が膨れてしまうだろうということで、ワインを飲みながら肉や野菜を食べ、シメにパスタでお腹いっぱいにしてもらうスタイルを提案している。どうしても先にパスタが食べたいということであればもちろん可能だが、どうやらこちらでは“シメパスタ”がすっかり定着しているようだ。
実は、恵比寿店オープンをきっかけにパスタの種類を充実させたのだそう。通常のスパゲッティーニに加え、「もちもち太麺」、「グルテンフリー麺」、「生麺タリアテッレ」、「生麺フジッリ」、「ニョッキ」、「野菜麺」が、プラス100〜300円で変更できる。珍しいので「グルテンフリー麺」と「野菜麺」にして、それぞれに合うソースにしてもらう。
まずは「大塚さんの“あやめ雪カブ”と鹿ラグーのスパゲッティーニ」。こちらはスパゲッティーニをグルテンフリー麺にチェンジ。シェフをはじめスタッフが自ら畑に出向くだけあって野菜が本当においしい。土に埋もれていない部分がきれいな紫色になる「あやめ雪カブ」はやわらかく甘みがあり、これだけで食べても良いのではと思うほど。
ピューレにしてソースにも使っており、クミンやフェンネルの入ったスパイシーなラグーと織りなすハーモニーが本当に素晴らしい。トウモロコシ粉のグルテンフリー麺の味は全くもって小麦粉のパスタと変わりなく、アレルギーを持つ人には嬉しいだろう。
次は、「NEW ミートソースVol.15」。ミートソースの後の”Vol.15”がとても気になるので訊いてみると「最初は豚と牛のひき肉に赤ワイン、トマトなどを煮込むいわゆる家庭で作るミートソースから始まって、野菜を入れてみたり、肉を増やしてみたり、ハーブを入れてみたり、イノシシに変えてみたり。変遷を経て今15回目ということです」と『ノック』3店舗すべての味を統一しているカズ(梶原政之)総料理長。(本人がこの通称の方が馴染んでいるとのことでカズ総料理長と呼ばれている。)
なんだかんだやってみてVol.15では牛ひき肉100%に戻っていて赤ワインをたっぷり、化学調味料を使わずに玉ねぎのペーストや牛のだしでコクと味を決めている。口当たりが軽いのに肉の風味はしっかりと感じるミートソースだ。きっとこれからも『ノック』らしく進化していくのだろう。Vol.15からいったいいくつまでいくのかも楽しみだ。
野菜麺はスパゲッティーニに野菜が練りこまれたものだとばかり思っていたが、なんと野菜そのものだった。大根、きゅうり、人参を細く長く切り、麺に見立てているのだ。夜遅く食べても罪悪感無し、健康重視の人にはオススメだ。とは言え野菜なのでソース選びはスタッフと相談した方が良いだろう。
『ノック』にちなんで「1,000本ノック」と銘打ち、日々新しいパスタを作っている話は周知のこと。そもそもはスタッフの一人が言った「ランチに日替わりパスタがあったら良いな」から、どうせやるなら1,000種類目指そう!とスタートした。イタリア料理という枠は越えずに作り、もはや1,000種類は超えたそう。既存メニューをブラッシュアップしながら今もなお新しいアイディアを出し続けている。そんな中からメニューに残っているのだからそのレベルの高さは言うまでもない。
メニューはすべて“楽しむ!”料理
先にパスタの話をしてしまったが、メニューは「パスタ」、「肉のつまみ」、「野菜のつまみ」、「葉っぱの野菜」、「シャルキュトリ」「炭火焼のお肉」に分かれており、まずはパスタ以外のものを楽しむのが“ノック流”。
では「葉っぱの野菜」から恵比寿店だけのメニュー、「トレビスとキャベツの芋サクシャキシャキサラダ」をご紹介しよう。目の前に置かれた瞬間、その量に驚くことだろう。でも安心してほしい。みんなでシェアすることもあるが、おつまみとして考え、食事が終わるまでおいしく食べ続けられるサラダなのだ。千切りして揚げたじゃがいもの食感、バルサミコとマヨネーズの味の変化、ゆで卵やナッツも入って食べ飽きることがない。だからこの大きさでもちょうど良いというわけ。SNSの掲載率も高く、これを目当てに訪れるファンが急増中というのも理解できる。
そして「肉のつまみ」からは名物「イタリアン・シャルキュトリ」。こちらも食べきれるのか?と思わせるボリューム。生ハムやサラミ、自家製のジャーキーやロールハムなど10種類が所狭しと盛り付けられている。「安心安全な食材」にこだわるがため手作りのものを増やしている。「和牛ジャーキー」は「牛肉のしぐれ煮」に似た味付け、「鶏肉豚肉ロールハム」は溶けるようなやわらかさ、面白いところで甘く揚げたサルデーニャの「パーネカラサウ」を生ハムキムチと一緒にいただいたりと、おいしいものへのアイディアが豊富。
揚げピザのような「ニョッコ・フリット・ボンバ」はボローニャの郷土料理。現地ではハムやソーセージに欠かせないそうだ。もちっとカリッとしてついつい手が伸びてしまう。
他にも「キンピラーノ」や「パクチーノ」などネーミングもくすっと笑えるものばかり。メニューのカテゴリーすべてに“楽しむ!”の文字がある。その名の通り「味、見た目、量」と思う存分楽しめる料理の数々。これはすべて制覇しなければ!
日本でいちばんおいしいスパゲティ屋さんを目指す!
もはや3店舗ともなればそれぞれのシェフによって味が変わってしまうものだろう。総料理長として『ノック』の味とは?と訊くと「ひとくち目のおいしさです。おいしいのは当たり前と最近よく耳にしますが、ひとくち目で誰もがおいしいと言ってもらえるようにしていきたい」と語る。また、こんなイタリアン食べたことがないと言ってもらえたらとも。イタリアはトリノとガルダ湖の1つ星レストランでの経験から良い食材を活かし手をかけすぎないことが大切だと感じた。これからも新しい調理法を取り入れようとは思わずに、食材が見える『ノック』にしかない、『ノック』だけができる味を追求していきたいと話すカズ総料理長(写真右)。
そんな『ノック』の味を恵比寿店で伝えるのが山下尚裕料理長(写真左)。立ち上げからカズ総料理長の元で研鑽を積んできた。その味を守りつつ本日紹介したパスタやサラダなどこちらにしかないメニューも提供している。恵比寿店のコンセプトのひとつ、古材を使うことで温かみがある店内は、本店やミッドタウン店よりひとりでプラっと気軽に訪れることもできる。目指すは日本でいちばんおいしいスパゲティ屋さん。パスタといえば『ノック』と言われる日もそう遠くないはずだ。
(メニュー)
イノシシ・ラグー/1,500円
NEW ミートソースVol.15/1,300円
選べるパスタ/追加100円〜
イタリアン・シャルキュトリ/1人前1,200円(2人前より)
ニョッコ・フリット・ボンバ/400円
トレビスとキャベツの芋サクシャキシャキサラダ/1,200円
※価格すべて税抜
KNOCK 恵比寿店
- 電話番号
- 050-2018-2787
- 営業時間
- 月〜金11:30〜15:00(L.O.14:00)、17:00〜24:00(L.O.23:00) 土日祝11:30〜15:00(L.O.14:30)、17:00〜24:00(L.O.22:00) 定休日 年末年始
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。