たった一度だけ、カレーという食べ物を口にして泣きそうになったことがある。2012年の夏、とあるカレー店でのことだ。その半年と少し前、病に倒れた店主が復帰。休業期間を終えて土日のみの慣らし営業を始めた。再開して何週間か経った頃、4席あるカウンターの1席に座って目の前にカレーが供されたときのことだった。
その日注文したのは「鶏とパプリカの梅カレー」「チキンピクルス」「和ッサムスープ」「ライ麦と豆乳のナン」。そしてビールはサッポロ黒ラベル。日本のカレー事情に詳しい人なら「梅カレー」でどの店の話かわかるだろうし、通いつめた方ならナンの種類で時期まで特定されるかもしれない。
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