「本当の和食」が絶滅の危機に瀕しているのは「料理じゃないもの」を出す店が増えているからである

【店づきあいの倫理学】店は生きものであり「おいしさ」や「楽しさ」は数値化できない。だから顔の見えない他者からの情報「評価」を比較して店や食べるメニューを決めたりすることは無効だ。その店だけの「固有の身体感覚」のようなものがあり、その場その時の「代替不可能な店側/客側のコミュニケーション」が、その店の真価を決定づけている。「店と客の関係性」をもとに「よりおいしく食べるための店づきあい」の方法とは?

2017年02月15日
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「本当の和食」が絶滅の危機に瀕しているのは「料理じゃないもの」を出す店が増えているからである
Summary
1.和食が世界文化遺産に登録されたことは和食という文化そのものがかなり深刻な絶滅の危機である証左
2.農水省が示す「和食の4つの特徴」に当てはまる料理は日本にどれだけあるのか?
3.「外食産業」と「料理屋」の違いとは?

ビーフのフィレ肉をどかんと200グラムという食べ方と、酒肴や小鉢にちょこっと盛られた料理をあれこれ少しずつという食べ方がある。

和食はだいたい後者の食べ方が多い。天ぷらの店にしろ、同じ海老だけをお腹いっぱい食べるということはしないし、酒をちびちびやりながら食べ、最後はご飯もので締めて満腹になる。

和食がユネスコの世界文化遺産に登録されたが、それは和食という文化そのものがかなり深刻な絶滅の危機に瀕しているということに言い換えることが出来る。

農水省のHPを見てみると、「『和食』の4つの特徴」として以下のように記されていた。

(1)多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
日本の国土は南北に長く、海、山、里と表情豊かな自然が広がっているため、各地で地域に根差した多様な食材が用いられています。また、素材の味わいを活かす調理技術・調理道具が発達しています。

(2)健康的な食生活を支える栄養バランス
一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは理想的な栄養バランスと言われています。また、「うま味」を上手に使うことによって動物性油脂の少ない食生活を実現しており、日本人の長寿や肥満防止に役立っています。

(3)自然の美しさや季節の移ろいの表現
食事の場で、自然の美しさや四季の移ろいを表現することも特徴のひとつです。季節の花や葉などで料理を飾りつけたり、季節に合った調度品や器を利用したりして、季節感を楽しみます。

(4)正月などの年中行事との密接な関わり
日本の食文化は、年中行事と密接に関わって育まれてきました。自然の恵みである「食」を分け合い、食の時間を共にすることで、家族や地域の絆を深めてきました。

単純な内容で極めて分かりやすい。が、確かにこういうふうに捉えられると、今の和食をめぐる状況は危ない。

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