デトックス効果やアンチエイジング効果が高いと一大ブームを巻き起こしたパクチー。現在もブームは続いているが、そのパクチーをなんと「無料でお代わりし放題」という専門店が大阪にあると聞き、早速訪れた。
店の名は『GOGOパクチー』。地下鉄御堂筋線・本町駅と心斎橋駅のちょうど中間あたりにあり、店の前に止まっているパクチー色のバイクが目印だ。階段を降り、地下1階の店に一歩足を踏み込めば、パクチー色のTシャツを着たスタッフに、パクチー色のコースター、パクチー色の箸、パクチー型のクッション……と、とにかくパクチーが目に飛び込んでくる。
パクチーは無料でお代わりし放題!
もちろんメニューもパクチーに始まりパクチーに終わる。「パクチーサラダ」などの前菜から、「パクチー油淋鶏」などの肉料理、「パクチーエビマヨ」などの魚介系、そして「パクチー炒飯」から「パクチー酸辣湯」などの飯ものやスープまで、実にさまざまなパクチー料理がズラリと並ぶ。料理ジャンルは、8割が台湾料理、残り2割が“日本料理にパクチーを融合させたもの”だそうで、「パクチーの根の天ぷら」をはじめ、ほかではなかなかお目にかかれないアレンジメニューも揃っている。
特筆すべきはこれらのメニューに無料で‟追いパクチー”ができること! しかも‟無添加”‟有機栽培”‟国産農家直送”というこだわりのフレッシュパクチーが、いくらでもお代わりできるのだ。少しちぎって食べてみると、特有のクセが少なく、みずみずしく香り高い味わいに驚く。シャキシャキとした食感も楽しい。
では早速、そのパクチー料理を味わってみよう。まず注文したのは、生地にパクチーの茹で汁を加え、餡にも刻んだパクチーをたっぷり加えた「緑に輝くパクチー水餃子」だ。見た目はまさに「パクチー色」だが、口にするとあの特徴的な風味はふんわり程度で、餡のジューシーさと生地のもちもち感が際立って感じられる。魚醤ベースのタレにつければ、タレの発酵味とパクチーのやさしい風味が相まって、なんともアジアなテイストを奏でてくれる。
続いて、「パクチー麻婆豆腐」。こちらもミキサーで攪拌したフレッシュなパクチーのペーストがたっぷり入っており、見た目に緑がかっているが、味にその存在感は主張しすぎない程度に抑えられている。トーチをベースに中国のスパイス「花椒(ホアジャオ)」を加えた肉味噌は、ビリビリとしびれる辛さだがうまみも満点。パクチーがさりげなく肉や豆腐の味わいを引き立てているのが分かる。写真のように“追いパクチー”をすれば、そのみずみずしさと独特の風味がアクセントになり、辛味も緩和される。実はこれこそ店主の田淵雅圭さんの狙いで、「フレッシュなパクチーをたくさん味わってほしい」という想いから、料理の味付けを全て少し濃いめにしているのだとか。つまり、この店で料理を食べる際は、‟追いパクチー”が基本なのだ。
続いて登場した「パクチー炒飯」もまたしかり。玉ネギ、ニンジン、卵などの具材を、漢方食材と一緒に甘辛く炊いた豚肉と炒め、仕上げにたっぷりとパクチーペーストを加えている。
が、この緑色さえなければパクチーの存在には気が付かないかもしれないほど、パクチーの風味はほんのり。ベーシックな炒飯の味わいである。ただ、ここまでくると舌が慣れてくるからなのか、「もっともっと」パクチーのあの風味が欲しくなり、ついつい“追いパクチー”の量も増えてしまう。
青汁のような「パクチービール」もそろえる
そして〆もやっぱりパクチー。こちらは、「パクチーと酸菜の無水鍋」だ。パクチー色のタジン鍋で蒸し上げられるのは、台湾や中国で一般的な漬物「酸菜(さんさい)」とたっぷりの野菜、そして日替わりの団子(この日は魚卵団子)だ。高菜を塩、ラー油、干しエビ、唐辛子などで漬けた「酸菜」は、酸味の強いザーサイのような味わいだが、その風味と、塩、山椒、唐辛子などを加えた‟特製塩だれ“とのコラボレーションで、一度にたくさん口にすると、むせてしまうぐらい超ホットだ。けれども、ここに”追いパクチー“をたっぷり入れると辛さが緩和され、プリプリの魚卵団子のうまみや野菜の味わいをグッと引き立ててくれる。
こちらではパクチードリンクも充実しており、中でもオススメは写真のパクチービールだ。通常のビールにパクチーペーストがたっぷり入っており、水に溶かすと青汁のような風味に変化するパクチーの味わいと、ビールのキレ感が同居する、不思議な一杯である。田淵さんによると「悪酔いしない」とリピートするお客さんも多いそうなので、ぜひ一度試してみては!?
こちらが、ラーメンマンのような辮髪がトレードマークの店主・田淵さん。「パクチー党」の党首と「パクチー教」の教祖を自称する大のパクチー好きだ。お母さんが台湾人、お父さんが日本人のハーフであり、家庭には日常的にパクチーが乗せられた料理が並んでいたのだとか。小さいころは田淵さんもパクチーをよけて食べていたというが、ある日パクチーなしの水餃子を食べて違和感を覚え、わざわざ冷凍していたパクチーを乗せて食べてみると、満たされる気持ちになったことが「パクチー好き」への第一歩だったとか。
その後、カメラマンとして働くも、「台湾の食文化を日本に浸透させたい」という気持ちが大きくなり、2010年に家族で担々麺の店を開店。その後、「台湾料理の象徴であり、ハーフだった自分と同じく異文化野菜の象徴であるパクチーも日本に定着させたい」と、この店をオープンするに至った。料理以外にも、乾燥したパクチーをお風呂に入れる「パクチー銭湯」の提案や、「パクチーひな祭り」「パクチー合コン」などのイベントを行っているほか、実にさまざまな方法でパクチーの普及に努めているので、パクチー好きは要チェックだ。
(文/笹間聖子、撮影/前田博史)
【メニュー】
緑に輝くパクチー水餃子(4個入) 680円
パクチー麻婆豆腐 1,000円
パクチー炒飯 980円
パクチーと酸菜の無水鍋(2~3人前) 2,500円
活オマール海老パクチースペシャル 量り売り
パクチー油淋鶏 1,000円
パクチーの天ぷら 680円
※価格は税抜
GoGoパクチー
- 電話番号
- 06-6251-5892
- 営業時間
- ランチ火・木のみ11:30~14:30(L.O.14:00)、ディナー17:30~23:30(L.O.22:30)、土・日・祝17:00~23:30(L.O.22:30)
- 定休日
- 月(夏期は定休日なし)
- 公式サイト
- http://gogopaxi.com/
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。