大阪・北新地のとあるビル。うなぎの寝床のような、細く、奥行きの長い廊下を入っていくと、スタイリッシュなガラス張りの店がある。ここが2016年9月24日にオープンした、ジビエ料理が食べられる『meet meat(ミートミート)』だ。
そもそもジビエとは狩猟によって捕獲された野生鳥獣やその肉のことを指す。牛や豚、鶏など畜産物が「養殖」と例えるなら、ジビエは「天然もの」という位置づけだろう。ここ日本でも「またぎ」と言われる狩人がしとめた、クマやシカ、イノシシなど狩猟肉を食べる文化も古くからあった。山野を駆け巡り大空を舞った天然の肉は、脂肪が少なく引き締まり、栄養価も高い、まさに森からの贈り物と言えるだろう。
山形出身の店主が仕入れる、放牧飼育の三元豚や青森シャモロックも
『meet meat』は日本ジビエ振興協議会公認の店。店主の市村純さんは、関西の割烹料理店、日本料理店で修業した後、ジビエの魅力に惹かれ、日本ジビエ振興協議会の理事長のお店を訪ね、ジビエ料理を学び、『meet meat』を開業するに至ったという。
こちらの店のジビエ料理は実に多彩。シカ、イノシシ、クマ、カンガルー、ダチョウ、ラクダ、ラム、ウサギ、ヤギなど約12~13種を用意している。カンガルーやラクダ、ワニなどはオーストラリア産のものを独自のルートで仕入れているが、市村さんが東北の山形出身であることから、放牧飼育された三元豚や青森シャモロックなどもそろえる。またジビエの種類によっては塩麴に漬け込み、素材のうまみを引き出している。
例えば、写真のバットに乗っているのは赤身ならではのうまみと弾力感が持ち味のラクダ、濃厚な赤身が人気を呼ぶカンガルー、ジューシーな肉汁が堪能できる青森シャモロック、リアルな手が目を惹くワニ肉。こうしてみると、それぞれ色味や肉質が異なるのがよくわかる。ちなみに、同じ種類のジビエであっても、育った環境や食べていたもの、年齢や健康状態などで肉質や香りが全く違うため、その個性は実に様々だ。
人気ナンバーワンのメニューがジビエの串焼き。こちらの肉はカンガルー、ラクダ、猪。備長炭でじっくり焼いた肉は、うまみがギュッと閉じ込められている。
焼鳥とは異なり、熟成肉のような赤身肉の持つうまみや、しっかりとした噛みごたえを楽しめるのがジビエならでは。臭みは少ないが、ジビエそれぞれの個性豊かな味わいや香りを堪能できる。素材の味を引き立てるイタリアンソルトまたはおろしにんにくが入った醤油と共に供される。1本540円~オーダーできるが、その日のおまかせで焼いてくれる5種盛りもあるのでそちらもおすすめだ。
グループで行くなら絶品ジビエ鍋がオススメ!
グループで訪れたら、季節を問わずジビエ鍋をぜひオーダーしてもらいたい。ラム、ワニ、豚、地鶏、猪、熊もつ、熊肉と7種類の鍋から選べる。スープは香辛料が入ったピリ辛薬膳火鍋風の赤鍋、麹の自然な甘みがうれしい白鍋、コクがあり腸にもうれしい味噌鍋の3種から好みを選べる。
テーブルに設置されたIHコンロをオンにしてしばし待つ……。ぐつぐつと煮立ってきたらいただきます♪ お肉(写真はラム肉)と共に、キャベツやタマネギ、水菜、シイタケなどの野菜とともにたっぷりと食べられてなんともヘルシー。ピリ辛ながら薬膳素材を使用した滋味深いスープはうまみたっぷりで、汗をかきかきしながらも箸がとまらない。カラダがポカポカと温まり、デトックス&美肌効果にも役立ちそう。さらに美肌効果を狙いたいなら、ワニ鍋を選んでもいいだろう。ワニ鍋に使われるワニ手は、すっぽんと同じくコラーゲンがたっぷり含まれているからだ。ちょっぴり見た目はびっくりするかもしれないが、女子会などの主役にすれば盛り上がること請け合いだ。
ちなみに、こちらはワニのスパイシー唐揚げ。唐揚げにはワニの腹部分の身が使われている。ちょうど鶏と魚の中間のような味わいだ。こちらはテイクアウトOK。添えられたガラムマサラをちょこっとつけて食べると、これまた美味で、ついつい追加注文したくなる。鶏肉と比べて低カロリーなので女性にはなんともうれしいところ。もちろんビールとの相性も抜群だ。
日本のお酒とジビエのマリアージュを愉しもう!
お酒については、日本酒は山形県の「三十六人衆」や「上喜元」、新潟県の「久保田」「八海山」などに加え、ワインは山形県の「かみのやま」などをそろえており、日本のお酒とジビエのマリアージュを楽しみたい。
「ジビエの魅力を、できる限り多くの皆さんに味わっていただきたいですね」と市村さん。手軽に楽しめるメニューばかりなので、ジビエ初心者の人もぜひ訪れてみてほしい。
(取材・文/茶野真智子・撮影/前田博史)
【メニュー】
炭火串焼き おまかせジビエセット(5種盛り) 2,500円
ワニのスパイシー唐揚げ 800円
ジビエ鍋(※2名様~) ラム鍋4,000円など
ジビエフォンデュ(※2名様~) お1人様 2,500円
日本酒 山形の地酒 上喜元 純米吟醸 1,200円
※価格は税抜き
Meet Meat(ミートミート)
- 電話番号
- 06-6348-2030
- 営業時間
- 18:00~2:00
- 定休日
- 日・祝(予約可)
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。