幸食のすゝめ#037、上燗の酒には幸いが住む、富ヶ谷。
「田酒、ぬる燗一丁っ!」、威勢のいいお兄さんの声が広い店内に鳴り響くと、お燗番のお父さんから「あいよ」と合いの手が入る。浅草の新仲見世を曲がった小路にあった『松風』では、客の殆どが燗酒を注文し、暖簾を潜った途端に常連の顔を見て、お兄さんのオーダーが飛んだ。
20代の終り、僕は『松風』と神楽坂の『伊勢藤』で燗酒の美味しさを知った。しかし、いつのまにか焼酎が時代の覇者となり、東京の街から素晴らしいお燗番たちは居なくなった。
すっかり燗酒の砂漠となりつつあった東京に、絶妙な加熱の燗酒と日本酒のアテを超越した驚くべきペアリングで創作料理を提供するのが、、、
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