素材にこだわる、“FARM TO BOWL”な「だし茶漬け」
近年、素材にこだわる飲食店が増えている。それは日本料理や鮨、フレンチにとどまらず、ベーカリーやラーメン、カレーなど気軽に食べられる国民食にまで及ぶ。農園から食卓まで一貫して管理する「FARM TO TABLE」といったフレーズが一般的になりつつある中、“FARM TO BOWLな、だし茶漬け”を謳う店が半蔵門にオープンし、早くも会社勤めの男女を中心に話題になっている。
それが、オーナーの小宮淳一さんと、「飲食店をオープンすることがずっと夢だった」という奥様と二人で開業しただし茶漬け専門店『雅なだし』だ。
奥様は、「もともと食べることが大好きで、外食によく出かけていました。そのときに、この野菜ってどこで穫れたものなのだろう? 調味料はどんなものを使っているのだろう? と気になることが多かった」と食材に対する興味が人一倍強かったと話す。
「安心して食べられるものは、誰にでも手の届く価格で、気軽で、肩肘を張らないものでありたいという考えがありました。そして、お茶漬けというごくごく一般的な料理を、専門店としてこだわり抜いたものを提供したら、気に入ってくださる方々がいるのではないかという期待もあります」
米は契約農家から仕入れるササニシキをふっくら炊く
長崎県産平子鰯煮干し、静岡県産宗田節、沖縄県産塩と、すべて国産素材を使用し、丁寧に煮出している。「だしは、60分煮たら昆布を出して……など、一番気を遣っています。3時間以上は寸胴の前に付きっきりになります」と、店の命であるだしは、何度も何度も試作を重ね、あらゆる素材同士を組み合わせて、ようやく見つけだしたものだという。
だしだけでなく、米やトッピングも産地にこだわった素材を使用。米は契約農家から仕入れるササニシキに、『京つけもの かたやま』の漬物がデフォルトで添えられる。米は無料で大盛りにできるのもうれしいサービス。こだわりの米に、品の良い漬物。これだけでもご飯がすすむが、ここに炙り明太子や鮭、しらすなど定番のトッピングのほか、生姜焼きや水餃子、黒毛和牛といったボリュームのあるおかずとも一緒にいただきたい。
定番の鮭だけじゃない! 黒毛和牛にイベリコ豚まで、変わり種のだし茶漬けに夢中
大本命は、「鮭&いくらなだし茶漬け」(写真上)だ。脂ののったノルウェー産サーモンの切り身が4つも乗っかり、北海道産のいくらが米を覆う。この贅沢な親子共演に箸も止まらない。大盛りにして食べても罪悪感のないヘルシーさが、ハードに働く女性にとって心地よい活力になる。
一方、人気もあり、小宮さんご夫妻の自信作だという「イベリコ豚の生姜焼きなだし茶漬け」は、イベリコ豚LEGADO、高知県産黄金生姜、国産タマネギ、国産キャベツを使用し、ドレッシングにはオリジナルのゴマだれがかかっている。最初は定食スタイルでいただくのもよし、最初から丼のスタイルでかきこむのもよしだ。半分くらい食べたところで、特製のだしを注ぐ。意外にも豚のあまい脂と魚系のだしの相性は抜群だ。
「黒毛和牛なだし茶漬け」は、最初は牛丼としてかきこみ、最後はひつまぶしの要領でだしをかけて「牛茶」にしていただけば言うことなし! お茶漬け=あっさりなイメージだが、『雅なだし』のお茶漬けは、肉ががっつり乗っかり、1度で2度おいしい定食になっている。
開店から2カ月、今後の展開を伺うと、「たくさんの人に日本で穫れる豊かな食材のことを知っていただきたいです。今後は、お店を増やしていこうと思っています」と力強く語ってくれた。
『雅なだし』のお茶漬けは、ハードに働く彼らの身体を労りつつ、さっと食べられ、ボリュームもある。ファストだけれども、決してジャンクではないのだ。ラーメン・牛丼・そばなど、ワーカーに愛される食のカテゴリーに、新風を巻き起こすであろうことを期待したい。
(取材・文/カメイアコ)
【メニュー】
鮭&いくらなだし茶漬け 980円
生姜焼きなだし茶漬け 880円
黒毛和牛なだし茶漬け 980円
※価格は税込
雅なだし
- 営業時間
- 11:00~15:00、17:00~21:00
- 定休日
- 日・祝
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。