東京は銀座5丁目。免税店が入居し、訪日外国人観光客も多く来店する商業施設「EXITMELSA」の7階レストランフロアに、2017年2月14日にオープンしたのが『チャイニーズダイニング美虎銀座』だ。
このお店は、言わずと知れた女性鉄人シェフ・五十嵐美幸さんの新店ということもあり、注目度も高い。2008年に東京・幡ヶ谷でオープンした本店『中国料理 美虎』は、中国料理の技法で日本食材を活かす五十嵐シェフ独自の切り口で一躍有名店に。“野菜中華”をコンセプトに、たっぷりの野菜が摂れる身体に優しい中国料理という新たなジャンルを確立している。
お一人さまでも安心して利用できる店づくりもうれしい!
店内は一人利用ができるカウンター席から、少人数で楽しめるテーブル席、そしてグループ利用に対応する半個室までを用意。本店はコース主体のレストランとして人気だが、銀座店はコース以外にアラカルトも豊富に揃え、アルコールも楽しめるようダイニングとして営業する。また麺のメニューだけで8種を揃え、ディナータイムに一人でラーメン店のように気軽に使えるのも魅力だ。
「年配の女性がお一人様で麺を食べる光景もよく見られます。アラカルトを好みでオーダーして、お酒も楽しんでもらえる使い勝手のよい店を目指しました」と五十嵐さんは話す。
ワインとともに味わいたいオススメの料理は!?
今回は五十嵐さんが特におすすめする4品を紹介したい。まず手始めに、前菜にさっぱりいただきたい「サラダセリと干し豆腐」(写真上)。高知産のサラダセリと、中国料理で度々使われる干し豆腐を合わせ、辛みのアクセントとしてグリーンペッパーとショウガをきかせた一品だ。調味は薄口醤油、太白胡麻油と至ってシンプル。ひと口食べると、セリのフレッシュな青味とほろ苦さに夢中になる。また、干し豆腐のしっかりとした歯応えが満腹感を高めてくれる。
2品めは店内で仕込む「美虎 自家製 腸詰め」(写真上)。豚肉には、芋を食べさせて飼育するという宮崎産の「おいも豚」を使用。「脂身に甘みがあり、肉質は弾力があるので食べごたえも十分です」と五十嵐さん。豚肉の甘みを引き立てる香味野菜として、セロリの葉も加えている。提供時は蒸した後、表面をバーナーで炙ることで、ふわりと香る芳ばしさが食欲をかきたてる。
一般的に中国の腸詰めは甘めのものが多いが、『美虎』では塩をきかせた骨格のある味わいに仕立てている。完成までに2週間はかかるという手の込んだ一品はワインとの相性が抜群なので、ぜひ白ワインかミディアムの赤ワインと一緒に味わってほしい。
これまで肉料理はあまり提供していなかった『美虎』でおすすめなのが「薄切り神内和牛あかの極上蒸し たっぷり野菜」(写真上)だ。「中国料理はどうしても炒め物が多くなってしまいます。そこで炒めずにおいしくお肉を味わえる手法として、蒸し料理にたどり着きました」と五十嵐さん。北海道産の神内和牛あかの塊肉を、ゆっくりと火を通すように蒸してから薄切りにし、セロリと合わせて熱いゴマ油で一気に香味野菜の香りをまとわせる。
蒸した肉は甘みが増幅しており、もっちりとした食感も特徴。肉料理なのにたっぷりの野菜も一緒に食べられるとあって、ダイエット中でも罪悪感はゼロ。中国料理を食べた後の重たさもないため、女性に好評だ。合わせるお酒は赤ワインがおすすめだが、辛口の白ワインも、素材のうまみを引き立ててくれる。
料理の〆でも、メインの一品でも味わいたい「麺料理」
麺料理のなかでも見ためのインパクトが大きい「名物ハマグリ麺」(写真上)。「ラーメン好き」を豪語する五十嵐さんが目指したのは、思わず飲み干してしまうスープ。鶏ガラをベースにしたスープは、注文ごとにハマグリとともに煮込んで仕上げる。貝スープ特有のえぐみや雑味がなく、上品なハマグリの椀物をいただいているよう。千葉産の大ぶりのハマグリの存在感も相まって、強く印象に残る一杯だ。
麺は五十嵐さんがお気に入りだという製麺所に製造を委託。20回以上も試作を繰り返したという、こだわりの細麺だ。具材には湯葉、黄ニラ、しんとり菜を使い、食感の強弱に波をつけている。
美虎で目を引くのが、まるで本のように1ページに1品を紹介するメニュー表だ。料理写真の横には、料理に対する五十嵐さんの想いや、開発の経緯などがしたためられ、料理の印象をぐっと高める。またペアリングにおすすめのお酒も紹介しているため、アルコールに迷ったときのナビゲーターにもなってくれる。
お酒の主力はワインで、白・赤各12種、泡4種を用意。食材の甘みが感じられるよう、またうまみを引き立てるよう、主に辛口のものを多くラインナップしている。特に「ローラン・ペリエ ブリュット」のグラスは1,680円。またジンとは思えない女性らしいアロマが驚きを与える「ル・ジン クリスチャン・ドルーアン」も用意している。
数々の有名シェフもその腕を認める五十嵐さん。元々父親が中国料理店を営んでいたことからこの道に進み、22歳でフジテレビ「料理の鉄人」に当時最年少挑戦者として出演したことで、その名が広まった。現在では神奈川・武蔵小杉にプロデュース店『レストランμ(ミュー)』、タイ・バンコクでプロデュース店『MIYU』などを手掛けるほか、2017年5月5日にはタイ・バンコクに『MIYU』2号店をオープンする予定。また、大手企業のメニューのプロデュースや、料理教室の講師も行なうなど、多忙な日々を送っている。
【メニュー】
タコのプーアール茶スモーク 850円
美虎のピータン豆腐 800円
名物 阿波尾鶏のゴマ油蒸し カブの腐乳漬け添え 950円
冬瓜とリンゴ 生姜のサラダ 850円
美虎 特製五目シューマイ 1,000円
エビの湯葉包み炒め 2,400円
特製 酢豚 トマトの甘酢漬け添え 2,500円
上海蟹あんかけ焼きそば 3,200円
ピリリン麺 1,300円
※価格は税抜
チャイニーズダイニング美虎銀座
- 電話番号
- 050-3491-4403
- 営業時間
- 11:00〜15:00(L.O.14:00)、17:30〜23:00(コースL.O.21:00、アラカルトL.O.22:00)
- 定休日
- ビルの休みに準ずる、年末年始
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。