パリ名門出身シェフの本格フレンチ『エテルニテ』がカジュアルになって奈良に移転オープン!

2017年04月26日
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パリ名門出身シェフの本格フレンチ『エテルニテ』がカジュアルになって奈良に移転オープン!
Summary
1.大阪・靭本町の人気フレンチ『エテルニテ』が奈良に移転オープン
2.昼はコースでゆっくりと、夜はビストロ料理でカジュアルに!
3.「大和野菜」や「ばあく豚」など奈良産の素材を多彩にアレンジ

大阪・靭本町の人気フレンチ『エテルニテ』が奈良に移転オープン

2017年2月9日、近鉄奈良駅から北に伸びる花芝商店街に誕生した『ラ・フォルム ド エテルニテ』。この名前を聞いてハッと気づく人も少なくはないだろう。この店は、大阪・靭公園の近くに店を構えていた人気フレンチ『エテルニテ』の永野良太シェフが、地元・奈良に移転オープンした店だからだ。

『エテルニテ』を開店する前、永野シェフはマダムの靖枝さんと共に、フランスの東側国境ジュラ地方のアルボワやフランス南部カオールの有名レストランで修業を重ね、パリに移ってからは『トゥールダルジャン』『ル・キャ・キャルトン』といった世界のグルメたちを魅了してきた名レストランで腕を磨いた。帰国してからは、大阪市内の『カランドリエ』でスーシェフを務め、32歳の時に独立。緑豊かな靭公園の近くに『エテルニテ』を構えた。

それから10年が経過。ご夫婦2人とも奈良・生駒出身であることから、いずれは地元・奈良でお店を持ちたいと思っていたため、今回スタイルも新たに開いたのがこの『ラ・フォルム ド エテルニテ』なのである。

昼はゆっくりコースで、夜はアラカルトでカジュアルに!

前身である『エテルニテ』は、いわば完全なるフレンチレストラン。永野シェフはコックコートを着て調理をして、洗練された料理をコースで提供していたという。そこで思い出したのはパリの修業時代。「ビストロでワイワイと料理やワインをシェアして、飲んで食べて、本当に楽しかったんです。休みの日は料理人同士が家へ料理やパンを持ち寄って……、とてもいい思い出となっています」。これだけいろいろな種類の店がある現代でも、フレンチは日本人にとって高級感がぬぐえない料理ジャンルである。「今回そんな枠組みを取っ払って、フランスのビストロのように、デニムとスニーカーで気取らずにワイワイ楽しめるお店にしたいと思いました」と永野シェフは語る。

とはいえ、「10年間、靭本町でやってきて、記念日ごとに毎年訪れるお客様もいます。そうした方にとっても思い出のレストランになるようなお店を作りたいとも思いました」(靖枝さん)。そんな思いから、いわゆる本格的なフレンチの雰囲気は昼のランチコースでゆっくりと、夜はアラカルトのみでビストロ風にワイワイと、2つのスタイルを打ち出すことになった。内装に関しても、建築家の方が2人の思いをくみ取り、料理が映えるようにシンプルにしつつも、「上品×カジュアル」、「フランス×奈良」がうまく交じり合う、温かみのある雰囲気に仕上げてくれた。

「大和野菜」や「ばあく豚」など奈良産素材をビストロ料理に!

メニューを見た時に、地元・奈良で育てられた多彩な食材が使われていることに気づく。「奈良に移転する話を色んな方に伝えた時、たくさんの方が生産者さんを紹介してくれました」というエピソードは、永野さんご夫婦の人柄によるものだろう。

例えば明日香村で自然栽培による野菜作りをしている『たるたる農園』や、奈良県の北東部にある曽爾村で“オンリーワン野菜”の栽培に取り組む『山浦農園』、奈良県北東部、標高200~600mの大和高原で無農薬・自然栽培による紅茶作りを行う『健一紅茶農園』などの食材が、シェフの確かな腕により伝統的なビストロ料理に仕上げられている。

では、料理のいくつかをご紹介しよう。まずはランチコースより「日本海「引っ下げ」のフリット 甘エビ 奈良県アスパラガスと宇田・平飼い卵のスクランブルエッグ」(写真上)。成魚(本マグロ)と、幼魚(よこわ)の中間である「引っ下げ」に、パン粉を絡ませて高温でサッと揚げたフリット。外はカリッとサクサク、中は生の状態に仕上げられた引っ下げの赤身感とトロリとした食感が楽しい。また瑞々しいアスパラガスは、優しい味わいの平飼い卵との相性が抜群だ。

同じくランチコースより、「奈良・五條「ばあく豚」のプティ・サレと奈良のいろいろお野菜」(写真上)。主役となる『泉澤農園』の「ばあく豚」は、サシが入りやすい性質を持つ特別な茶豚を一般の豚に交配させたもので、大麦・小麦の成分を多用した飼料でのびのびと育てられている。きめの細かい肉質としっかりとした豚のうまみが特徴だが、それを軽く塩漬けしたのち、低温で火を入れてローストしている。塩漬けすることでうまみや風味をギュッと凝縮している。豚のだしにフォン・ド・ヴォーとエシャロットを入れて煮詰めたソースは甘みがあり、食が進む。この日添えられた野菜は「味間いも」や「宇陀金ごぼう」などの大和野菜。一般的な野菜とは異なる味わいや食感を楽しんでもらいたい。

夜のアラカルトのひとつ「トゥールーズ風カスレ」(写真上)。白インゲン豆と一緒に豚の粗びきソーセージ、鴨のコンフィを煮込んだ、フランス南西部の有名な郷土料理だ。たっぷりの白インゲン豆はホクホクとしたおいしさ。粗びきソーセージは、ばあく豚を使用した自家製で、むっちりとした弾力感とワインのアテにぴったり絶妙のスパイス感が見事だ。

デザートは「デコポンのババ・オ・ラム」(写真上/昼はコースの一品、夜はアラカルトでオーダー可能)。スポンジのパンケーキがひたひたになるまでラム酒をかけて食べる定番のフランス菓子を、ちょっぴりアレンジ。デコポンとデコポンのコンフィチュールを加えて爽やかな一品に。デコポンジュースと共に、ラム酒をかけるとふわっと鼻腔を甘い香りが駆け抜ける。

ワインはフランス産を中心に200種類をラインアップ。グラスワインは1,000円前後~8種ほど、ボトルは6,000円前後~と、気軽に楽しめる。

「今は厨房から自分で調理した料理をお客様にサーブしたり、説明したり、距離がぐっと近くなりました。奈良は地元ですが、県外で仕事をしていたぶん、魅力的な場所だと再認識しています。大和野菜をはじめ、私も知らない食材がたくさんあり、まだまだ使いきれていないと実感していますね。これから県外からたくさんお客様を呼べるように頑張っていきたい」と語る永野シェフ。店名の『ラ・フォルム ド エテルニテ』は、フランス語で「永遠の形」を意味する。これから永野シェフにしか作れない形が、この店から生まれていくことだろう。

(取材・文/茶野真智子 撮影/前田博史)

【メニュー】
明日香 たるたる自然農園さんの野菜のギリシャ風マリネ 900円
パテ・アンクルート 1,600円
シャルキュトリー盛合せ 2,300円
トゥールーズ風カスレ 1,800円
ランチコース 4,800円
グラスワイン 850円~
※価格は税抜き

ラ・フォルム ド エテルニテ

住所
〒 630-8266 奈良県奈良市花芝町7-2 松村ビル1F
電話番号
0742-20-6933
営業時間
12:00~13:00(L.O.)、18:00~21:00(L.O.)
定休日
公式サイト
http://www.restaurant-eternite.com/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。