春といえば、新タマネギがおいしい季節。新タマネギは水分が豊富で甘みが強いのが特徴で、生食でも充分おいしくいただけることからサラダのイメージが強いかもしれない。でも今回は、煮込むことでその甘さをさらに引き出した、「タマネギジャム」の作り方を紹介したい。
「タマネギジャム」、聞き慣れない名前かもしれないが、フランスではとてもポピュラーな万能調味料。飴色になるまでじっくり炒めたタマネギを、お酢や砂糖で味付けした”お食事系”のジャムだ。
濃厚な甘さとほのかな酸味は、そのまま食べるだけでもワインのおつまみになるほどのおいしさ。サラダや肉料理との相性がよく、実用性も兼ね備えている。
それではさっそく、「タマネギジャム」の基本の作り方と、「タマネギジャム」を活かした簡単なアレンジレシピをご紹介しよう!
■作り置きすれば料理の幅が広がる! 「タマネギジャム」の作り方
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タマネギジャムをおいしく仕上げるための最大のポイントは、新タマネギが飴色になるまで焦がさないようにじっくりと炒めること。この工程を丁寧に行えば、失敗することはまずないだろう。
材料に有塩バターを使用することで、バターに含まれる塩分が新タマネギのおいしさをさらに引き出してくれる。また、仕上げに入れるお酢の酸味が味のアクセントとなり、甘さと酸味のバランスが取れた仕上がりに。
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<レシピ>
■材料(作りやすい分量)
・新タマネギ … 3個
・バター(有塩) … 30g
・酢 … 大さじ2
・きび砂糖 … 大さじ1
■作り方(調理時間:50分)
① 新タマネギは薄切りする。
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② フライパンにバター、新タマネギを入れて中火で熱する。
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③ 新タマネギが飴色になるまで40分ほど炒めたら、酢、きび砂糖を加えて混ぜる。
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④ 粗熱が取れたら煮沸消毒した保存瓶に入れ、冷蔵庫で保存する。
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(※冷蔵庫で2週間、冷凍庫で1カ月を目安に使い切る。冷凍したものは自然解凍して使用する。)
■おつまみにぴったり! 甘さと酸味のバランスが絶妙な「タマネギジャムのホットポテサラ」
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日本酒にもワインにも合う、おつまみにぴったりの「タマネギジャムのホットポテサラ」。
ベースとなるポテトサラダは、ジャガイモの半量をつぶし、残りは形を残したままにしてゴロッと感を演出。マヨネーズだけでなくお酢を入れることで、甘みのあるタマネギジャムとの相性もアップ。
濃厚な味がお好みであれば、ポテトサラダが温かいうちにバターを上からのせ、溶かしながらいただくのがオススメ。
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<レシピ>
■材料(作りやすい分量)
・ジャガイモ … 2個
・パセリ … 適量
・マヨネーズ … 大さじ2
・酢 … 小さじ2
・タマネギジャム … 40g
・バター … 10g
・パルメザンチーズ … 大さじ1
■作り方(調理時間:15分)
① ジャガイモの皮をむき、ひと口サイズに切る。パセリは粗みじん切りする。
② ボウルにジャガイモを入れてラップをし、600Wの電子レンジで5分ほど加熱して火を通す。温かいうちに半量をつぶし、マヨネーズ、酢、1/3量のタマネギジャムを加えて混ぜる。
③ 器に②を盛る。残りのタマネギジャムをのせてパルメザンチーズをふる。お好みでバターをのせ、パセリを散らす。
■豚の脂をおいしく活用! 「厚切りポークソテー タマネギジャムソースのせ」
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オーブンでじっくりと焼き上げたポークソテーの脂をタマネギジャムと合わせ、ソースとして活用したご馳走アレンジ。ポークソテーの豚の脂の甘みと、タマネギジャムのほどよい酸味は相性抜群。
豚肉には黒コショウをすり込んでおくことで、肉のスパイシーさとソースの甘さが互いを引き立て合う。噛むほどに豚肉のうまみ、タマネギジャムの甘みが口いっぱいにじんわりと広がって行き、まさに至福の味わい。
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<レシピ>
■材料(作りやすい分量)
・豚肩ロースブロック肉 … 300g
・すりおろしニンニク … 小さじ1/2
・タイム … 2本
・塩 … 小さじ1/3
・黒コショウ … 小さじ1/4
・タマネギジャム … 30g
■作り方(調理時間:50分)
① タイムはみじん切りする。
② 豚肩ロースブロック肉にフォークをさして細かい穴をあけ、ニンニクをすり込んだら、塩と黒こしょうを全体にふる。
③ ②を耐熱容器に入れ、天板にのせたら180度に予熱したオーブンで30分焼く。
④ ③で出た肉汁大さじ3とタマネギジャム、タイムを混ぜ合わせる。
(※肉汁の量が大さじ3に満たない場合は、オリーブオイル大さじ1程度を足せば、トロッとしたソースに仕上がる。)
⑤ ③の豚肩ロースブロック肉を1.5〜2cm幅に切り分け、④のソースをかける。
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新タマネギがおいしい今の季節にぴったりな、万能調味料「タマネギジャム」。心地よい酸味は残しつつもクセのない味わいなので、今回紹介したアレンジ以外でも、バゲットにのせたりパスタに絡めたりと、さまざまな組み合わせを楽しむことができる。
旬の味がぎゅっと詰まった「タマネギジャム」、この味わいをぜひご家庭で楽しんでほしい。
<レシピ作者プロフィール>
五十嵐ゆかり(管理栄養士・料理研究家)
1987年生まれ、千葉県出身。ゆるく気軽に取り入れられるグルテンフリーレシピや減塩でもおいしく作れる料理のコツなど、日々の暮らしに取り入れやすい健康レシピを提案している。美容や健康にうれしい要素を取り入れたレシピを得意とする。企画、レシピ・商品開発、執筆、メディア出演、講演、イベント出演、料理教室など、多方面で活動中。魅力発信☆むつざわ未来ラボの一員としての出身地の千葉県長生郡睦沢町のPR、PAKUTASOフリー素材モデルとして福岡県大刀洗町のPRに携わるなど、地域活性化活動にも取り組んでいる。
著書に「食材の栄養素を最大限に引き出す便利帖」や「発酵いらずのちぎりパン」、「塩レモンでつくる基本のおかず」など。
ブログ:http://lineblog.me/igarashiyukari/
Twitter:https://twitter.com/igarashi_yukari
HP:http://foodcreativefactory.com/
フードコーディネート・スタイリング:金英貨(ヨンハ)