第十九夜:「ぱんや紺青」オーナーシェフソムリエール 大石桃子さん
今回の案内人は、今年2月に福岡・藤崎の住宅街にご主人とともに『ぱんや紺青』をオープンさせたばかりの大石桃子さん。フランス料理店、ワインショップ、ベーカリーと、さまざまな分野で経験を積んできた桃子さんが開いたのは“ワインが飲めるパンやさん”。オープン以降、多忙を極めてきた桃子さんの久しぶりの休日にお供させてもらった。
■川沿いの古民家ワインバーで待ち合わせ
最初に訪れたのは、天神にほど近い路地にある『ユメキチワイン』。東京・神田にも支店があり、ご存知の方も多いのではないだろうか。
今回の案内人である桃子さんは、16歳から飲食の世界にいる。
「高校の入学のお祝いに、両親の行きつけだった『メゾン・ド・ヨシダ』に連れて行ってもらったら、ムッシュから『16歳だったら働けるね』と言われて(笑)。高校はバイトOKだったので、アルバイトで入りました」。
『メゾン・ド・ヨシダ』といえば、福岡のフレンチ界の重鎮的存在。長年にわたり、『メゾン・ド・ヨシダ』で経験を積んだ桃子さんは、ワインを学ぼうと2012年から福岡の自然派ワインショップ『Vin Nerd(ヴァン・ナード)』で働きはじめたのだった。
『ユメキチワイン』のスタッフたちは、『Vin Nerd』時代のお客。そんな縁もあっていまは、桃子さんが一人で行っても誰かしら相手をしてくれるところが気に入っているという。
自然派ワインのラインナップも素晴らしく、グラスも泡・白・赤を合わせて10種以上がスタンバイ。カウンター越しに和服姿のスタッフが接客してくれるのも嬉しいところ。深夜2時まで営業しているため、2軒目、3軒目で訪れる客も多いが、今回のように0次会でサクッと喉を潤すのもおすすめだ。
▲女将の百合花さん(左)がお見送りしてくれた
ユメキチワイン
- 電話番号
- 092-735-7117
- 営業時間
- 18:00~翌2:00
- 定休日
- 日曜
- 公式サイト
- http://www.yumekichi.jp
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
■春吉の路地裏にある大人が集う居酒屋へ
『ユメキチワイン』から歩いて5分ほど。昭和な雰囲気が漂う路地の奥に佇む『隠・台所 久岡家』に到着。
その名の通り、隠れ家的存在のこちら。旬の食材を用いた料理と、店主がセレクトした日本酒を中心に自然派ワインなどが楽しめる大人の居酒屋である。
この店の名物は鯨料理。畝須(うねす)、ベーコン、サエズリなど、様々な種類が揃うが、この日は五点盛(2,100円~・税別)を注文。ショウガと青唐に付けて食べるのが久岡家流なのだそう。そのほか、海老のアヒージョなど、洋風メニューなども揃っている。
「以前の職場の先輩に教えてもらって、この店に来るようになりました。店主・久岡さんが醸し出す空気感と、旬の美味しいものを教えてもらえるところが気に入っています。少し前に『三井の寿』の方と知り合う機会があって、日本酒も飲むようになったんですよ」。
この日も若い女性やサラリーマンなど、幅広い世代の客が訪れていた。実は15時からオープンしているので、昼飲みにも重宝する。
隠 台所 久岡家
- 電話番号
- 050-5494-1977
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- ディナー 15:00~24:00
(L.O.23:00)
※緊急事態宣言中は時短営業
- 定休日
- 不定休日あり
年末年始(2018年12月31日~2019年1月3日)
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
■那珂川の夜景を眺めながらワインを楽しむ優雅な時間
続いて訪れたのは、近年、盛り上がりをみせている西中洲にある『L'eau Blanche(ローブランシュ)』。シェフの白水鉄平さんは、東京・四谷の『オテル・ドゥ・ミクニ』、日本橋『オーグードゥジュール メルヴェイユ』を経て渡仏し、帰国後、地元である福岡で『オーグードゥジュール メルヴェイユ博多』の立ち上げから4年間、シェフを務めた経歴の持ち主。
桃子さんは白水さんと飲食関係のメンバーでベルギービールのイベントに訪れたときに知り合ったそうで、桃子さんがお店をオープンした際にもお祝いにかけつけてくれたという。
18時以降はシェフおすすめのコース(6,800〜11,000円)のみだが、21時以降はワインバーとしての利用が可能に。メニューはなく、ゲストの状況に応じてメニューを考えるという。
「お客様が望まれるものをご提供したくて」と、白水シェフ。今回は3軒目ということで、さっぱりとしたお料理をオーダーした。
1皿目に登場したのは「新玉ねぎのアイスクリーム」。しっかりとした甘さを感じるが、砂糖は全く使っていないというから驚きだ。
「21時以降はバー利用ができると聞いたので来てみたかったんです。白水さんが料理をしているところを見ながら、カウンター越しにお話できるところがいいですね」
野菜は長年のお付き合いのある農家さんが『ローブランシュ』専用の畑で育てたものを中心に白水シェフ自ら足を運び、出会った生産者のものを使用している。
続いて登場したのがこちら。
その絵画のような美しさにしばらく見とれてしまう。
ガトーショコラのようにも見えるこの料理は、実はフランスの伝統的なソーセージ「ブーダンノワール」を白水シェフがアレンジしたオリジナル。ビーツとりんごのピューレにつけながらいただく。
お店のこと、素材のこと、料理のこと…ふたりの話は尽きない。バー営業の時間帯だからこその楽しみがここにある。
L’eau Blanche(ローブランシュ)
- 電話番号
- 092-752-2122
- 営業時間
- 18:00~L.O.23:30
- 定休日
- 日曜
- 公式サイト
- http://leaublanche.com
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
■飲食関係者が夜な夜な集うごきげんなイタリアンへ
この日の〆に訪れたのは、『ローブランシュ』からタクシーで5、6分の場所にあるイタリアン『FIGO(フィーゴ)』。深夜3時まで営業していることもあり、仕事帰りの飲食関係者たちも多く訪れる店である。
▲最後の最後で、昨年秋に結婚されたばかりのご主人登場!
「主人がお酒を飲めないので、はしご酒は基本一人で行くことが多いですね。知り合いの店に行けば、自ずと知り合いに会って、そこから流れていくという感じ。結婚してお店をオープンさせてからというもの、お誘いもめっきり減っちゃって少しばかり寂しさを感じています。といっても、今はお店のことが忙しくて、なかなか出ることができていないんですけどね(苦笑)」。
▲さっぱりと食感が絶妙な「ズッキーニのカルパッチョ」(左・540円)とオーストラリア産牛のイチボステーキ フライドポテト添え」(右・1,500円)
イタリアで修業した店主・城戸敏宏さんが、各地で食べ歩いた郷土料理を中心にアンティパストからメイン、パスタまで幅広くラインナップ。深夜でも本格イタリアンが味わえると評判の店である。
「ここも以前の職場の先輩に教えてもらいました。城戸さんの気さくなもてなしが大好きです」。
▲〆は「FIGO風ジェノヴェーゼパスタ」(1,200円)
「カウンターのお店は一人で行っても楽しいですし、そこでいろんな人々と出会い、お話させていただくことは勉強にもなります。はしご酒は私にとっての人生の楽しみ。お店が落ち着いたら、もう少し出かけたいと思います」。
FIGO
- 電話番号
- 092-781-1005
- 営業時間
- 17:00~翌3:00(L.O.翌2:00)
- 定休日
- 不定休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
■気になる桃子さんのお店とは?
後日、桃子さんがご主人と営む『ぱんや紺青』へ。地下鉄空港線・藤崎駅から徒歩6分ほど、紅葉八幡宮手前の住宅地にある。ハード系中心の品揃えで、おふたりが修業した『タンドルマン』(2016年12月閉店→2017年熊本で再オープン予定)の流れを汲む。現在は販売中心だが、まもなく自然派ワインやアテなども提供予定。来福の際はこちらもぜひ訪ねてみてほしい。
ぱんや紺青(こんじょう)
- 電話番号
- 092-982-7511
- 営業時間
- 10:00~18:00
- 定休日
- 水曜及び第2・4火曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。