スイーツの聖地・自由が丘にイタリア生まれのスイーツブランドがやってきた。イタリアのチョコレート職人が手がける、チョコレートジェラート専門店『Gelateria e Cioccolateria Vitali(ジェラテリア・エ・チョコラテリア・ヴィタリ)』だ。
イタリアの濃厚チョコレートのおいしさを「ジェラート」で!
フィレンツェに拠点を置く『ヴィタリ』は、ヴァレンティーナ・ヴィタリとフランチェスコ・ムジェッリーニという2人の職人が2009年に立ち上げた、チョコレートブランド。
今回の『ジェラテリア・エ・チョコラテリア・ヴィタリ』では、店内のコールドケースに16種類以上のジェラートが並び、そのうち半分がチョコレートフレーバーとなっている。
「伝統的にイタリアのチョコレートは、ミルクリッチなフランスやベルギーのものとは違って、あまり乳脂肪分を含んでいないんです。その代わり、カカオの薫りや風味が強い。そうしたイタリアのチョコレートならではのおいしさを、ジェラートで表現したいと思いました」
こう語るのは、ショップを取り仕切る菅優貴(すが・ゆうき)シェフ。イタリアのレシピを日本で再現する若き職人だ。
全部で8種類あるチョコレートジェラートは、それぞれカカオの含有量や生産地、ミルクの配合率などを変えてラインナップ。濃淡の異なる艶やかなチョコレート色がずらりと並び、どれも日本上陸にあたり、イタリアで新たに開発されたものだ。
「チョコレートの量を増やせばいい、というわけでもないんです。ジェラートはアイスクリームと違って、マイナス12℃で保存しながら、なめらかな状態を維持しなくちゃいけません。風味を強く出そうとしてチョコレートを加えすぎると、ジェラートが固くなってしまうんです。なので、レシピにおいては、ジェラートとしてのなめらかさを残しつつ、カカオの風味を際立たせるベストバランスを見つけるのに一番苦労しました」(菅シェフ)
ジェラートのなめらかさを残した「濃密チョコレート」は芳醇なカカオの薫りが最高!
たとえば、「カカオ・エクストラ・アマーロ」(写真上・カップ左)は、ジェラートが固くならないようにギリギリまでチョコレートを配合した、もっとも含有量が高いジェラート。限りなく黒に近い艶やかなブラウンが、含有量の高さを物語っている。
舌ざわりもなめらかというよりは、ねっとり、どちらかというとペーストに近い。口に入れると、芳醇なカカオの薫りが一気に広がり、後からカカオ特有の酸味が追いかけてくる。
含有量の低い「アル・カカオ」や、ミルクを加えた「チョコラッテ」(写真上・カップ右)も十分チョコレートの風味豊かなのだが、「カカオ・エクストラ・アマーロ」はさらにその上をいく濃密さで、まるで生チョコを食べているかのよう。どこか醤油のような力強さもある。
▲シェフの菅優貴さん
毎朝オープンの4時間前に出勤して、16種類すべてをいちから仕込むという菅シェフ。レシピは決まっていても、その日の気温や天候によってチョコレートの状態も変わるので、いっときも気が抜けない。
ベースは同じで、チョコレートの量だけ変えればいい、というわけにはいかないとか。固すぎてもだめ、ゆるすぎてもだめ。ギリギリ限界までチョコレートを練り込むために、オープン以来試行錯誤の日々が続く。
▲フォンデンテ・アル・チョコレート 1種盛り+ピスタチオトッピング。ベネズエラ産チョコレートのフルーティーなアロマに、ピスタチオの香ばしさがアクセント
チョコレートに負けない リッチなミルクジェラートも濃厚な味わい
チョコレートジェラートの他、コーヒーやナッツ、フルーツ系のフレーバーもラインナップする。これらもすべてオリジナル。チョコレートフレーバーがどれも個性豊かなだけに、他のフレーバーもそれにならって濃厚に仕上げているという。
目の覚めるような酸味の「徳島産ゆず」、搾りたてのオレンジ以上にみずみずしい「アランチャロッサ(ブラッドオレンジ)」。香り高いシチリア産を使った「ピスタチオ・シチリア」や、最高級ピエモンテ産のヘーゼルナッツを使った「ノッチョーラ・ピエモンテ」は、ナッツそのものを食べているかと錯覚するほど。通常ジェラートに使用する量の2倍以上もナッツペーストを練りこんでいるそうだ。
そして、もうひとつのこだわりが「フィオーレ・ディ・ラッテ」(写真上)。日本が誇る木次パスチャライズ牛乳を使ったミルクジェラートだ。
「木次牛乳は、ミルクの風味を強く感じるわりには、乳脂肪分が低いんです。だから、ミルク感たっぷりなのに、口どけはさっぱり。きっとジェラートにはぴったりだと思って、ぜひとも作りたかったフレーバーです」(菅シェフ)
もうひとつ、菅シェフのオススメが、「フィオーレ・ディ・ラッテ」にオリーブオイルをトッピングしたもの(写真上)。真っ白な雪山の上に、金のリボンのようなオリーブオイルが滑り落ちる。ミルクのほのかな甘みに包まれて、青草のような爽やかな香りが口の中に広がっていくという、まったく未知の味覚体験が味わえる。
これから夏にかけて、冷たいスイーツが恋しくなる季節。もっと多くの方々に濃厚ジェラートを届けたいと、持ち帰り用にカップ入りジェラートを現在開発中。近い将来にはオンライン通販も視野に入れているという。若き菅シェフの試行錯誤は、まだまだ続きそうだ。
(文・撮影/加藤明子)
【メニュー】
カカオ・エクストラ・アマーロ
チョコラッテ
フォンデンテ・アル・チョコレート
アランチャロッサ(ブラッドオレンジ)
ピスタチオ・シチリア
ノッチョーラ・ピエモンテ
フィオーレ・ディ・ラッテ
1種盛り 500円/2種盛り550円/3種盛り600円
一部のフレーバーは+100円
トッピング/\50~
※価格は税込
Gelateria e Cioccolateria Vitali(ジェラテリア・エ・チョコラテリア・ヴィタリ)
- 電話番号
- 03-6421-4277
- 営業時間
- 12:00~19:00
- 定休日
- 火曜・水曜
- 公式サイト
- http://www.vitali.jp/
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。