何を食べても飲んでも間違いない店を発見! あんな名店こんな名店の味が勢揃いの二子玉川の超穴場

【連載】幸食のすゝめ #046 食べることは大好きだが、美食家とは呼ばれたくない。僕らは街に食に幸せの居場所を探す。身体の一つひとつは、あの時のひと皿、忘れられない友と交わした、大切な一杯でできている。そんな幸食をお薦めしたい。[閉店]

2017年07月06日
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何を食べても飲んでも間違いない店を発見! あんな名店こんな名店の味が勢揃いの二子玉川の超穴場
Summary
1.心の底からナチュラルワインを愛し続ける店主が開いた「間借りワインバー」
2.『パーラー江古田』『サルシッチャ!デリ』ほか『TIRPSE』の富士山カヌレなどまでがオンメニュー
3.生産者の顔が見えるお酒とごはんは店主が出逢ってきたなかでも最上級のもので形づくられている

幸食のすゝめ#046、無垢な情熱には幸いが住む、二子玉川

「えーっ、コレってワインなんですか?」。店を覗きに来た近くの飲食店の女のコが、大きな目を丸くして驚いている。
「ワインとか、ビールとか、ウイスキーとか、そういうカテゴリーではなくて、1つの飲み物として美味しいでしょ」。
「ほんとだ、こんなの初めて飲みました、感激っ」、店主の池永俊(すぐる)さんが笑顔で説明を続ける。
「造ってる方は藤巻さんっていう、元々イタリアン・レストランの有名なサービスマンなんですけど、山形に越されて今はワインを造られてるんです。で、実は東京のおウチはここのすぐそばなんですよ」。

池永ワールド

時々聞いていて恥ずかしくなるような、世のソムリエたちの饒舌な語りとはまったく別の次元で話される池永ワールドは、今自分が飲んでいるワインを一層キラキラと輝かせ、ワインとの時間を忘れられない一瞬に変える。
心地よいグルーヴに包まれたダンスホールで、突然ミラーボールが回り始めた、あの瞬間。
慈しみに溢れた誠意で語られる言葉には、ワインを輝かせるマジックがいっぱい散りばめられている。

ナチュラルワイン愛

「藤巻さんが造っている『グレープ・リパブリック』のワインは抜栓すると、だんだん様子が変わって行くんです。本当にナチュラルに作られたワインだから、下の方には大きな澱もあるし、瓶の上と下では色も全然違う。でも、それが悪いことだとは思わないんです。1つの樽の中でも、上と下では全然違うし、本来はそれが自然なことなんです。だから、大人数でみえた方には、上下を逆さにして、みんなに注ぐものを均一にして出す。でも、グラスだったらそのまま。上と下で違う味わいが2杯飲めたら、楽しいでしょ」。

自分の好きなワインを提供することに集中した間借りワインバーという営業スタイル

実はこの店、『ナチュラルクルー』というカフェの夜の時間を間借りして開かれる。間借りカレーや、宿借りカレーという言葉が話題になった時期があったが、間借りワインバーという試みはたぶん池永さんが初めてだろう。
その形態にした理由は、シンプルなナチュラルワインへの愛情だった。大好きなワインを1日でも早く紹介したい、少しでも安く提供したい。だったら、セラーと冷蔵庫さえ置かせて貰えば、すぐにワインバーを開けるはずだ。
物件の取得、借り入れや、資金繰り、内装など諸々の費用。すべての費用を省くことができたら、大好きなワインを原価率で計算しないでみんなに気軽に楽しんで貰える!

よそではなかなか巡り逢えないフードメニューも充実

『腰塚』のコンビーフや、『パーラー江古田』、『サルシッチャ!デリ』、『フレンチデリカテッセン カミヤ』、『TIRPSE』の富士山カヌレと言ったビッグネームが揃うフードもユニークだ。なかなか巡り逢えない逸品が、ここでは一堂に会し、しかも、お手頃な価格で並ぶ。
「僕には料理はできないから、美味しいものを選んで豪快に盛って出す。厨房に貼り付いているより、ちゃんとワインをサーヴしたいから」。
すべての無駄を廃して、シンプルに自分が好きなワイン、自分と何かしらの繋がりがあるワインを紹介することに特化する。間借りワインは、ナチュラルワインを愛するが故の最良の選択だった。

もっと自由に、もっと気軽にワインを届けたい

生産者の顔が見えるお酒とごはん、それはこれまでの人生で池永さんが出逢ってきた最上級のもので形づくられている。
最高の笑顔で、ごく自然にサーヴされるワインには、ここでしか出逢えないものも多い。人気の富士山カヌレの正式な卸先も、現在、渋谷のホテルTRUNK以外では、実はこの店だけだ。フードはどれも、お皿に山盛り。でも、1人客には、ちゃんとサルシッチャを1本にしてくれる。

ワイングラスは程よい大きさの1種類だけ。「大きなグラスだと気軽に飲めない、なんだか変な格式が出てしまうから」。
ここには余計なストレスが一切ない。あるのは、美味しいワインと飛び切りのフード、ナチュラルワインとその生産者に向けられた真っ直ぐな愛があるだけだ。無垢な情熱には、幸いが住んでいる。

<メニュー>
グラスワイン800円〜、『パーラー江古田』のパテ・ド・カンパーニュ1,000円、『腰塚』のコンビーフ800円、『サルシッチャ!デリ』の極太サルシッチャ1,300円、『フレンチデリカテッセン カミヤ』のパテ1,200円、『TIRPSE』の富士山カヌレ500円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です。

※この店舗は閉店しました

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