2017年大注目フレンチがここ! 早くも予約困難な、名店『アピシウス』出身シェフの自分らしいフレンチ

2017年07月20日
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2017年大注目フレンチがここ! 早くも予約困難な、名店『アピシウス』出身シェフの自分らしいフレンチ
Summary
1.名店のシェフが装い新たに復活! リニューアル直後からすでに満席が続く
2.自分らしさを追求したオリジナリティに満ちあふれた料理が素晴らしすぎる
3.お手頃から目が飛び出そうなお宝まで! ワインもすごいんです

名店『ル・ジュー・ドゥ・ラシエット』が『レクテ』となりリスタート!

2007年のオープンから数カ月という異例の速さで『ミシュランガイド東京 2008』に一つ星のフランス料理として掲載されてから“超”がつく人気店となった『ル・ジュー・ドゥ・ラシエット』が2016年2月に改装のため休業した。

ところが、いつ営業再開するのか未定のまま佐々木直歩シェフは系列店の『ヌーヴェルエール』へ移ってしまった。そして1年2カ月が経ち、内装だけではなく店名も新たに『レクテ』となり、ついに復活を果たしたのである。

階段で2階にあがると看板も店名もない扉が。中に入ると白とダークブラウンを基調にしたエレガントな佇まい、グラスやカトラリーはもちろんのことナプキンの角度まで寸分の狂いなくセッティングされたテーブルは見ているだけで気持ちが良い。

以前に比べると少し落ち着いた雰囲気になっただろうか。パーテーションで仕切れる個室もでき、プライベート感もある。では料理はどう変わったのか気になるところだ。

自分らしさを極めた佐々木シェフの料理は感動もの!

「素材のありのままの形や本来の味を大切にしています」との言葉通り、食材をいじりすぎず、本来の香りや個性をも楽しめるように料理している。

シェフ自らさまざまな産地に赴き漁師や生産者に直接話を訊き、彼らの食材への想いを皿の上で表現したいと言う。それゆえ、以前は味と香りを融合して完成させる、いわゆる足し算の料理だったが、今は上質な食材を仕入れて、その可能性を引き出す料理に挑戦している。

例えばこちらのヒラメは多くの一流料理人から絶大なる信頼を得ている今治の漁師、藤本純一さんが活け越ししてから神経締めした最高の状態。シェフ曰く「ならば最高の火入れをするだけで良い」。なるほど、皮目はカリッと香ばしく、身はひきしまりながらもふっくらとさせている。

国産のアーティチョークを使ったバリグールのキュイソンとヒラメのだしのソースはうまみだけをプラス。ヒラメをおいしく食べさせたい、しっかり主張させたい、その想いが伝わってくる。

自然の底力を感じるホワイトアスパラガスは北海道赤井川村のアスパラガスのスペシャリスト、赤木陽介さんから仕入れている。温泉卵と白バルサミコのソースがまろやかな酸味をもたらし、フランス産に比べて、ぐっと優しい味わいのアスパラに寄り添う。

ハーブ野菜の中から顔を覗かせているのが『ELEZO FARM』のオレンジでマリネした生ハム。野性味あふれる脂が甘く溶け、ピリッとしたわさび菜やハーブによく合う。それぞれの完璧なる味があってこそこの至極のひと皿が生まれたのだと実感させられる。

そしてメインは、なんとやわらかいホロホロ鳥! ナイフで触れるとゆるりと揺れる。まずはそのままで肉の味を楽しもう。じんわりと体に沁み渡る滋味を堪能できる。

ダブル主役と言わんばかりの野菜、特に玉ネギは圧巻だ。新玉ネギの季節だが、これは越冬した昨年のものをあえて使った。皮ごとアルミに包みオーブン焼きしたのだが、こんなに形が崩れず糖度が高いのはそうあるものではない。その皿にとって最高の食材を選ぶ、佐々木シェフの感性たるや!

ワインをおいしく飲むためのキーワードとは?

ワインのセレクトがまた素晴らしい。シェフの料理の理解者であるソムリエ齊藤裕明さんのセレクトは、“うまみ”がキーワード。齊藤さんオススメの5本を紹介する。

まず初めに飲みたいのが「ペリエ ジュエ ベルエポック 1999」と「ペリエ ジュエ グランブリュット」(写真上・右2本)。上質なシャルドネは爽やかなブリュットで香りが華やか。今の時季に気持ちも食欲もあがるシャンパーニュである。エミール・ガレが描いたボトルデザインも魅力的だ。

ニュージーランドの「DOG POINT VINEYARD 2015」(同・中央)は齊藤さんの大好きなワイン。はつらつとしてきれいな酸と果実味のあるソーヴィニョンブランは佐々木シェフの素材を主張させる料理に非常によく合う。

シャトームートンロートシルトの白というだけで価値がある「エールダルジャン 1998」(同・左から2番目)。こちらのワイン、これだけ上質なソーヴィニョンブランが樽熟成でできるのか、醸造の仕方でこれだけ変わるのかが顕著に表れている。芳醇でうまみがたまらない。

「ジャン・ラフェ・エ・フィス ジュヴレ・シャンベルタン 1999」(同・左)の熟成からくる香りとやわらかさ、独特の滑らかさがありながらタンニンはしっかりとして芯のあるワイン。豚肉やジビエにはぜひ合わせて欲しい。

最初のひとくちは比較対象がないせいで“おいしい”の感覚がブレている。どんなにおいしくても実はその感動をあまり感じないものだそう。だから初めはうまみが強くないものから始めるのが良いと言う齊藤さんのペアリングもぜひ試したい。

料理、サービスともに最高を目指す新星『レクテ』

どの皿にも野菜がふんだんに使われ、しかも突出したおいしさである。それもそのはず。佐々木シェフの最初の修業先は『ル・ジャルダン・デ・サヴール』である。

一方、オーナーシェフの中澤敬二さんは『レカン』、『エヴァンタイユ』などを経て、まだ日本人がほとんど働いていなかった1981年に渡仏し『ギー・サヴォワ』、『トロワグロ』などで4年間修業した日本のフランス料理界の重鎮だ。

シグネチャーは自然から料理を創作するフランス料理界を代表するミッシェル・ブラス氏直伝の30種類以上の野菜を使った「ガルグイユ」。それぞれの野菜を別々の調理法で最大限においしくする、まさに野菜の魔術師である。

佐々木シェフは5年間、中澤シェフの元で火入れや自然の形を大切に掃除することなど野菜の扱いをみっちり学んだ。フランスにいた中澤シェフの影響もあって渡仏。労働ビザがなかったため短期でしか働けずかなり苦労したそうだ。それでもそれぞれの店で日本では知りえなかった様々なことを経験し腕を磨き自信もついてきた。

しかし『アピシウス』で、あまりのレベルの高さにその自信は一瞬にして粉々になった。そこでまた一から勉強である。こなす量、扱う食材の質、体力、精神力、フランス人に認められるためにフランス人になりきった。

その後、『オー・ボナクイユ』で3年間シェフを務め帰国。北海道の『ザ・ウィンザーホテル洞爺』でメインダイニングを任される。するとフランス人に認められた料理を今度は万人にうける味にしなければならなかった。食材、味の出し方、塩加減など慣れるまでに2年かかった。

そして『ル・ジュー・ドゥ・ラシエット』のシェフとして迎えられた。自分らしさを出したいという気持ちが強くなり、すべてを一新してスタート。『ヌーヴェルエール』から一緒に異動してきたスタッフは若く、生き生きと働きサービスも実に心地よい。

『レクテ』はラテン語で「まっすぐに、正しく、善く」という意味がある。直歩(なおぶみ)いうシェフの名前と同じように『レクテ』も最高のレストランに向かってまっすぐに歩んでいる。

(撮影/八木竜馬)

【メニュー】
ランチコース 4,800円、8,500円
ディナーコース 9,000円、13,000円、16,000円
※価格は税抜

レクテ

住所
〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西2-17-5 サンビレッジ代官山2F
電話番号
03-3770-7070
営業時間
11:30〜15:00(L.O.13:30)、18:00〜23:00(L.O.21:00)
定休日
水曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/p3bdn0yg0000/
公式サイト
http://recte.jp

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