夏のおもてなしに! 洋菓子研究家が教える「マンゴーのヴェリーヌ」の作り方
暑い季節になると食べたくなるのが、ひんやり冷たいジュレやムースなどのグラススイーツ。普段はクリームたっぷりの濃厚な味を好む人でも、暑い日が続くと、洋菓子店に並ぶ涼しげなグラススイーツに目を奪われてしまうのでは?
そこで今回は、夏のおやつにぴったりな涼しげスイーツの作り方を学ぶべく、新婚ほやほや、新妻グルメライターの植木祐梨子が、洋菓子研究家・たけだかおる先生に弟子入り! メディアでも大活躍中のたけだ先生が主宰する、予約がとれないお菓子教室におじゃまし、とっておきのレシピを教わってきた。
●祐梨子
「先生~! 夏休みに主人のご家族を招いてホームパーティーすることになったんです。そこで、みんなが喜ぶような、暑い日でもおいしく食べられるスイーツを作りたいのですが、なかなか良い案が浮かばなくて…。何かオススメの手作りスイーツはありませんか?」
●先生
「それは、デキる奥さんをアピールするチャンス!(笑) 気合を入れておもてなししたいわね。夏らしい彩りの、こんなスイーツはどうかしら?」
●祐梨子
「わー! とっても素敵! なんていうスイーツですか?」
●先生
「これは、『マンゴーのヴェリーヌ』です。ヴェリーヌとは、ムースやゼリーが層になったグラス仕立てのスイーツのこと。見た目も涼しげで良いでしょう? 爽やかな味わいが暑い日にぴったりで、お客様にお出しするととっても喜ばれるんです」
●祐梨子
「まさに、私が求めていたおもてなしスイーツそのもの! でも、自分で作るにはちょっと難しそうだな…」
●先生
「見た目は難しそうですが、実際はそんなことないのよ。このスイーツは3層すべてにゼラチンが入っているのだけど、そのゼラチンの扱い方さえ守れば意外と簡単に作れます! 今回はマンゴーとパッションフルーツがベースですが、使用する食材を変えれば味も見た目もガラッと変わるの。その場合、同じ分量で置き換えることはできないんだけど、ゼラチンを使いこなせば、手作りスイーツの幅がかなり広がりますよ♪」
●祐梨子
「そうなんですね! こんなオシャレなスイーツが作れたら、きっとご家族だけでなく、主人も惚れ直してくれそう! 作り方が早く知りたいです!」
●先生
「そうね。でもその前にひとつ質問。ゼラチンが何でできているかは知ってる?」
●祐梨子
「そう言われると、知らないかも…。ゼリーやムースを固める役割なのは知ってるんだけどなぁ…」
●先生
「ゼラチンは有名だけど、それが何かは意外と気にしないものよね。まずは、“ゼラチンとはなにか”。その性質や特徴をお話ししますね!」
「ゼラチン」ってそもそも何?
●先生
「ゼラチンはたんぱく質の一種で、牛や豚など、動物の骨や皮が原料となってできているの。主な成分はコラーゲンですね」
●祐梨子
「なるほど。そういえば “板ゼラチン”や“粉ゼラチン”というようにいくつか種類がありますが、これには何か違いがあるのでしょうか?」
●先生
「今回は板状のものを使用しますが、どちらのタイプを使っても仕上がりに大きな差はありません。ただ、粉ゼラチンは、ゼラチンの独特な香りを感じることがあるので、私は板ゼラチンをオススメしています。ちなみに、形状タイプとは別に、ゼラチンには“ゴールド”や“シルバー”といったグレードがあるのですが、そのことは知っていましたか?」
●祐梨子
「それも知りませんでした! グレードということは、ゼラチンの純度が違う…とか?」
●先生
「そのとおり! グレードが高くなるほど、ゼラチンの純度が高く、固める力が強いんです。製品によって若干差はありますが、製菓材料店(スーパー)などで購入できるものは一般的にシルバーグレードなので、今回もシルバーを使って作っていきましょう」
「ゼラチン」は温度にとても敏感!
●先生
「ゼラチンは温度の影響を受けやすいの。だから、ゼラチンをふやかすときの水温や、ゼラチンを溶かすときの温度がとっても重要。
他の食材と混ぜるときは、ゼラチンの温度だけでなく、合わせる食材の温度にも気をつけないと、うまく固まらなかったり、ジュレやムースがおいしく仕上がらなくなってしまうのよ。
逆に言えば、ゼラチンの正しい取り扱い方を理解すれば、美しくておいしいヴェリーヌを作れるようになるんです!」
●祐梨子
「ゼラチンの扱い方が重要なんですね。その方法、詳しく知りたいです!」
●先生
「食感の良いジュレやムースを作るには、守るべきコツがいくつかあります。ポイント別に説明していきますね」
●祐梨子
「はい! よろしくお願いします♪」
■ムース・ジュレ作りのポイント3つ
1.板ゼラチンをふやかすときには、水道水ではなく「氷水」を使うこと!
2.板ゼラチンを溶かすときは、火にかけずに「湯せん」すること!
3.ゼラチンと他の材料を混ぜるときの温度に気をつけること!
1.板ゼラチンをふやかすときには、水道水ではなく「氷水」を使うこと!
●先生
「ムースやジュレを作る前に、まずゼラチンを戻す工程があります。
そのとき、水道水を使って戻す人が多いのですが、夏場は水温が高くなりやすいため、浸したゼラチンが溶けて消えてしまうことがあるんです」
●祐梨子
「なんと! 溶けて消えないようにするには、どうすれば良いのでしょう? 」
●先生
「ゼラチンが溶けないようにするために、水道水ではなく“氷水”に入れて、冷蔵庫の中で戻すのがオススメです。常にこの方法をとることで、季節や水温に左右されることなく、いつでも上手に戻すことができますよ」
2.板ゼラチンを溶かすときは、火にかけずに「湯せん」すること!
●先生
「氷水の中でゼラチンがしっかりとふやけたら、溶かす作業に入ります。溶かし方ですが、直接火にかけるのではなく、“湯せん”して溶かすことがポイントです!」
●祐梨子
「それは、ゼラチンが溶ける温度と関係しているのでしょうか?」
●先生
「その通り! 製品によって多少異なりますが、基本的には50℃ほどで溶けていきます。ゼラチンを直接火にかけてしまうと、ゼラチンの固まる力が弱くなってしまうの。なので、ゼラチンを沸騰させたり、熱を加えすぎないように気をつけましょうね。
余計な水分が入らないよう、湯せんするときは、キッチンペーパーの上でしっかりとゼラチンの水気をふき取ってから溶かすようにしましょう」
3.ゼラチンと他の材料を混ぜるときの温度に気をつけること!
●先生
「さて、ここからは一番重要なポイント! ふわふわでなめらかなムースを作るために大切な温度について解説しようと思います」
●祐梨子
「ゼラチンの温度が、ムースの味に影響するんですか?」
●先生
「そうなんです。今回作るムースは、『バニラチーズムース』と『マンゴームース』の2種類。それぞれに共通するコツを説明していきますね」
●先生
「ムースは、ピュレや砂糖、ゼラチンなどを混ぜてベースを作ってから、最後に泡立てた生クリームを合わせて作ります。
ここでポイントとなるのが、ベース(ゼラチンを含む)の粗熱をしっかりととっておくこと。ベースが熱いままだと、せっかく泡立てた生クリームが溶けてしまい、気泡が抜けてしまうんです」
●祐梨子
「ムースのふんわり感が損なわれてしまうんですね」
●先生
「そうなの。でも、だからといって冷やしすぎるのもダメ。生クリームが混ざってなめらかなムースに仕上がる前に、ゼラチンが冷え固まってしまい、食感が悪くなってしまうんです。マンゴーとパッションフルーツの場合は、ベースの温度が26〜30℃くらいであることを温度計で確認してから、生クリームと混ぜ合わせるのがよいでしょう。適温は、合わせる食材によって変わります」
●祐梨子
「なるほど、熱すぎると生クリームが溶けちゃって、冷たすぎるとゼラチンが固まっちゃうんですね。最初はピンと来なかったですが、温度がなんで大事なのかがわかってスッキリしました!」
●先生
「ちなみに、生のマンゴーではなくピュレを使っていることにも理由があるんですよ」
●祐梨子
「市販のピュレのほうが、手間がかからないからですか?」
●先生
「もちろん、手間をかけずに安定した味を楽しめるというメリットもあります。でもそれとは別に、生のフルーツが持つ酵素には、ゼラチンのタンパク質を分解してしまう働きがあるの。その働きが、ゼラチンがきれいに固まるのを妨げてしまうことがあるんです。だから、洋菓子店に並んでいるスイーツも、実は生のフルーツではなく、市販のピュレが使われていることが多いんですよ」
●祐梨子
「材料一つひとつにも理由があるんだなぁ…。洋菓子作りって、知れば知るほど奥が深いですね」
●先生
「レシピをそのまま教わるよりも、その根拠や理由を知ってから作るほうが楽しいですよね♪」
■コツを理解したところで、いざ実践!
●祐梨子
「おいしいムース作りには、ゼラチンの戻し方、溶かし方、他の材料を混ぜ合わせるときの温度、この3つが重要だったんですね」
●先生
「はい。それさえ押さえておけば、大きく失敗することはありません! それではお待ちかね。ポイントをおさらいしながら、実際に作っていきましょう」
●祐梨子
「待ってました~! よろしくお願いします♪」
■「マンゴーのヴェリーヌ」の作り方
グラスを6つ用意。
下の層から順番に作っていく。
・【下層】パッションフルーツのジュレ
・【中層】マンゴームース
・【上層】バニラチーズムース
■下層:パッションフルーツのジュレ(6個分)
・パッションフルーツピュレ … 90g
(今回はラ・フルティエール加糖10%を使用)
・マンゴーピュレ … 30g
(今回はラ・フルティエール加糖7%を使用)
・グラニュー糖 … 5g
・板ゼラチン … 1.5g
(冷水で20分以上戻しておく)
■中層:マンゴームース(6個分)
・マンゴーピュレ … 108g
(今回はラ・フルティエール加糖10%を使用)
・パッションフルーツピュレ … 20g
(今回はラ・フルティエール加糖7%を使用)
・板ゼラチン … 2.5g
(冷水で20分以上戻しておく)
・グラニュー糖 … 12g
・生クリーム 36% … 80g
■上層:バニラチーズムース(6個分)
[アングレーズソース]
・牛乳 … 20g
・生クリーム(36%) … 20g
・バニラビーンズ … 1/2本
・卵黄 … 24g
・グラニュー糖 … 15g
[バニラチーズ]
・クリームチーズ … 55g
・生クリーム(36%) … 100g
・板ゼラチン … 2g
(冷水で20分以上戻しておく)
■今回使用したキッチンツール
[必ず準備するもの]
・ガラスのカップ6個
・漉し器
・ホイッパー
・ゴムベラ
・注ぎ口のついたカップ
[あると便利なもの]
・ハンドブレンダー
(※バニラチーズムースを作るときに、チーズが早くなめらかになる)
・温度計
(※生クリームとゼラチンのピュレを混ぜ合わせるときにあると便利)
・ハンドミキサー
(※生クリームを泡立てるときにあると便利)
■パッションフルーツのジュレを作る(下層)
[下準備]
・板ゼラチンは水に浸して戻しておく。(たっぷりの氷水に浸して、冷蔵庫に20分以上入れておく)
・パッションフルーツのピュレ、マンゴーのピュレは、必ず解凍して戻しておく。(熱を加えると香りが飛んでしまうため自然解凍が好ましい。加熱殺菌されているメーカーのピュレは、火を通さなくてよい)
・スムーズに作業を進めるため、使う道具はあらかじめ出しておく。
[作り方]
① パッションフルーツピュレ、マンゴーピュレ、グラニュー糖を合わせる。
② 板ゼラチンを熱めの湯せんで溶かす。
- ポイント
- ・板ゼラチンは使う前にキッチンペーパーで水気をふき取る。
・湯せんした状態で放っておくとゼラチンが煮詰まって水分がなくなってしまうので、溶けたことを確認したらすぐに使う。
③ ゼラチンの入ったボウルの中に、①のピュレの一部を入れる。なじませたら、残りのピュレも合わせ、粗熱を取る。
- ポイント
- ・ピュレが冷たすぎると戻したゼラチンが固まる場合があるので、ピュレを常温に解凍してから使用する。
・粗熱をとっておくと、冷やし固める際の時間短縮につながる。
④ ③を茶こしで漉す。
- ポイント
- ・ガラスのカップに注ぐ際、全てのカップに均等に入れられるよう、ここで一度計量しておくとよい。
・一個あたり、およそ20gを目安とする。(6個の場合、120gは必要)
⑤ 漉したピュレを、約20gずつグラスに流し入れる。
- ポイント
- ・グラスの端から注いでしまうとグラスが汚れてきれいな層を作ることができなくなるため、中央にそそぐ。
・高い位置から注ぐと、ピュレが跳ね返ってしまうので、なるべく低い位置から注ぐ。
⑥ 1個20g程度×6個分注いだら、冷蔵庫で1時間以上冷やす。
- ポイント
- ・食用アルコールを表面にふきかけると、気泡を消すことができ、表面が綺麗に仕上がる。
・少し高さのあるバットに氷水を入れ、その中にグラスをいれて冷やすと、早く冷やすことができる。
■マンゴームースを作る(中層)
[下準備]
・板ゼラチンは水に浸して戻しておく。(たっぷりの氷水に浸して、冷蔵庫に20分ほど入れる。)
・パッションフルーツのピュレ、マンゴーのピュレは、必ず解凍して戻しておく。(熱を加えると香りが飛んでしまうため。加熱殺菌されているメーカーのピュレは、火を通さなくてよい)
[作り方]
① 生クリームを氷水にあてて、グラニュー糖を加えて泡立てておく。
- ポイント
- ・グラニュー糖と冷たいままのピュレを直接合わせると溶け残りができる可能性があるため、先にグラニュー糖と生クリームを一緒に混ぜ合わせる。
・ボウルを傾けた時に流れない程度まで緩めに泡立てる。
② 水でふやかした板ゼラチンを小さめのボウルに取り、熱めの湯せんで溶かす。
- ポイント
- ・余分な水分が入らないよう、ふやかした板ゼラチンは使う前にキッチンペーパーで水気をふき取る。
③ マンゴーピュレとパッションフルーツピュレを混ぜ合わせる。溶かした板ゼラチンに、合わせたピュレの1/3量を入れてなじませてから、ピュレの2/3量が入ったボウルに戻す。
- ポイント
- ・ここで温度を測り、粗熱が取れていることを確認する。温度が高いままだと、次に合わせる生クリームの気泡が抜けてしまうので、26℃前後が目安。
・混ぜるピュレは必ず常温のものを使用する。
④ ①で泡立てておいた生クリームを少し泡立て直し、そこに粗熱を取ったゼラチン入りのピュレを加える。
- ポイント
- ・ゼラチン入りのピュレは一度に全て入れる。
・液体の重さが違うものを混ぜるときは、ゴムベラを垂直に立てながら混ぜる。そうすることで渦ができ、素早く均等に混ぜ合わせることができる。
⑤ 1個36g程度×6個分グラスへ注いだら、冷蔵庫で1時間以上冷やす。
- ポイント
- ・すべて均等に入れ終えたら、グラスを手のひらの上にトントンと落として整える。
・ボウルからムースを注ぐとき、手元がずれないよう、注ぎ先は一箇所に決めて入れる。
●祐梨子
「グラスに均等に注ぐのが難しい~!注ぐ量をうまく調節するコツはありませんか?」
●先生
「しぼり袋を使って注ぐのもオススメですよ!まず口金をセットした部分をねじって漏れないようにしてから、ムースを入れてください。絞っていてそろそろ止めたいなと思ったら、ねじっておいた袋の部分を、左手の親指と人差し指でギュッと押さえます。そうすることで、ムースが流れ出るのを止めることができ、注ぐ量を手元でコントロールできるんです♪」
●祐梨子
「なるほど!これなら自分のタイミングで調節できそう!」
■バニラチーズムースを作る(上層)
[下準備]
・板ゼラチンは水に浸して戻しておく。(たっぷりの氷水に浸して、冷蔵庫に20分ほど入れる。)
・バニラビーンズは鞘(さや)を割いて種を取り出す。牛乳と生クリームを合わせたものに、鞘と種の両方を漬けておく。漬け込む時間は最低でも2~3時間。
・クリームチーズをブレンダーカップに入れて柔らかくしておく(ブレンダーがない場合は、手で混ぜるためボウルに入れておく)
・卵黄はあらかじめ、24gに計っておく。(卵黄の量が多いと、より濃厚に仕上がる)
●先生
「さぁ、いよいよ一番上の層を作っていきましょう! バニラチーズのムースには、アングレーズソースを入れます。アングレーズとは、卵黄に、牛乳や生クリーム、砂糖を混ぜ合わせたものを鍋にいれて、とろみがつくまで弱火で煮たソース状のもののことを差します」
[作り方]
① 生クリーム100gを、氷水にあてながら緩めに泡立てる。
- ポイント
- ・必ず氷水にあてながら泡立てる。
・ハンドミキサーを使う場合、ボウルを回しながら泡立てることで金属のこすれを防ぐことができる。
・泡だて器ですくいあげたとき、少しツノが立つ程度まで緩く泡立てる。
② 牛乳と生クリームを合わせたものを、耐熱容器に入れる。500Wの電子レンジで50秒程度、しっかりと湯気が出るまで温める(約80℃)。目安はバニラの甘い香りが漂ってくるくらい。
③ 卵黄に、グラニュー糖と②を大さじ1程度入れ、ホイッパーで混ぜる。
- ポイント
- ・最初に水分を少し加えておくことで、黄身の塊ができにくくなる。
④ ②の残りを合わせてから鍋に戻して、最弱火でアングレーズを煮る。
- ポイント
- ・とろみがつくまで煮る。(しっかりととろみをつけないと、ムースの仕上がりがゆるくなってしまう)
・煮上がりの目安は、鍋の底をヘラでこすったときに筋が書ける程度。
・煮上がりの温度はおよそ83℃。
●祐梨子
「先生~!量が少なすぎるからか、温度計で正確な温度が計れません…」
●先生
「では、煮上がりのサインを教えましょう!まず、だんだんとろみがついてくると、鍋の底に筋が書けるようになってきます。わかりづらかったら、鍋を傾けてソースをゴムベラでなぞってみてください。なぞってできた筋が、ゆ~っくりと閉じるようなら、煮上がってきたサインです」
●祐梨子
「ほんとだ!筋が残ってる!」
●先生
「さらに湯気が上がってきたら、しっかりと煮上がった証拠です。すぐにコンロから下ろしましょうね」
⑤ 煮上がったら、戻しておいた板ゼラチンを入れて溶かす。ゼラチンが溶けたら、バニラの鞘を取り除く。
⑥ ⑤を、あらかじめ柔らかくしておいたチーズと合わせ、ブレンダーにかける(ブレンダーがない場合は、柔らかくしておいたチーズを数回に分けて混ぜ合わせて、ホイッパーでなめらかにする)。
- ポイント
- 一緒にブレンダーにかけることで、簡単にチーズの塊を取ることができる。
⑦ ⑥をこし網で漉し、なめらかにする。
- ポイント
- ここで温度を測り、粗熱が取れていることを確認する。温度が高いままだと、次に合わせる生クリームの気泡が抜けてしまうので、26℃前後が目安。
⑧ ①で泡立てておいた生クリームを、少し泡立て直して整える。そこに⑦を合わせ、ゴムベラで混ぜる。
- ポイント
- ・⑦は一度に全て入れる。
・液体の重さが違うものを混ぜるときは、ゴムベラを垂直に立てながら混ぜる。そうすることで渦ができ、素早く均等に混ぜ合わせることができる。
⑨ 1個35g程度×6個分グラスに流したら、冷蔵庫で1時間以上固まるまで冷やす。
- ポイント
- ・すべて均等に入れ終えたら、グラスを手のひらの上にトントンと優しく落として整える。
・グラス内部に水滴がついていると、仕上がりがきれいな層にならないので、あらかじめ拭いておく。
■デコレーションをする
⑩ ムースが冷え固まったら1cm角にカットしたお好みのフルーツをのせてデコレーションする。
- ポイント
- デコレーションは高さを出すと、立体感が増してより美しく見える。
■「マンゴーのヴェリーヌ」が完成〜!
●祐梨子
「完成しました〜! 」
●先生
「きれいなグラデーションになりましたね♪」
●祐梨子
「はい! ゼラチンの性質さえきちんと理解すれば、意外と簡単に作れることがわかりました! 基本がわかれば、フルーツを変えたり、盛り付けを変えたり、アレンジが効きそうですね」
●先生
「そうなんです! 盛り付けなら、こんなアレンジも素敵ですよ♪」
●祐梨子
「すごい! 層が斜めになるだけで、雰囲気がガラッと変わりますね! これはどうやって作るんですか?」
●先生
「冷やす時に、グラスを傾けておくだけですよ。わたしの場合は、下の写真にある”トヨ型”というケーキ焼型に滑り止めシートをのせて、グラスを斜めに固定するようにしています。固定がしっかりできれば、トヨ型を使わなくてももちろんOKです」
●祐梨子
「なるほど~!今週末、さっそく試してみよう♪
そして何よりこのムース、本当においしい!
濃厚で香り豊かなバニラチーズムースに、自然な甘さのマンゴームース。1番下のパッションフルーツジュレは酸味が効いていて、あと味さっぱり!3層の個性が絶妙に合わさっていて、何個でも食べたいくらい!早くみんなにも食べてほしいなぁ」
●先生
「次回は、簡単に本格味になるクッキー作りのポイントをレッスンしますね♪」
●祐梨子
「次回も楽しみ!よろしくお願いします♪」
取材・文/植木祐梨子、写真/岡本寿