福岡の名店『益子』のDNAを継承するコース仕立ての焼鳥
福岡・地下鉄空港線赤坂駅から徒歩約3分、大名や天神といった繁華街ではなく、マンションが建ち並ぶやや隠れ家的な立地に店を構える『焼鳥 高田』。
なにも書かれてないシンプルな暖簾と、見落としそうなほど小さな看板のみという外観で、控えめながらどこか洗練された料理がいただける雰囲気の店構えだ。
お通し的に最初に出てくるキャベツが盛られた皿に、オーダーした串が焼き上がった順にランダムに供されるのが福岡の焼鳥の定番スタイルだが、同店は違う。6本、8本、10本と本数が異なる3種から選べるコース仕立てとなっている。
福岡で“焼鳥コース”というと、大名の名店『益子』が有名だが、実は、『焼鳥 高田』の店主・高田真人さんはその『益子』で7年間、修業を積んで独立した、注目の焼鳥職人なのだ。
店は焼き場を囲むように配されたカウンターとテーブルが2つだけというシンプルな造り。「目が行き届く範囲でお客様に最上のサービスをさせていただきたいと思っています。なので、今はこのぐらいの空間がベストなんです」と話す高田さん。
もちろん週末などは満席になることもざらだが、席数を増やすことで味とサービスの質を落としたくないという、高田さんのこだわりあっての全13席だ。
新鮮な鶏を“生”の状態から強火力で焼き上げる!
『焼鳥 高田』の焼鳥コースは6本1,600円、8本1,800円、10本2,000円とリーズナブル。鶏肉専門の卸業者から直で仕入れる、新鮮な九州産の鶏肉を使い、一番人気の10本コースは鶏の主要部位をすべて味わえる内容だ。
焼き場での時間短縮、仕込みの手間を軽減するために、皮や肝はあらかじめ湯引きする店も多いなか、同店は“生”の状態から焼くことにこだわる。熱源は火力が強い備長炭。串を焼く際は最高火力を維持することを徹底し、どの部位も外は“バリッ”と、中は“ジューシー”な食感に仕上げる。
焼き場に立つのは店主のみというのも、修業先の『益子』同様。使用する食材や炭を厳選するのはもちろんだが、やはり最後にものをいうのは“焼き手の技”という考えがあってのスタイルだ。
出てくる焼鳥の順番も計算されており、どのコースも淡白な味わいのササミからスタート。その後、タレ焼きのレバー、砂肝、ネギ巻き、皮、せせり、手羽先などが順番に供される。
「最高火力で焼き上げるので、火の調整に少しお時間を頂戴しております。ご来店の15分前でも結構ですので、ご連絡いただければお待たせすることはございません」と高田さん。
“焼き”へのこだわりがキラリと光る、超絶のうまさ!
焼鳥をコーススタイルで楽しませる同店。各部位がどんなこだわりをもって焼かれているのか、代表的な部位を例に聞いてみた。
塩を軽く振り、本ワサビを添えて供される「ササミ」。中はうっすらと美しいピンク色を帯びた絶妙な焼き加減。噛むほどにうまみが染み出てくる。素材が新鮮だからこそ、レア焼きで提供できる一本だ。
『焼鳥 高田』では、ほとんどの部位を塩で焼くが、こちらの「レバー」はタレ焼き。素材自体の鮮度がいいのはもちろん、焼き手の技が光るレア加減はさすが。外はバリッとした食感で、かつ中まで熱々になりつつ、レア加減を維持している。
コリッとした食感の「砂肝」。高知県産の粗塩がうまみを引き立たせる。数ある串の中でも、ある程度しっかり火を入れる一本。素材自体が持っている水分を抜くことなく焼き上げる技術がうかがえる。
薄めにタレをまとった「うずらの卵」。コース内では箸休め的な役割で供される。
鶏モモ肉で白ネギを巻いた「ネギ巻き」。ネギのシャキッとした食感を残しつつ、外側はバリッと焼き上げる。ネギをはじめシイタケ、シシトウと野菜が入ることでほかの串に比べてタレが絡みやすく、ジューシーな食感に。「モモ肉は薄めなので、ネギにしっかり火を入れるイメージで焼き上げています」と高田さん。
生の状態から焼き上げることで、ジューシーな味わいが引き立つ「皮」。通常の店ならすぐに出てくるイメージの部位だが、同店では焼き上げるまでおよそ10分かかるという。外はカリッ、ジュワッとした食感なのも生の状態から丁寧に焼き上げるからこそ。
そして、鶏のお尻の部位「ぼんじり」は上質な脂を含み、うまみ、甘みがしっかりと詰まっている。
鶏の首部位「せせり」は、プリッとした食感が特徴。鶏の中でもよく動く部位のため筋肉質だが、脂がのっており、ジューシーな味わい。
6本、8本、10本と、どのコースでもラストに供される「手羽先」は、皮、脂、身、軟骨をバランス良く味わえる部位の上、骨が出るので最後のネタにしているそう。
そして、ほとんどのお客が〆にオーダーする「そぼろ丼」(漬物付き)。甘辛く炊いたそぼろの上に落としたうずらの卵が丼全体をまろやかな味わいにまとめあげる。鶏ガラスープと漬物付き。
焼鳥との相性を重視し、ラインナップする日本酒。全国各地の酒蔵から、キレがある辛口をメインに仕入れる。常時6〜7種を用意し、ほとんどの銘柄が1合800円だ。
目指すのは30年先も変わらず愛される、日常使いできる焼鳥店
「丁寧な仕事は当たり前。料理はもちろんサービスも含め、ご満足いただけるお店でずっとありたい」と話す高田さん。目指すのは30年、40年と永きにわたり愛される店だ。
そんな店であり続けるために、コースといえど1,600円〜という手頃さを重視し、近隣に暮らす人たちが通いやすいように子ども連れもOKという姿勢で店を営む。
美食家たちをトリコにし、関東スタイルのコース仕立ての焼鳥を福岡に広めた『益子』のDNAを受け継ぎ、自分なりの焼鳥店のスタイルを追求する、31歳の若き店主。今後さらに技を磨き、洗練されていくであろう『焼鳥 高田』からますます目が離せない。
【メニュー】
焼鳥コース6本 1,600円
焼鳥コース8本 1,800円
焼鳥コース10本 2,000円
とり皮ポン酢 400円
厚揚げ 450円
京漬物盛合せ 450円
そぼろ丼(漬物付き) 600円
焼おにぎり(漬物付き) 350円
※価格は税抜
焼鳥 高田
- 電話番号
- 050-3313-2019
- 営業時間
- 月~日 ディナー:18:00~24:00(L.O.23:00)
- 定休日
- 不定休日あり
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。