アメリカ発、正統派「江戸前寿司」でセレブを魅了
日本を代表する食である寿司。海外の“SUSHI”といえば、カリフォルニアロールのように、日本人の持つイメージとは少し離れた姿を想像するかもしれない。けれど、正統派の江戸前寿司の味を知り、本物が食べたいという人たちも大勢いる。
そんな海外の“寿司通”たちをトリコにしてきたアメリカの人気店『Sushi Zo』が、2017年9月15日、六本木に『Sushi Zo Tokyo(スシゾー トーキョー)』として初登場した。
『スシゾー』は、日本とアメリカで寿司職人として30年以上修業をしてきたオーナーシェフの堰 啓造(せき・けいぞう)さんが2006年、ロサンゼルスで創業。厳選された良質の素材を使い、正統派の江戸前寿司の技法を凝らした「Omakase(おまかせ)」が評判を呼び、ハリウッドセレブも常連になるなど、瞬く間に人気店となった。
2009年にはロサンゼルス店、2016年にはニューヨーク店がそれぞれ『ミシュランガイド』に掲載されるなど評価も高い。
世界で6店舗目となる『スシゾー トーキョー』は、新国立美術館近くの路地を入ったビルの1階にある。カウンター9席、個室4席と小ぢんまりとしていて、まるで隠れ家のよう。中央に清らかな白木のカウンターが置かれ、装飾はストイックなまでにシンプル。アメリカ発の店とは思えないほど、純然たる和の空間だ。
シャリとネタが奏でるハーモニー、それが「Zo Style」スタイル
メニューは「Omakase(おまかせ)」のコースのみ。内容は、つまみ5~6品、寿司16~18貫と汁物、卵焼き、デザートとなっている。
「寿司というのは、最終的にお客様が口にして、味わっていただくときに、どういう状態で供するかが一番大切。その状態をイメージして、いつも仕込んでいます」と堰シェフは語る。
江戸前の寿司職人の技を生かし、素材とシャリとの一体感を何よりも大切にし、そのことに妥協なくこだわる。
例えば、「8~9割はご飯で決まる」と堰シェフがこだわるシャリは、かたさ、酢の合わせ具合、温度、いずれも納得ができなければ作り直すという。魚は、新鮮であればよいというわけではなく、少し寝かせて、しっとりとうまみが増した状態に仕込む。
この『Zo Style(ゾー・スタイル)』と『スシゾー』で呼ぶコンセプトを、六本木店を含む各店舗のシェフたちが受け継いで実践している。
「逆輸入という言葉は好まない」と堰シェフは語るが、どこの場所でもシェフ自らのスタイルを貫いているという自負があるからだろう。
世界に伝えたい、日本の魚介類のおいしさ
写真は、大間産マグロの大トロと赤身、ボストン産のカマトロ、利尻産のヒラメ、北海道のブリ。日本の旬の魚のおいしさにこだわる『スシゾー』では、アメリカでも6~7割日本産の魚を使用しているという。
「日本の魚は本当に素晴らしい。日本ほど魚介にこだわり、おいしく食べようと努力する国は他にはないと思います」と堰シェフ。
「魚介を食べる日本の技術も、世界ではまだまだ知られていない。そういった技術も研究しながら、魚介にこだわる日本でお店をオープンすることは、今後の『スシゾー』にとって足掛かりにもなると考えています」
つまみは、季節のものをできるだけ手を加えず、素材のうまみを最大限に引き出すことを第一にしているという。写真上は、北海道・仙鳳趾(せんぽうし)産の牡蠣。濃厚でクリーミーな味が特徴だ。この牡蠣を軽くスモークすることで、より深い香りと味わいが楽しめる。
「これからの季節ですと、ブリなどが最高でしょう。9月初めに、北海道を訪れたのですが、すごく良くて、トロトロでおいしかったです」と堰シェフ。素材そのものが上質なため、シンプルに焼いていただく。“トロトロ”な脂ののりを味わいたい。
この他にも、まろやかでさっぱりした毛ガニとウニを入れた寄せどうふなど、寿司を食べる前に、酒にぴったり合った「つまみ」が揃っている。
すべては「Wow!」 エクスペリエンスのために
『スシゾー』の寿司は少し小振りだ。それは、ひと口で寿司を味わい、シャリとネタのハーモニーを楽しんでほしいという思いからだ。
「Wow(ワォ)!なんだ、このおいしさは!」という口に入れた瞬間の驚き、ワクワク感を堰シェフは“Wow! エクスペリエンス”と呼んでいる。ネタとシャリとの極上の一体感から生まれるおいしさを、何よりも大切と考えている『スシゾー』ならではの体験だ。
こぼれ落ちそうなぐらいたっぷりのウニが盛られた軍艦巻き。『スシゾー』では、季節によって、ウニの産地を使い分けているとか。
中でもカリフォルニア産の極上グレードのウニは『スシゾー』ならではだろう。日本には滅多に入ってこない上質のウニだが、『スシゾー』は独自ルートで仕入れている。ちょうど北海道産の旬が終わる頃、旬に入るそうだ。
お酒の品揃えは、ロサンゼルス発の店らしく、ナパバレーのワインもあるが、やはり寿司に合うのは日本酒ということで、キレのよい、やや辛口の酒がラインナップされている。ここでも何より料理とのハーモニーを大切にしている。
「嫌なことがあっても癒されるようなお寿司を出していきたい。だから、お寿司以外にも、お客様と向き合う心を大切にしたいと思います。それも十分な薬味になるのではないでしょうか」(堰シェフ)
世界各国に日本の魚のすばらしさを伝えていきたいと語る堰シェフ。くつろぎの空間で、スタッフの行き届いたサービスと、おいしい料理で過ごす時間の楽しさは世界共通のはず。ぜひ“Wow! エクスペリエンス”を体験してみてはいかがだろう。
【メニュー】
おまかせ 22,000円
※価格は税込・サービス料込
Sushi Zo Tokyo(スシゾー・トウキョウ)
- 電話番号
- 03-6804-5135
- 営業時間
- 18:00~23:00
- 定休日
- 日曜および第3月曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。