屋号からしてインパクト満点! 駐車場跡地にできた次世代型小料理店
福岡市中心部を東西に貫く国体道路沿いに店を構え、20代~30代の女性を中心に人気を誇る炉端店『炉端 百式』。2013年8月オープンと、店を構えてからわずか4年半ほどで、連日満席必至の人気居酒屋へと成長した。
そんな同店が2号店を開くという噂は2017年春ごろから耳にしていたが、まさか『炉端 百式』とはまったく異なるスタイルの店を出すとは……。
店の名は『めしや コヤマパーキング』。飲食店やアパレルショップなどが並ぶ上人橋通りから、少し奥に入った細い路地に店を構える。この場所は『めしや コヤマパーキング』と、隣りで営む大阪発のイタリアンバル『(食)ましか』の2軒以外何もない、目立たない立地だが、路地が暗いだけに逆に店内から漏れ出す灯りが良い目印になっている。
屋号の由来は、同地に元々あったコインパーキングの名称そのままに命名したというからユニークだ。そして驚きとともに、ワクワクさせてくれるのが、入口の回転扉。ホテルなどでよく目にしていた一昔前のドアだが、同店の雰囲気になぜかマッチしている。ステンドグラス風の装飾もまたファサードのアクセントだ。
店内に入るとさらにおもしろさが増してくる。まず目に飛び込んでくる巨大な鍵穴のような形のカウンター席。店主の上山修さんは「京都にある『イノダコーヒー三条支店』の円形カウンターをヒントにしました。最初に『イノダコーヒー』さんに行ったときに、とにかくかっこよくて! 多分、『イノダコーヒー』さんを知っている方なら、“あっ、マネしたな”ってわかるんじゃないですかね(笑)」と話す。
円形カウンターの中央に調理場を備えており、これぞオープンキッチンの極みといっても過言ではないスタイル。まさに劇場のようなライブ感に浸りながら、食事が楽しめる。
そして、各席に備え付けられた引き出しも斬新。中には食器や調味料が備えられており、その珍しさから写真を撮ってSNSにアップしたり、自分専用の食器や調味料があることを喜んだりする人が多いという。
「奇をてらった造りと思われていますが、純粋に機能性を追求しただけなんです。引き出しに取り皿や箸、調味料、メニュー表を収納することで、カウンターの上がスッキリします。このアイデアは、僕の中ではヒットでしたね」と上山さんは微笑む。
連日満席の理由はオリジナリティある料理とそのウマさ!
料理は炉端焼きを柱に据える1号店とは、まったく違う。屋号に“めしや”と冠するように、なんのジャンルにも当てはまらないメニューを展開。正直、「ごまさば」や「博多がめ煮」といった馴染みのある料理以外は、明確に味の想像ができないほど、斬新なメニューが多い。グランドメニューはおよそ40種、季節メニューは20~30種とバリエーションも豊富なので、日常的に通っても飽きることはないし、さらにお気に入りの一品を見つける楽しみもあるはず。
そんな同店で、マストで味わうべき3品を紹介しよう。
まず1品目は「あんぽ柿とチーズの生ハム包み」(写真上)。干し柿の一種だが、中がねっとりと柔らかなゼリー状になったあんぽ柿とクリームチーズを生ハムで包んだ酒のあて。柿の甘みとクリームチーズのほのかな酸味、生ハムの塩気のバランスが抜群で、ワインや日本酒と合わせたい一品だ。使用する果物は季節により変わる。
お次は「和牛のフィレカツサンド」(写真上)。ポイントはカツとパンの間にサンドした、えんどう豆ベースのずんだペースト。エビなども混ぜ込み、洋風のメニューながら和テイストの味わいに仕上げている。カツにかけているウスターソースも、野菜や果物を煮込み、自家で仕込んでいるというから驚き。
そして3品目は「ソフトシェルクラブの唐揚げ」(写真上)。下味をつけたソフトシェルクラブを唐揚げ仕立てにしたメニューで、ポイントは衣に砕いた柿の種を混ぜ込んで揚げている点。柿の種のもち米ならではのカリッ&モッチリ食感がクセになる。香ばしさもグッド!
お酒で最も力を入れているのは日本酒。常時20種程度を用意し、ぬる燗~上燗にすると、より味わいに深みが出る銘柄をラインナップ。価格はグラス1杯500〜700円。
カウンター上に置かれている日本酒のメニュー表。裏面に書かれた味や香りの特徴を参考にセレクトしてみよう。
福岡の人気焼鳥店、和食店で腕を磨いた店主。とにかく“楽しい”を追い求める
店主の上山さんは、福岡の超人気店『焼とりの八兵衛』で6年間研鑽を積み、その後、魚のことを学ぶために和食の『柳町一刻堂』で2年半修業。「料理の技術はもちろん、考え方や学ぶことの大切さを教えてくれたのが両店」と話すように、上山さんのキャリアを語るのに、この2店の存在は外せない。
ただ、1号店の『炉端 百式』も、ここ『めしや コヤマパーキング』も、影響を多大に受けた修業店のスタイルとはまったく違う。
カウンター内に構えたキッチンは狭小なので、チームワークも大切。全員が作業しやすいように、スタッフ一人ひとりが役割をしっかり理解している。
ポジティブなスタッフたちと接するだけでも、元気がもらえる。オリジナリティあふれる料理、斬新なテイストはもちろん、空間、スタッフの接客すべてが、他店とは一線を画す『めしや コヤマパーキング』。ぜひ一度訪れて、その魅力に直に触れてほしい。
【メニュー】
ごまさば 950円
渡り蟹と甘海老の塩辛 980円
アボカドあけがらし 500円
ソフトシェルクラブの唐揚げ 980円
蟹味噌くりぃむコロッケ 650円
和牛のフィレカツサンド 1,150円
あんぽ柿とチーズの生ハム包み 580円
日本酒(グラス) 500円〜
本日のグラスワイン 500円〜
※価格は税込
めしや コヤマパーキング
- 電話番号
- 092-688-6311
- 営業時間
- 18:00〜翌1:00(L.O.24:00)
- 定休日
- 不定休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。