人気店『麻布 秀』の秘伝だしを受け継いだ『だし秀 西麻布』が誕生
2009年の開業から10年を迎えるおでんが人気の『麻布 秀(あざぶ しゅう)』。新たな展開として、その自慢のだしを受け継ぎ、だしで食べる「出汁しゃぶ」と創作料理の店『だし秀(だしひで) 西麻布』が2017年11月28日、西麻布に誕生した。
内装、料理とも“ハイカラ和食”をテーマに、和を主軸にしながらも、洋の要素を感じられる装飾や食器、調理法をさりげなくプラスすることで、居心地のよい空間を演出している。全24席の「割烹と居酒屋の中間」という気軽さもあり、接待よりも、友人や同僚との食事、デートを楽しむ客の姿が目立つ。
料理長の山本博之さん(写真上)は、京都の料亭『京料理 木乃婦(きのぶ)』、大阪の割烹『旬屋 じょう崎』での経験を経て、『麻布 秀』にて料理長の右腕として7年間腕を磨いた和食一筋の料理人だ。『だし秀 西麻布』では料理長に就任し、自慢のだしを活かした和と洋の要素を合わせた独自のハイカラ和食を提案する。
自慢のだしと石垣牛との出会い
だしとともにおすすめしているのが沖縄県産のブランド和牛「石垣牛」と在来豚「金武(きん)アグー」だ。特に「石垣牛」は、2000年に開かれた沖縄サミットで、当時のアメリカ大統領クリントン氏が絶賛したことで国内でも注目されるようになった。細かなサシが入り、とろけるような食感という和牛のイメージとは違い、石垣牛は赤身肉の力強いうまみが特徴だ。これまでは焼肉やステーキで食べられてきたが、繊細なだしと合わせることで新たな魅力を引き出すのが『だし秀 西麻布』の真骨頂なのだ。
この流通量の少ない肉を使った「出汁しゃぶ」(写真上)が看板メニュー。しゃぶしゃぶというと、ポン酢やゴマダレに付けて食べるのが一般的だが、同店では、だしそのものを味わうためにすでに味を調えた状態で提供される。二種の宗田節と鯖節、長崎産いりこ、焼きあご、天然日高昆布、香味野菜をじっくりと時間をかけて煮出しているので、とても濃密で均整のとれた味わいが特徴だ。
まずは肉をくぐらせる前に、だしを一口。節の華やかな香りが鼻を抜け、舌、喉、食道、そして胃と、順々に滋味深く伝っていく。
だしで胃を温めたところで、石垣牛、金武アグーを堪能しよう。だしに肉の脂が溶け出し、味にさらなる奥行きを与えてくれる。食べるごとにおいしさが増していく、珠玉のしゃぶしゃぶだ。
一緒に添えられた七種の薬味(柚子胡椒、梅おろし、とろろこんぶ、いりごま、とろろ、黒七味、ネギ)を好みで加え、素材同士の融合を楽しめばさらに食も進む。〆に雑炊はもちろんだが、だしで炊いた土鍋ご飯も捨てがたい。
カニ、カキ、牛肉など、季節替わりの具材で土鍋ご飯を味わえる。写真上は本日の土鍋ご飯から「蟹の炊き込みご飯」を。もっちりと炊きあがったコシヒカリの上にほぐしたカニの身がたっぷり乗り、ふわりと広がるだしの香りが〆にもちょうどよい。
『だし秀 西麻布』の魅力を一通り堪能するなら、料理長のおまかせコースがおすすめだ。15,000円の「特選だし秀コース」で提供される「石垣牛のおこわ だしあんかけ」(写真上)は、節の香るだしにとろみをつけたあんを、石垣牛で包んだおこわにたっぷりとかけていただく。肉のしっかりとした味をまるく調えるコクのあるだしあんのうまみと心地よさで、体が内側からじんわりと温まる。
「上にのったウニはおまけです」と料理長の山本さんは言うが、とんでもない。実はこのウニ、日本一との呼び声も高い北海道厚岸郡浜中町を拠点とする霧多布(きりたっぷ)で採れたものなのだ。天然昆布や海藻を食べて育ち、ぷりっとした身は存在感があり、甘みはぎゅっと凝縮され、それはもう絶品の一言。石垣牛の赤身にも負けない濃厚さだ。
「日本料理の基本である“だし”そのものを味わってください。和食っていいな、と再発見していただけたらうれしいです」(山本さん)
和食が2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され、世界中からも注目されたが、同時に日本人の和食離れも浮き彫りとなった。しかし、『だし秀 西麻布』自慢のだしを口にすれば、「やっぱりこれだよね」と細胞レベルで、日本人に生まれた喜びが湧きあがってくる。食べ手にやさしく語りかけるように五感に深く染みわたる癒し系の味わいをぜひ堪能してみてほしい。
【メニュー】
出汁しゃぶコース 8,000円
石垣牛出汁しゃぶコース 10,000円
特選だし秀コース 15,000円
出汁しゃぶ 石垣牛・金武アグー・お野菜 1人前4,980円~
石垣牛のおこわ だしあんかけ 2,500円
本日の土鍋ご飯(蟹の炊き込みご飯) 2,500円~
※価格はすべて税抜
だし秀 西麻布 (DASHIHIDE NISHIAZABU)[閉店]
- 電話番号
- 050-3312-6279
- 営業時間
- 17:30~23:30 (L.O. 22:30)
- 定休日
- 日曜、第一月曜
- 公式サイト
- http://dashihide.com
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。