フランス料理の代表格が勢揃い!2018年4月~12月まで「今月のフレンチレストラン Dîners Centenaire」開催
今年2018年はフランス商工会議所が開設して100周年の記念すべき年。長い年月の中で、フランスと日本は様々なつながりを育んできた。とりわけ食文化における交流の歴史は深く重要だ。そこでフランス商工会議所では100周年記念事業として「今月のフレンチレストラン Dîners Centenaire」をスタート。日本の食文化の発展に貢献したシェフたちに腕をふるっていただき、「スペシャルディナー」を提供するという企画を敢行した。
驚くなかれ、同企画では日本におけるフランス料理の代表格が勢揃い! 一般の方も参加可能なので、シェフとともにフランス料理の歴史を振り返りつつ、現在と未来を感じるおいしいひと時を過ごそうではないか。本稿では2018年4月から12月まで、合計9名のシェフにご登場いただきその詳細をレポートしていく。
第一弾は『ミシュランガイド 東京・横浜・湘南2014』で一ツ星に輝いたフランス料理の『シェ オリビエ』で開催!
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記念すべき第一弾は『シェ オリビエ』で開催された。JR中央・総武線、東京メトロ有楽町線・南北線の市ケ谷駅から徒歩5分。静かな裏通りにポッと灯がともり、温もりが漂う佇まいが印象的だ。店名(直訳すると「オリビエの家」)に表現されるように、まさにオーナーシェフ、オリビエ・オドス氏(写真下)の邸宅を訪ねるかのようだ。
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1970年にフランス・ボルドーで生まれたオリビエ氏。16歳で料理界に入り、数々のミシュラン星付きレストランで働いた後、セカンドシェフを務めていた『ラ・トゥール・ダルジャン』のシェフの推薦で、料理学校『ル・コルドン・ブルー』の教授として2000年に来日した。『ル・コルドン・ブルー』ではフランス料理を志す多くの日本人に影響を与えたのは言うまでもない。エグゼクティブシェフを歴任後、満を持して『シェ オリビエ』をオープン。2009年のことだ。
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新築中のビルに設えた『シェ オリビエ』。設計からアイデアを出したという客席は25席だ。「オープン当初は、シックなビストロを作ろうと思っていました。今年で9年目になりますが、日々発展を続けていて、徐々にビストロではなくレストランになっていったんです。でもカジュアルさは残したい。白いテーブルクロスを敷かないのは、そんな気持ちからです」(オリビエ氏)。店内に入った途端、リラックスできるのはそのせいだろうか。
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なお、「スペシャルディナー」が始まる前に、今回の企画をあたためてきたフランス商工会議所・理事ベルナール・デルマス氏(写真上・右)より、「日本におけるフランス料理」についてオープニングスピーチがあった。それは、1868年に築地のホテルで最初のフランス人シェフとなったルイ・べギュー氏から始まる壮大な物語。学び多き時間が過ぎた。
和とフレンチの見事な融合に舌鼓。唯一無二のフレンチがここに!
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和やかな雰囲気の中、美酒佳肴の宴がスタート。最初に注がれたのは、「桂月 スパークリング酒 匠(John)」(写真上)。オリビエ氏が贔屓にしている高知県の『土佐酒造』が、地元の酒米「吟の夢」を使って丹念に仕込んだ純米大吟醸のスパークリングだ。世界最大規模のワイン品評会である「IWC2016」のSAKE部門スパークリングの部で最優秀トロフィーを受賞した銘柄である。
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このスパークリングに合わせる前菜は、「~寿司仕立て~金目鯛のタルタル、平目とズワイ蟹 柚子の香り、シードルビネガーのジュレと林檎“グラニースミス”」(写真上)。金目鯛のタルタルを酢飯に見立て、ホタテはネタとして表現。ショウガと醤油を隠し味に使い、青リンゴをガリ風のアクセントに。日本を感じるひと皿ゆえ、日本酒のスパークリングを合わせ、フランスと日本の新しい融合を発見してもらおうというオリビエ氏の意図がうかがえる。
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続く白ワインは、「コート カタラーヌ キュベ ライス オリビエ ピトン 2014」(写真上)。柑橘系の香りが広がるフレッシュで軽く、料理を引き立ててくれる印象だ。「これはいつも使っているワイン。食べて飲んで、食べて飲んでのバランスがとてもいい」と、オリビエ氏お気に入りの1本。
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魚料理は、「天然ブリとオゼイユ、レモンバーベナ風味の人参、ベルモット酒のソース」(写真上)。オリビエ氏が好きなブリを、真空低温調理で仕上げ、オゼイユで包む。周囲には3種類のニンジンが散りばめられ、目の前でオフホワイトのベルモット酒がかけられる。クラシックな料理では、オゼイユはソースに入れることが多いが、オリビエ氏はブリを包んで使用。レシピを説明しながら微笑み、「ソースにしても、包んでも、口の中で合わさるのは同じでしょう」と、オリビエ氏。ちなみに、オゼイユの和名はスカンポ。酸っぱい山菜として知られる。
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その酸味とベルモット酒ソースのバターが口中で溶け合う瞬間、2つ目の白ワイン「コート カタラーヌ イグレジア ベッラ ル ロック デ ザンジュ 2013」を口に含むと……。酸味とまったりとしたソースの余韻に、ワインがやわらかく重なるではないか。ピュアでミネラル感が引き立ち、余韻がゆっくりと舌に残るこのワインとは?
「南仏のグルナッシュグリーンを使っているのでややスモーキー。余韻も長く、オゼイユの酸味、バターとすごく合います」とオリビエ氏も絶賛する。
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お待ちかねの肉料理は、「桜の燻製牛カイノミ、赤ワインソース」(写真上)。カイノミは、ヒレの近くわき腹のあたりにあり、名の通り「貝の身」のような形をしている。牛1頭から左右一対のブロックしか取れないため入手が容易ではないが、肉本来の味がピカイチ!
オリビエ氏が、リーズナブルで良質な肉を求めて探し回っていた時、千葉県産のホルスタインと和牛の掛け合わせのカイノミに出逢い、「これは!」と、お眼鏡にかなった。「食感がほどよく柔らかく、肉汁も豊富で脂の乗り方もちょうどいい。今回のイベントの趣旨を考えて、日本人が大好きな樹木、桜で燻製しました」と、オリビエ氏。
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添えられるのは、もちろん赤ワインを使ったソース・ボルドレーズ。うまみが凝縮されたカイノミにしっとりと絡むが、食べてみると思いのほかさっぱりとした味わいだ。
オリビエ氏はソースをとても大切に考えている。「私が最も大切にしているのは、ソース。クラシックな手法を大切にしながらも、軽さを意識して仕上げています」。
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さて、最後の赤ワインは、「サン-テミリオン グラン クリュ シャトー ド フェラン ル ディフェラン 2012」(写真上)。オリビエ氏は産地の隣町に住んでいたことがあり、親しみのあるワインだ。力強いけれどタンニンがそれほど残らず、少しスモーキーな余韻を楽しめる。
口直しの「リ・オ・レのエスプーマ、日本酒のソルベ “桂月 吟之夢 純米大吟醸 40”」の後は、デザートが運ばれる。
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丸くて真っ赤なひと皿が運ばれてくると、店内のあちこちで歓声が上がる。「クリスピーなチェリーと“ジヴァラ・ヴァローナチョコレート”のエスプーマとビスキュイ、ポルト酒風味のチェリー、チェリーのソースとソルベ」(写真上)。
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恐る恐るナイフを入れると、食感もさまざまな仕掛けが潜んでいた。チェリーの甘酸っぱさとカカオの濃厚な風味がとろけ合い、誰もがしばし無言になるひと時。デザートにチェリーを採用したのも、日本をよく知るシェフの心意気ではないだろうかと思い、甘酸っぱさを満喫。
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「歴史の中に先人たちのいいレシピはたくさんあります。その真髄はきちんと受け継ぎながら、発展していきたいと考えています。SNSなどが浸透していき、地球の裏側のことが瞬時にわかる今だからこそ、ニーズに敏感になりたいですね。そして常に誰かのために、喜んでいただけるように、料理で尽くしていきたい」とオリビエ氏は語ってくれた。
予約を急げ! 第二段はビストロ『ル・プティ・トノー』で開催
さて、次回・第二弾は、まるでパリの路地裏にあるような虎ノ門のビストロ『ル・プティ・トノー』にて開催。初参加はもちろん、同店に初来店の人も大歓迎で、現在予約を受付中。ぜひ、シェフが腕をふるう「スペシャルディナー」を堪能してみてはいかがだろうか?
【在日フランス商工会議所100周年特別企画】
▼詳細はこちら
https://diners-centenaire.jp/
【次回開催店舗・概要】
日程:2018年5月16日(水)ディナー
店名:ビストロ『ル・プティ・トノー』
住所:東京都港区虎の門2-1-1 商船三井ビル1F
電話:03-5545-4640
料金:8,640円(料理に合わせたワイン込み)
▼店舗ホームページ
http://www.petitonneau.com/jp/
chez Olivier
- 電話番号
- 050-5487-1412
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
- 営業時間
- ランチ 12:00~14:30
(L.O.13:00)
ディナー 17:30~22:00
(L.O.20:00)
- 定休日
- 日曜日
日曜定休日
月曜日は隔週で営業
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
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