ツルンっとした食感がたまらない!「包む」美学で魅せる本格ワンタン専門店が誕生

2018年05月21日
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ツルンっとした食感がたまらない!「包む」美学で魅せる本格ワンタン専門店が誕生
Summary
1. サブメニューになりがちなワンタンが主役!名古屋初ワンタン専門店
2. レシピは中国大連の母直伝。何度でも食べたくなる優しい味
3. 「ツンデレ」感がやみつきに!辛いモノ好きにおくる「麻辣ワンタン麺」もはずせない

夢を追い求めていざ日本へ。大好きな「ワンタン」をビジネスにする

日本におけるワンタンの立ち位置は、ラーメンのトッピングや、中国料理店のサブメニュー的で、主役として扱われることはほとんどない。それを逆手にとってスポットライトを当てたのが、『ワンタン専門店 吉翔(よししょう)』の店主、高 立江(こう りつこう)さん。中国の大連で生まれ育ち、来日して今年で8年になる。

高さんは物心ついた頃から日本に興味を抱き、高校卒業後に大連の日本語学校で日本語の基礎を習得。大連を代表するホテル「大連賓館(旧大連ヤマトホテル)」に就職し、フロントに立って日本人観光客とコミュニケーションを取るうちに、日本への憧れがより一層強くなった。夢を諦めきれず退職し、一路日本へ。
日本語学校に通ったのちに名古屋にある愛知大学へ進学し、将来を考え始めた高さんが、起業を視野に入れて真っ先に思いついたのが飲食店。当時アルバイトしていた居酒屋と、馴染みの焼鳥屋が大きく影響したという。

卒業して早速開業しようと物件探しを始めたところ、居酒屋や焼鳥屋は競合が多く、差別化しにくい業態だと思い知らされる。そんな折にふと頭に浮かんだのがワンタン屋。

実は高さんのお母様は大連でワンタン専門店を営んでいたことがあり、高さんも子供の頃に厨房で手伝っていた。名古屋にはまだワンタン専門店がなく、ツルツルとしたきしめん好きの名古屋人には絶対ウケる!と確信。“灯台下暗し”とはこのことである。

本場のワンタンを日本人好みに微調整。すると「飲んだ〆にちょうどいい」と評判に

さっそく大連に連絡してワンタン専門店の開業計画を告げたところ、お母様も大賛成。具の混ぜ方や秘伝の調味料の作り方など、事細かに伝授してくれた。スープのレシピも踏襲し、5時間以上かけて鶏ガラから取り、化学調味料などは使用しない。
幼い頃の記憶を総動員して試作を繰り返し、2017年5月、晴れてオープン。

店を構えたのは夜の帳(とばり)が下りてから活気づく、中区栄4丁目の路地裏に佇むレジャービルの一角だ。外からは一切中が見えず、重厚な扉を開くのには勇気がいるが、味さえよければ何とかなると自分に言い聞かせ、ゆるやかな船出となった。

中国人はワンタン一杯を一食分としてカウントする。特に高さんの故郷・大連がある東北地方は、皮が分厚くサイズも大きめで、一杯食べれば成人男性も満腹になるボリュームだ。

オープン当初、実家で提供していた皮をイメージして手作りしていたが、どうやら日本人にはヘビーなのだと気づく。

特注品のツルっ、モチっとした皮に変更したところ、仕事帰りの女性客、飲み屋帰りのサラリーマン、明け方に訪れる飲食店のスタッフなど、さまざまな客層の間で評判になっていった。ワンタンのなめらかな口当たりと重すぎない食後感が、軽い食事や〆の一杯にうってつけなのだろう。

雲を呑むと書いて「雲呑(ワンタン)」。その軽やかな食感と「包む」美学で人々を魅了

ワンタンの具はエビ、豚肉、牛肉と各種野菜の組み合わせで10種類ほど用意。中でも「三味えびワンタン」(写真上)は、エビと豚肉、白菜が入った最もオーソドックスなメニュー。10個入りと15個入りから選べるので、お腹の具合に合わせてセレクトしたい。

茹であげてツヤを帯びたワンタンは、ツルリと口内へ滑り込む。なるほど、雲を呑むと書いて「雲呑(ワンタン)」とはよく言ったものだ。

「包む」ことで、外との接触を断たれたさまざまな要素が、歯を入れた瞬間一気に広がる。エビの食感、豚の肉汁、そして素材のうまみや香りをピッチリ封じ込めてからの開花感が、「包む」醍醐味だと気づかされるはずだ。中国のワンタンや餃子、イタリアのラビオリ、インドのサモサなど「包む」調理法が世界各国に根付いているのにもうなずける。

半分ほど食べたところで、3年熟成の黒酢をぜひかけてみてほしい。穏やかな酸味と黒酢特有のコクが加わり、また新たな料理として楽しめる。3年熟成でモノ足りない方は、高さんに5年熟成をリクエストしよう。
ちなみにパクチーは現地にならってトッピングされているが、NGの方は事前に伝えれば大丈夫。逆にパクチー好きの方は別料金でパクチー増しも可能である。

汗ばむ辛さがたまらない。「麻辣ワンタン麺」で心身共にスッキリ!

スープワンタンがメインだが、しっかりとした食事用にワンタン麺もラインナップ。試作を重ねて出来上がった「麻辣(マーラー)ワンタン麺」(写真上)は、高さんも毎日食べるほどのいち押しメニューだ。

中国の火鍋をイメージしたスープは、唐辛子・山椒・ローリエ・陳皮(ちんぴ/みかんの皮を乾燥させたもの)など8種類のハーブやスパイスを使用。辛いものを食べるとお腹がゆるくなりがちだが、腸の調子を整える陳皮を合わせるなど、漢方の知識が活かされている。

いきなり食べ始めると、想像以上の辛さにむせる危険性があるので、ひと口スープをすすって舌になじませるといい。程度が分かったら、レンゲでワンタンとスープをすくっていよいよ実食。ヒリヒリの麻とピリピリの辣がしっかりと効いたスープと、やさしいワンタンのコントラストに、ちょっとした「ツンデレ」感を感じるはずだ。すでにこの感覚のトリコになっている人も多いという。

ストレート細麺にも麻辣のオイルがよく絡むので、啜る時はご注意を。辛さに慣れてくると、コクのあるスープも飲み干す勢いで進んでしまい、体が内側から温められて気がつけば鼻の頭や頭皮が汗ばんでいる。汗が引くときの爽快感もセットで楽しみたい。

ワンタンをアレンジしたおつまみメニューは、チョイ飲みのアテに最適

少しお酒がほしい人向けに、ワンタンのおつまみメニューもいくつか用意。

「焼きワンタン」(写真上)はひと口サイズで餃子よりも皮が薄いため、食感が軽やかでおつまみにはもってこい。黒酢をかけるとよりサッパリ食べられる。

「揚げワンタン」(写真上)は「焼きワンタン」よりもカリカリな食感が楽しめ、揚げ物と相性の良いハイボールに最適。仕事帰りに一杯ひっかけて帰りたい、またはちょっと飲み足りない時のアテにして、スープワンタンで〆て帰る…なかなかオツなフィナーレだ。

こうして名古屋におけるワンタンの地位向上を推し進めている『吉翔』だが、積極的にお客の意見を取り入れて味の調整をしたり、新商品を開発したりすることも忘れない。高さんの向上心と探究心、そして「お客様のおかげです」と何度も繰り返す明るくて謙虚な人柄も、一年足らずで多くの常連客に支持される理由なのだろう。

【メニュー】
三味えびワンタン 10個入り750円、15個入り1,050円(税込)
麻辣ワンタン麺 1,060円(税込)
焼きワンタン(6個) 500円~(税別)
揚げワンタン(6個) 450円~(税別)

ワンタン専門店 吉翔

住所
〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄4-8-3 レインボウビル1F
電話番号
052-251-3360
営業時間
18:00~翌5:00(料理L.O.翌4:30)
定休日
第1、3火曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/sg4wmas60000/
公式サイト
https://yoshishou.owst.jp

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