連載第2回:「ラーメン」をおいしそうに撮る方法 @貝節麺raik
プロカメラマン・福田栄美子が教える『SNSで料理をおいしく魅せるためのスマホ撮影術』。
第1回はお肉の撮り方を紹介しましたが、第2回は「ラーメン」がテーマ!
ロケ地は、2018年3月、杉並・方南町にオープンした『CLAM & BONITO 貝節麺raik(カイブシメン ライク)』。永福町にある人気店『Bonito Soup Noodle RAIK』の2号店というと、ラーメン好きはピンとくるかもしれませんね。
指南役のプロカメラマン福田栄美子さん(以下、福田カメラマン)と私カメラ知識ゼロの助手役ライターK(以下、助手K)は、普段は仕事でグルメ取材に出かける間柄。私助手K、最近インスタグラムを始めたものの“イマイチ”な写真しか撮れず、日々悶々…。そんな思いを抱えている人、私だけではないのでは?
そこで、プロの技を教わることができれば、SNSにアップしたグルメ写真にもっと「いいね」がもらえるはず! 福田カメラマン直伝のコツを知って、一緒にスキルアップしちゃいましょう!
プロの写真とスマホで撮る写真の違いを比較するためにも、まずはプロの機材で撮影した画像とともにお店を紹介します。そのあと、2人がそれぞれスマホで撮影した画像を並べて、違いやポイントを解説していきます!
そして、今回は『貝節麺raik』さんから、なんと無期限のご来店時特典をいただきました! ぜひ最後までご覧くださいね。
女性ひとりでも行きたくなる! 美しい盛り付けが撮影意欲を刺激する上品ラーメン
それでは、さっそく中へ入りましょう!
●福田カメラマン&助手K
「こんにちは~! 今日はよろしくお願いします!」
●福田カメラマン
「3月に開店したばかりなのに、すでに行列になるほど大人気と聞いて伺いました!」
●店主 郡山一成さん(以下、店主)
「ありがとうございます。当店のラーメンは、1号店『Bonito Soup Noodle RAIK』の月曜日メニューと同じなので、すでにこの味を知ってくださっているお客さまが多いからかもしれません。
基本のメニューは『貝節潮そば』と『貝節つけそば』で、ラーメンでよく使われる動物系のスープではなく、アサリなど貝類のうまみと鰹だしのうまみを重ねるようなイメージで、スープを完成させました」
●福田カメラマン
「スープが魚介だけのうまみだしなんですね! これは楽しみだなぁ。
さて、まずはお店ご紹介用に、プロの機材でキレイに撮影しまーす」
●貝節麺raik のみなさん
「はい、よろしくお願いします!」
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●福田カメラマン
「カウンター席と奥にテーブル席。ラーメン店には珍しいモダンで落ち着いた色調の空間だから、女性でもひとりで来やすそうですね」
●店主
「ありがとうございます。実際、女性のお客さまも多くて、カウンター席が女性で埋まることもあるんですよ。
さて、一品目『貝節潮そば』です。貝ペーストのほか、豚肩ロースと大山鶏のチャーシュー、岩のり、しいたけの素揚げなどをトッピングしています。貝ペーストをスープに溶かしながら、味の変化も楽しんでいただけます」
●福田カメラマン
「そうそう、この感じがいい。盛り付けが美しい! ラーメンの盛り付けって、わりと豪快で“勢いがある”ことが多いでしょ(笑) でも、こちらは本当に上品。こうした気遣いも女性客が多い理由なんでしょうね」
●助手K
「さすがプロの写真! 『おいしそう』と『美しさ』が、この1枚で伝わりますね」
●店主
「次は『貝節つけそば』を。香りを楽しんでいただけるようにライ麦を入れた麺で、汁そばは四角の麺、つけそばは平打ち麺を使っています。つけそばは、麺に昆布水をかけて提供しているので、まずは麺だけで味わってみてください」
●福田カメラマン
「おぉぉ、麺が蕎麦のようにキレイ。これは断然、麺推しで撮影ですね」
●助手K
「なるほど。 麺推しの構図はこう撮るのですね、美しいなあ!」
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●福田カメラマン&助手K
「では味の感想を。いただきまーす……おいしーーーい!!!」
●助手K
「…うまみたっぷりな魚介ベースのスープだから、スルっと食べられますね。こんなラーメン初めて。
汁そばは、和風アクアパッツァに麺が浮かんでいるみたい! うまみと風味が口に広がって、深みのあるおいしさ。これなら、脂が強いラーメンが苦手な人にもおすすめできますね。
さて今日は、キレイなラーメン『貝節潮そば』を、スマホで上手に撮る方法、教えてください!」
●福田カメラマン
「かしこまり!」
1.「ラーメンの全体図の撮り方」からスタート
●福田カメラマン
「よし、まずはラーメン全体を撮ってみよう。前回の肉の撮影法と同じで“何を見せたいか”考えながら撮ってね。……それにしても、今はスマホがあればチャチャッと簡単に撮れちゃうから、カメラマンとしては複雑よ(苦笑)」
●助手K
「どういうことですか?」
●福田カメラマン
「ラーメン店のメニュー用の撮影だとクオリティが求められるから、スープの温度は50℃くらい、麺の茹で加減は思いっきり硬めにしてもらって、麺が伸びないように…と準備から苦労するのよ。
それに準備ができたら、とにかくスピーディーに撮らないくちゃならない。ラーメンって大衆的な料理なのに、めちゃくちゃ繊細に扱わないといけない、カメラマン泣かせなの料理なの」
●助手K
「そんな大変な思いをされて、おいしそうな写真を撮っているんですね! 心して撮影します。
手前にあるチャーシューの大きさが伝わるように、そしてスピーディーに撮ってみました! どうでしょうか?」
△【左】助手K撮影、【右】福田カメラマン撮影
●福田カメラマン
「おっと、スピーディーはいいけど慌てすぎ(笑)。
こちらの盛り付けは、そのままで充分キレイなんだけど、ちょっとだけ整えることを忘れないように!
例えば、チャーシューの上に載っちゃった青菜を外したり、ピョンと飛び出した具材を戻したり。はみ出している具は意外と目に止まることが多いから気をつけて」
●助手K
「ちょっとの変化ですが、美人度が増しますね~」
●福田カメラマン
「でしょ! それから、手前のどんぶりのフチが邪魔して見せたい具が隠れてしまうことがあるから、俯瞰(ふかん)気味で上のほうから撮るのもポイントだね」
●助手K
「食べる時の目線よりちょっと上から、がポイントなんですね。
それにしても私、撮影している姿が猫背で不細工! 改めて見るとショックです(笑)」
△【左】助手Kと、【右】福田プロの姿勢とカメラの角度
●福田カメラマン
「あはは! 撮影する姿勢は目線の高さに影響するからね。俯瞰気味で撮りたいときは、背筋を伸ばして構えましょう(笑) 撮る姿勢も美しくね」
2.「スープ」はどう撮る?
●福田カメラマン
「次は、レンゲにすくったスープを撮影してみよう!」
●助手K
「スマホとレンゲを持って撮るのって、難しい! うーん、こんな感じですかね?」
△【左】助手K撮影、【右】福田カメラマン撮影
●福田カメラマン
「SNSでよく見る写真だけど、実は注意ポイントが多くて一気に難易度が上がるのよ。うーん…」
●助手K
「あれ? この写真、そんなにイケてないですか?」
●福田カメラマン
「まず、日本人は右利きが多いからか、レンゲが左から入った写真って、見た瞬間、無意識に違和感を抱くものなの。レンゲは右から入ったほうが自然だね。そして、スープはたっぷりすくって、少し角度をつけるとおいしそうに見えるよ。
スープをもっとおいしそうに見せたいなら、役立つのは“光”。スープに光を映し込んで撮るとグンとよくなるよ。お店の照明によっちゃうんだけど、手元にライトが当たる席ならラッキーだね!」
△【左】助手Kと、【右】福田カメラマンの姿勢とカメラの角度
●助手K
「片手で撮らないといけないのに、そんなにたくさん気にすることがあるなんて!」
●福田カメラマン
「そうなの、レンゲに入ったスープをひとりでおいしそうに撮るのは至難の業。
でもね、スマホには便利な機能があること、忘れてない!? 『タイマー機能』だよ!
撮りたいアングルを決めて、タイマーをセットしてシャッターを押すと、片手でもちょっと落ち着いて撮影ができると思うよ。動画で解説するね」
【動画をチェック!】※音声あり
1.スマホの「セルフタイマー機能」をセット
2.右手側に、スープをすくったレンゲを準備
3.左手で、スマホを持って固定
3.右手でシャッターのボタンを押したらすぐ、レンゲを持ち上げて固定
4.自動で撮影完了!
3.「麺の箸あげ」を撮る方法 これは知りたい、やってみたい!
●福田カメラマン
「さあ、最後に『麺の箸あげ』を撮るよ! この美しいラーメンのビジュアルが活きるように、撮ってみて」
△【左】助手K撮影、【右】福田カメラマン撮影
●助手K
「右利きなので、箸を右から入れることは問題ないですが…。麺はこの位すくえばいいかな」
●福田カメラマン
「あぁー、勢いよくいったね!(笑) 箸で持ち上げる麺の量が多いと、美しい盛り付けが台無しになっちゃう」
●福田カメラマン
「ガッツリ系ラーメンなら、それもアリかもしれないけど、美しい系ラーメンなら10本くらいで充分。キレイに盛り付けられた具を崩さないように、隙間からそっと持ち上げようね。そして麺をかけるのは、下になる方の箸だけ。より自然でキレイにみえるよ」
●助手K
「なるほど、そのラーメンにふさわしい麺の量とかけ方があるんですね!」
●福田カメラマン
「そして、箸の高さや角度にもポイントがあるから、バリエーションを撮って見比べてみようか」
イマイチ画像例との比較
《写真上・左》 麺が長すぎ、角度が横からすぎ
●助手K
「一見いいバランスですよね!? 減点は、どんぶりのフチでチャーシューが隠れちゃったことですか?」
●福田カメラマン
「そうだね。もう少し俯瞰すると具がよく見えるようになるね。それと、箸で持ち上げている麺が長すぎるから、箸は少し下げたほうがいい」
《同右》
●助手K
「俯瞰したことで、具はキレイに撮れましたけど…」
●福田カメラマン
「今度は麺が短すぎかな。麺を正面から捉えているけど、少し角度を下げたほうがおいしそうに見えるよ。
そして箸が右下がりなのが気持ち悪い。箸は右上がりが好印象を与えるね」
これが美しいバランス!
●福田カメラマン
「これがベストな1枚! 具はしっかり見えていて、麺と箸の角度も申し分ない」
●助手K
「麺だけでなく全体のバランスまで美しいです!!
静止したものを撮るのだって簡単じゃないのに、箸やレンゲを入れて動きをプラスした写真は大変ですね。
今日は、ラーメンの撮り方のコツ、たくさん勉強になりました。ありがとうございました!」
●福田カメラマン
「楽しかったね、次は何撮ろうか?」
めざせ! スマホですごい撮影力! 次回もお楽しみに。
【お願い】レストランは公の場です。撮影する時は、お店や周囲の方への許可や配慮を忘れずに行いましょう。
撮影・指導:福田栄美子
文:近藤由美
取材協力:CLAM & BONITO貝節麺raik
【メニュー】
貝節潮そば 800円
貝節つけそば 880円
※『貝節麺raik』より、『dressing』プレミアム読者限定のご来店時特典を特別にご用意いただきました! ご来店特典は、なんと無期限!(店主郡山さん、ありがとうございます!)
ぜひ『貝節麺raik』特典をチェックして、おいしそうな写真を撮りに行ってみましょう!
ご来店時特典は…
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