スパイスから作る本格的なカレーが流行しているなか、最近じわじわ人気の出ている「ポークビンダルー」をご存知だろうか。
ポークビンダルーはポルトガル人からインド西海岸中部・ゴア地方に伝承され、今やゴアを代表する料理として進化したカレー。豚肉を使用し、ワインビネガーなどの酢の酸味とスパイスの辛みを効かせた“すっぱ辛さ”が特徴である。多くのインド人は宗教上豚肉は食べないが、16~20世紀半ばまでの長期間ゴアがポルトガル領であった時代に、豚肉を使うカレーが生まれたという。
全てのスパイスをイチから用意すると、かなりの数のスパイスを使用することになるが、今回はあらかじめスパイスが調合されている“カレー粉”を使うことで、より手軽に調理できる方法を伝授する。
酸味、辛み、うまみが絶妙に合わさった「ポークビンダルー」は、作りたてよりも半日~1日経つと酢やスパイスが馴染んでおいしくなるので、少し置いてからいただくのがオススメだ。
■本格「ポークビンダルー」をおいしく作る、5つのポイント
【point1】肉は「豚肩ロースブロック肉」をカットして使用
豚肩ロース肉は赤身と脂身のバランスがよいので、カレーに使うとコクのあるジューシーな味わいに仕上がる。また、豚肩ロース肉の脂の甘さとスパイスとの相性が抜群だ。
【point2】豚肉を酢とスパイスでマリネしてひと晩おく
酢とスパイスを調合したマリネ液で豚肉をもみこみ一晩おくことで、スパイスの香りと酢の酸味を肉に馴染ませ、しっかりとした下味をつけることができる。
【point3】タマネギはあめ色になるまで炒める
みじん切りにしたタマネギは、あめ色になるまで中火でじっくり炒めることで甘みとうまみが凝縮し、深みのある味になる。
【point4】スパイスをオイルでじっくり炒める
シナモンスティック、クローブ、カルダモンなどのホールスパイスは、じっくりオイルで炒める。まずこれらのホールスパイスの香りをオイルに移すことで、より香り高く仕上げることができる。
【point5】スパイスパウダーは「下味用」と「煮込み用」の2回に分けて使用する
豚肉の下味用のスパイスは、肉に香りを馴染ませるために使用。煮込む工程でも煮込み用のスパイスを加えることで、スパイスの風味をしっかり感じられるカレーになる。
■ポークビンダルーの作り方
5つのポイントをおさえたら、さっそく作ってみよう!
■材料(3~4人分)
・豚肩ロース肉 … 500g
《下味用》
・[A]にんにく(すりおろし) … 3かけ
・[A]生姜(すりおろし) … 2かけ
・[A]赤ワインビネガー … 大さじ3
・[A]カレー粉 … 大さじ2
・[A]コリアンダーパウダー … 大さじ1
・[A]パプリカパウダー … 小さじ2
・[A]カイエンペッパー(もしくはチリパウダー) … 小さじ1
・[A]黒コショウ … 小さじ1/4
・ピュアオリーブオイル … 大さじ2
・タマネギ … 1個
・トマト … 1個
《ホールスパイス》
・赤唐辛子 … 1本
・シナモンスティック … 1本
・ローリエ … 1枚
・クローブ … 3粒
・カルダモン … 3粒
《煮込み用》
・[B]マスタードシード … 大さじ1
・[B]コリアンダーパウダー … 大さじ1/2
・[B]カレー粉 … 大さじ1
・[B]クミンパウダー … 小さじ1
・[B]パプリカパウダー … 小さじ1
・[B]カイエンペッパー(もしくはチリパウダー) … 小さじ1/2
・[C]トマト水煮缶 … 1/2缶(200g)
・[C]水 … 500ml
・[C]塩 … 小さじ1
・ご飯 … 適量
■作り方(調理時間:120分) ※豚肉の漬け込み時間は除く
① 豚肩ロース肉を大きめの一口サイズに切る。
② ボウルにAを混ぜ①を入れてもみ込みラップをし、冷蔵庫にひと晩おく。
③ トマトはざく切りにし、タマネギはみじん切りにする。
④ フライパンに半量のピュアオリーブオイルを引いて中火で熱し、タマネギをあめ色になるまで炒めたら(目安約40分)一旦取り出す。
⑤④のフライパンに残りのピュアオリーブオイルを引いて中火で熱し、ホールスパイスの赤唐辛子、シナモンスティック、ローリエ、クローブ、カルダモンを3分ほど炒める。
※カルダモンは包丁でつぶして中を取り出して入れる。
⑥ Bの煮込み用スパイスを加えてさらに1分ほど炒める。
⑦ ⑥に豚肩ロース肉を加え、肉の表面を焼く。
⑧ トマト、④の炒めたタマネギ、Cを加え、蓋をして時々混ぜながら中火のまま30分煮る。
⑨ 蓋を外して少しとろみがつくまでさらに20分ほど煮る。味見をして、塩気がたりなければ塩(分量外、適量)で味を調える。
⑩ ⑨を器に盛り、ご飯を添える。
「ポークビンダルー」は、スパイスの香りと酸味が効いた、一度食べたら忘れられなくなるやみつきの味だ。カレー好きならいろいろなスパイスの使い方をおさえておきたいはず。カレー粉にスパイスを足して作ると少し手軽にすることができるので、ぜひこの夏に試してみてほしい。
【レシピ制作者プロフィール】
管理栄養士・料理研究家 五十嵐ゆかり
「楽うまヘルシーな時短ごはん」をモットーに、糖質オフやグルテンフリー、減塩、発酵食品を料理にプラスしてグンとおいしくするコツなど、日々の暮らしに取り入れやすいヘルシーレシピを提案している。
フードクリエイティブファクトリーでは、食のクリエイティブディレクターとして年間500を超える食の企画をWEB媒体や食品企業に提供し、企画~レシピ開発、栄養監修までをトータルに行う。
企画、レシピ・商品開発、執筆、メディア出演、講演、イベント出演、料理教室など、多方面で活動中。 著書に『食材の栄養素を最大限に引き出す便利帖』や『発酵いらずのちぎりパン』、『塩レモンでつくる基本のおかず』など。
Twitter:https://twitter.com/igarashi_yukari
運営レシピサイト グルテンフリーLIFE:https://glutenfree-life.com/
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【調理・撮影】
フードクリエイティブファクトリー
「あなたとあなたの大切な人との暮らしをもっと穏やかで創造的に」を企業理念とする食のクリエイティブに特化した企画制作チーム。
食の企画、レシピ・商品開発、執筆、メディア出演、
イベントなどを手がけています。
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