完全会員制の「肉×牡蠣」の饗宴レポート 【肉マイスター・田辺晋太郎】
とある日……。
「世界で一番うまい牡蠣と焼肉を合わせて食べさせてくれる会員制のレストラン? 焼肉店? イベント? が存在するらしい……」
そんな情報が舞い込んできてしまっては、肉マイスターの誇りにかけていてもたってもいられず調査を開始。
関係者筋からようやくその会が行われる日程を聞き出し、あらゆる手を使いなんとか潜入取材することに成功した。今回はその時の模様をレポートしたいと思う。
人気焼肉店『にくがとう』で行われるヒミツのイベントとは?
某日、ここに来るように指定された場所は三田にある人気焼肉店『にくがとう』。
にくがとう?
ははぁ、さては出される「肉が薹(とう)」がたっている、つまり古くなった肉を出しているのか!? だとしたら、これは由々しき事態だ! 等と勝手に邪推をしていたら入り口の黒板に……
「今日出会えるお肉に感謝、肉ありがとう、にくがとう、一期肉会」
ん? 肉+ありがとう=にくがとう?
こじつけにも程がある感は拭えないが、肉のうまみを追求した赤身肉専門店と書いてある。これは好感が持てる、よし、入ってみよう。
恐る恐る入り口を開け、出迎えてくれたスタッフに名前を告げ通された部屋には何と……
「肉風呂や 至福の時間 肉と富士」
おおお! となるとさては 「肉が湯(とう)」? お風呂に肉を入れて一緒に入る新手のしゃぶしゃぶなのか!?
いやいや、湯船は見当たらない。
ますます期待と不安が入り混じりながら運ばれてきた最初の一手は……
「牡蠣と和牛のウニキャビアのせ・和牛と牡蠣の納豆」(写真上)
ではまず牡蠣と和牛の雲丹キャビア乗せから食べてみよう。そもそも肉と牡蠣が合うのか?
そこにキャビアと雲丹、よく最近は「う肉」とかいって猫も杓子も乗っけているけど、あれにはそもそも反対で、などとブツブツつぶやきながら、物は試しとばかりに口に運んでみると……
う、、、うまいじゃないか!
なんだろう、有名役者をそろえたはいいものの、ちっともまとまらない映画がよくある中、監督の演出の仕方なのかきちんとそれぞれのキャラが生かされながら調和が取れている。そんな映画を見た後のような気分だ。
続いて出されたのが「牡蠣と和牛の押し寿司」(写真上)。
出たよ、肉寿司!
なんでもいいから適当に肉とご飯を合わせりゃいいと思って安易な料理の代表例だよ。
ん? 違うぞ……。
肉はきちんと甘辛く味付けがされていて、中のシャリにも工夫がされている!
そうか、いわば牡蠣飯だ! 牡蠣のうまみを全部吸ったヨネに紫蘇でアクセントをつけながら、味のついた肉で巻いてある、これは絶対に、、、
ウマイ!!!
これはすごい、1本丸ごとお土産にしたいくらいの完成度だ。ニクいね!!
「世界一うまい」と認定された牡蠣の魅力!
次の品は「生牡蠣のマリナード」(写真上)。
これはいよいよセカウマの牡蠣の良さをメインにした品の登場といえるわけだが、そもそもセカウマとはなんぞや? となり、調べてみたところ……、
セカウマとは「世界一うまい牡蠣を創ろう! プロジェクト」の略称および、このプロジェクトに「世界一うまい」と認定された牡蠣のことを指す。オールジャパンブランド。
活牡蠣であること。セカウマ開発者=生産者、セカウマ取扱責任者=提供者、出荷後5日以内、適正配送、適正保存、生きている、美しく統一されたデザイン、ひと口サイズ、活造り、海水を活かし、開けたてそのまま、身を洗わない、等々。
12年にもおよぶ調査研究の成果を活かし「あの牡蠣の人」と呼ばれている人がプロデュースしている。
しかもこの日の牡蠣は広島の大黒神島(おおくろかみしま)産のもので、実はこの島は無人島である。それが何を意味するか。
加熱用、生食用とあるが、あれは実は生活排水が入り込んだ海水のところで養殖することにより、加熱しなければならないバクテリアなどが混入してしまい、加熱用、生食用となるんだそう。
無人島であれば一切の生活排水が混入しない、つまり安全安心な生牡蠣を食べることができるエヴィデンスになる。というわけだ!!
なるほど、ここまでこだわって初めて出せる味、これが牡蠣本来のうまみなのかと感心していたところ、またもや肉とのコラボメニューが登場。
「にくがとうの秘密のポタージュ」(写真上)。
このまったり感、、、うまみの溜池!!
和牛のエキスと牡蠣のうまみを存分に抽出した奇跡的な一杯。なんでもこの一杯のために小さな牡蠣を20粒ほども使うとか。
自分がオーナーだったら「原価かかりすぎるからやめろ!」と注意したくなる危険な味だ(笑)
あぁ、これをペットボトルに入れてずっと飲んでいたいなぁ、と余韻に浸っていたところにいよいよ焼肉らしい焼肉が登場!
単なるコラボではない! 肉と牡蠣の「うまみの波状攻撃」
上は「厚切りのハツwithタスマニア産マスタードに和えた牡蠣」。下は「厚切りの特上タンwith牡蠣のコンフィレモンマリネ」。
一緒に焼くのではなく、まずは肉だけで炭火で焼いていく。
焼きあがった厚切りハツにタスマニア産の大粒なマスタードにマリネした牡蠣をのっけてひと口で。
ハツ自体のもつ筋肉質な赤身のうまみでさっぱりとさせつつも、別のベクトルのうまみを補う牡蠣。つまり二方向からのうまみの波状攻撃にさらされていることに気づいた!
次は特上タンに牡蠣のコンフィレモンマリネを乗っけて同時にパクリと!
うおー!!
レモンマリネしていることによってまるで塩タンレモンみたいな風味はあるものの、タンのうまみとけんかしない相乗効果にただただ驚愕。
焼肉シリーズの〆はこの「カキ肉焼きロール with特製牡蠣ソース」(写真上)。
さっと焼いたイチボで牡蠣を包みながら、特製牡蠣ソースの豊潤なうまみを足して食べることでまたわかったことがある。
それが「二方向のうまみ」!
その正体はアミノ酸である。牛肉の持つイノシン酸と牡蠣の持つ遊離アミノ酸(グルタミン酸はうまみ、グリシン・アラニンは甘みをもつ)やグリコーゲンが合わさることにより、まさに
「アミノ酸に溺れる」
と、主催者のいう表現がピタリとくる。うまみの波状攻撃の秘密はそこにあったというわけだ。
攻撃は続く。
「牡蠣のセモリナ揚げ 和牛タルタルソース」(写真上)
京都の有名な作家さんが作った牡蠣を乗せるために焼かれたプレートに乗って出てきた牡蠣フライだが、ただの牡蠣フライとは一味も二味も違う。
最低限の厚さの衣が出す軽さとサクサク感、和牛のうまみを湛(たた)えたタルタルソース、そりゃ反則でしょ!? と言わんばかりの満足感。
うーん、たまらん~!
そして次はいきなりフレンチの世界が!
フレンチ出身のシェフならではの渾身の一皿と言えるこちらは、「和牛イチボのサウナロースト 牡蠣としめじのクリーム煮 マデラソース」(写真上)。
肉のアミノ酸に牡蠣の遊離アミノ酸、さらにキノコ類のもつグアニル酸というアミノ酸を乳脂肪分がまとめてしまうんですよ……。
そりゃあもう「ZARD」もびっくりなほどアミノ酸の海に泳ぎ疲れます!!
しかしですよ、まだまだ続くんです!
会員制焼肉「かきにくがとう」を食べたい人は…?
なんとここからは鍋シリーズ。
まずは牡蠣と尾花沢の雪降り和牛のしゃぶしゃぶだ。名付けて「カキ肉しゃぶロール」(写真上)!!
サーロインは5秒、牡蠣は10秒、背中まで45分な感じでいただきます!
続いては「和牛タン下と牡蠣だしでしゃぶしゃぶ」(写真上)。
あれ? 牡蠣はどこいった?だしの中に隠れてまーす!
発見!! ここにも牡蠣がいらっしゃいます。やはり牡蠣のだしは何とも言えない滋味深さを出しますね。
いよいよ、ようやく、ついに、やっと〆の登場です!
もうまさにこれぞうまみの泉、フォンテーヌ!「牡蠣とトリュフのクリームリゾット」(写真上)!!
もう万歳するしかない(笑)
そして先ほどの和牛タン下と牡蠣だしのしゃぶしゃぶのスープを使ったおじやが二個目の〆です。
正統派のうまみ爆弾!
もうなんだか頭がパニックになるほどのうまみ、つまりアミノ酸波状攻撃の前にただただ茫然、ノックアウト、白目ポカーンとなる中、最後に仕掛け人のお二人が登場!
あの牡蠣の人、ことゲンさん(写真上・左)と『にくがとう』のオーナー、G(ジー)ミウラ肉ちゃん(同・右)!
『にくがとう』で開催される、この会員制焼肉「かきにくがとう」を食べたいあなたは、もうこの二人に跪(ひざまず)くしかありません! というのは大げさですが、『にくがとう』に通い、G(ジー)ミウラ肉ちゃんと遭遇するか、あるいはネットで「セカウマ牡蠣」「あの牡蠣の人」で検索してアプローチしてみてください!
そうすればあなたもいつかこの会員制焼肉「かきにくがとう」の世界に入り込める日が来るかもしれませんよ。
以上、肉マイスター田辺晋太郎の潜入レポートでした!!
【予算】
13,000円(かきにくがとう)
焼肉にくがとう33895 田町・三田店
- 電話番号
- 03-6435-2983
- 営業時間
- 月曜~金曜 17:00~24:00(L.O.23:00)、土曜 17:00~23:00(L.O.22:00)
- 定休日
- 日曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。