名古屋観光の新定番は「夜喫茶」!? 『シヤチル』が新たな名古屋喫茶カルチャーを発信

2018年09月10日
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名古屋観光の新定番は「夜喫茶」!? 『シヤチル』が新たな名古屋喫茶カルチャーを発信
Summary
1. 一家に一軒行きつけが当たり前!? 名古屋に根付く喫茶店カルチャーを再構築する『シヤチル』
2. 名古屋名物のモーニングではなく、「夜喫茶」という新しいスタイルを発信
3. バーテンダーとシェフの共同経営だからこそ、ドリンクもフードメニューも驚きの充実ぶり

名古屋のシンボル「金の鯱(シャチホコ)」を看板に掲げて、新たなムーブメント巻き起こす!

名古屋の喫茶店カルチャーといえば「モーニング」。朝の時間帯に飲み物をオーダーすると、トーストや卵などがタダで付いてくる、この地特有のサービスだ。

各家庭に行きつけがあり、日曜日の朝には喫茶店で一家だんらんという光景も珍しくない。こうして訪れることが習慣化すると、喫茶店はただの朝食をとる場ではなく自分・家族の居場所であり、心のよりどころとなる。

名古屋生まれの安井俊介(写真上・右)さんも、幼い頃から喫茶店の存在を心に刷り込まれたひとりだ。
喫茶店好きが高じ、いつかは開業したいと夢を描いていた安井さん。東京の大学でインテリアデザインを学び、就職先では店舗デザインに携わった。

その後、夢を現実に近づけようと一念発起してロンドンへ。現地でバーテンダーとして働きながら、店舗マネジメントのいろはを習得。共通の友人を通じて知り合った山本篤志さん(同・左)と、ロンドン・名古屋間を電話で結び、 将来について語り始めたのもこの時期である。

山本さんは、肉料理専門のバルやアメリカンスタイルのハンバーガーショップなどで腕を磨き、同じく独立を目指していた。ロンドンにいる安井さんとしばしばアイデアを出し合い、安井さんの帰国後に喫茶店の共同経営へと踏み切ることに。

店舗デザインとドリンクは安井さん、フード全般は山本さんが受け持ち、2018年5月に喫茶店『シヤチル』は晴れてオープンした。

店名の『シヤチル』は名古屋の絶対的シンボル「金の鯱(シャチホコ)」へのオマージュを込めている。

鯱の“シャチ”と、リラックスを表す俗語「chill out(チルアウト)」の“チル”、はたまた動詞的な造語「シャチる」 などを組み合わせることでトリプルミーニングにおよび、耳残りが良く口ずさみやすい「シヤチル」と命名。

いずれは名古屋から全国に向けて、独自の喫茶店カルチャーを発信したいとの展望も込められている。

あえてモーニングは封印し、大人向けの「夜喫茶」をスタート

名古屋の喫茶店はモーニングだけでなく、昼にはスパゲッティやカレーライスなどの軽食を提供し、夕方には店じまいするところがほとんど。

喫茶店文化を新たな形で発信するために、既存の店からバトンを受けるイメージで夜まで営業しようと考えた。この営業スタイルならバーテンダーとシェフである、ふたりの得意分野が活かせて一挙両得である。

「ソルトビーフサンド」(写真上)は安井さんがロンドン在住時代に足繁く通った店の看板メニュー。
イメージを山本さんに伝えたところ、想像を上回る味わいに仕上がったという自慢の一品だ。塩をしっかり効かせた牛バラ肉とピクルス、マスタードを組み合わせ、塩・酸・辛みのバランスが次のひと口を呼ぶ。

ランチタイムにコーヒーや自家製レモネードなどと楽しむのももちろん良いが、これには断然ビールを合わせたい。希望があればふた口サイズにカットしてくれるので、かじってはビールを飲み、ビールを飲んではかじって…という幸せな反復運動も可能だ。

付け合わせの自家製ポテトサラダは、使っているハムも手作りで市販のポテサラとは一線を画す。塩加減も丁度よく、ライトな食後感も嬉しい。こちらもお酒のおつまみにぴったりだ。

名古屋定番フードも、『シヤチル』の手にかかれば新感覚グルメに

名古屋のパン事情を語るうえで外せないのが「小倉トースト」。
バターを塗ったトーストにつぶあんを乗せたそれは、「名古屋メシ」のひとつである。『シヤチル』では独自の解釈で、この「小倉トースト」をアレンジし「あんバタサンド」(写真上)としてリリース。

メニューを見ると「こしあん・バター・隠し味」と説明書きがある。“隠し味”が気になるところだが、まず先入観なしに食べてみると、名古屋人にはお馴染みの味。だが、ほのかにトロピカルな風味を感じる。 “隠し味”と宣言するからには教えてくれないだろうと、ダメ元で質問すると、「パイナップルです」とあっさり種明かし。

イメージしたのは「あんみつ」で、あんみつに欠かせない甘酸っぱいフルーツをいろいろ試した結果、パイナップルが採用されたそうだ。甘いものが欲しいときや、食後のデザートにも食べられるよう、ボリュームは少なめ。脳が疲れたときの糖分補給にももってこいの甘味である。

山本さんが強い意志を持ってメニューにオンリストしたのがホルモンカレー。

カレーと相性の良いチーズを組み合わせた「チーズホルモンカレー」(写真上)は山本さん肝煎りの一皿だ。

スパイシーなカレーに豚ホルモンを合わせることで、モツの風味が前面に出過ぎず、バラやロースなど他の部位では表現できない味わいに仕上げている。半熟目玉焼きとチェダーチーズが全体をマイルドにまとめ、頬張るたびに印象が変わるのも一興である。

今宵の長居は避けられない! 手の込んだ料理にカクテルまで飲める「夜喫茶」

陽が傾いたのを合図にキャンドルライトが灯されると、店内は夜喫茶目当てのお客で賑わう。
喫茶メニューと侮るなかれ。肉の達人・山本さんが手間ひまかけて作り上げるシャルキュトリーや、気の利いた小皿料理がビストロ顔負けのレベルで供される。

「シャルキュトリー」(写真上)は自家製ロースハム(写真上・左)、自家製レバームース(同・右)、イタリア産の生ハム(同・中央)を盛り合わせた山本さん渾身のひと皿。
10日間塩漬けした豚ロースを低温でボイルしスモークをかけたロースハムは、しっとりとして香り高く、喫茶店の範疇を軽く超えている。

レバームースも豊かなうまみでインパクトを与えながら、口どけはエアリーで満足度が非常に高い。

さらに、ロンドン仕込みのカクテルも夜喫茶のお楽しみ。

安井さんが慣れた手つきでシェーカーを振り、カクテルグラスに注いでくれたのは「プラムマルガリータ」(写真上)。
プラムの程よい甘酸っぱさとレバームースとの相性は格別だ。好みを伝えれば即興でオリジナルカクテルを作ってくれるので、夜喫茶を存分に楽しんでほしい。

キャッチーなネーミングから受けるイメージに反し、手間暇かけた料理とバーテンダーが腕をふるうカクテルはどれも本格的で、サブネームである『グランド喫茶』の名もうなずける。

名古屋・東京・ロンドンのエッセンスを盛り込んだという内装も、今後どんどん変化していくそうだ。
喫茶店の本拠地・名古屋で、平成最後に産声をあげた大型新人店と呼び声の高い『シヤチル』、今後も期待が高まるばかりである。


【メニュー】
ソルトビーフサンド 750円
あんバタサンド 500円
チーズホルモンカレー 1,200円
シャルキュトリー 1,400円
プラムマルガリータ 950円
コーヒー 350円
自家製レモネード 500円

※価格はすべて税別

グランド喫茶 シヤチル

住所
〒464-0850 愛知県名古屋市千種区今池1-5-9 オフィスイリヤビル1F
電話番号
052-735-3337
営業時間
11:30~23:00(L.O.)
定休日
日曜日、第2・4月曜日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/khz2j01u0000/
公式サイト
https://shachill.owst.jp/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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