予約困難の『チニャーレ エノテカ』が誕生した学芸大学で、週4日間だけオープン中
「休みの日、ふらっと飲みに行きたい時、自分が行きたい店がなかなか見つからない」
そんな東森(俊二)シェフの思いから、『チニャーレ エノテカ』誕生の地、学芸大学の小さな雑居ビルで『チニャーレ ヴィーノ エ パーネ』が静かに始まっている。
本店発祥の地となった、たった6席の小さなイタリアン。瞬く間に多くのファンが生まれ、東京で最も予約が取れないリストランテになった。
その後、2015年の11月末に、京王井の頭線神泉駅から徒歩7分の松見坂に移転、店も大きくなり、席数も3倍に増えた。だが今も、予約困難であることに変わりはない。
旬の素材が持っている本来のおいしさを、手をかけ過ぎない調理で最大限に引き出して行く。季節の豊穣(ほうじょう)をそのまま皿にしたような東森シェフの料理は、多くの食通たちを惹きつけてやまない。
自ら市場に赴(おもむ)き、徹底した目利きから生まれる料理は、肉も、魚も、野菜たちも、自然の生命力に満ちている。
市場で素材と向き合い、思いを巡らす度に、様々なアイデアが浮かんで来る。その中には、リストランテでは出せないけど、シェフ自身が食べたいものも多かった。
だったらスタンディングでもいいから、予約も取らず、懐にも優しい価格で、気軽に日常使いできる店を作ろう。
そこはつまり、東森シェフ自身がいちばん欲しかった場所だった。
コース主体の本店『チニャーレ エノテカ』より、もっと自由度が高い店。
それは、メニューの「蛤の紹興酒蒸し」に代表されるように、ジャンルにとらわれない楽しさに満ちている。もともとペルー料理であるセビーチェを出したり、新鮮な魚介の刺身を出したり、柔軟さが魅力だったシェフの料理。
だが、さすがに紹興酒は使えないし、魚醤を隠し味に空芯菜をシンプルに炒めたメニューは出せない。
でも、そんな何気ない料理こそ、ワインを飲みながら気楽につまみたい味に違いない。
「いじり倒せば、いじり倒すほど、合わせるワインは減っていく」、東森シェフの言葉通り、学芸大店の料理はどんどんワインが進む。グラス1杯から立ち寄れるし、友だちが集ったらボトルをシェアしてもいい。
『ヴィーノ エ パーネ』(ワインとパン)の名前通り、おいしいパンも店で焼き上がる。本店で人気が高い、軽く香ばしい自家製フォカッチャだ。軽い〆には、北イタリアのショートパスタや、タリヤリン(細めの平打ちパスタ)も用意されている。
本店で東森シェフを支える2人のシェフが交代で店に立つ、よりカジュアルで自由な場所。
こんな店の登場を待っていた人は、東森シェフひとりではないはずだ。
本店と同じように、その日の食材が並べられたカウンター、シェフが全国から集めた小皿たち。
この小さな空間は、飲食が我々にもたらしてくれる至福で満ちている。
【メニュー】
白和え 700円
銀杏と百合根のフリット 700円
生牡蠣(3P) 800円
三重産地蛤の紹興酒蒸し 1,400円
アマトリチャーナのタリヤリン 1,600円
ドリンク類 すべて800円
本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
Cignale VINO & PANE (チニャーレ ヴィーノ エ パーネ)
- 電話番号
- 03-6875-2882
- 営業時間
- 18:00~23:00(日曜のみ17:00~)
- 定休日
- 月曜、火曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。