食材のなかでも保存がきき比較的安価で、使い勝手がよい「ジャガイモ」。旬は主に3~5月の春と9~11月の秋の年2回ある。春に収穫、貯蔵なしで出荷されるものは“新じゃが”とよばれ、薄皮でみずみずしい。そして、冬の時期に出回るジャガイモは、収穫後に貯蔵されることでんぷんが糖分に変化して甘みが増すのが特徴だ。
普段頻繁に使う身近な食材のジャガイモ。だからこそ、料理がマンネリになりがち。「何か他に、ジャガイモを使った良いレシピはないかな」とレパートリーを求めて探す人もいるのでは。
ご存知のとおり、ジャガイモにはいくつか品種がある。品種によって特徴が異なるので、実は品種に適した調理法を施すことが、おいしく仕上がる秘訣なのだ。
そこで、品種に合わせた調理法とレパートリーを広げるレシピを紹介しよう。今回は、スーパーでもっとも手に入りやすい“メークイン”と“男爵イモ”を、「さっとゆがく」「すりおろして焼く」「煮る」の3つの調理法で紹介する。
■メークインと男爵イモを、適した調理法によって使い分けよう
メークイン(写真上)は、長い形状でデコボコも少なくなめらかなのが特徴。煮くずれしにくいので、加熱してもカットした形状を保ちたい料理(炒め物、煮物)に適している。
さっとゆがきサラダで食べるなら、品種はメークインがオススメ。
男爵イモよりもなめらかなので、千切りにしたときにシャキシャキッとした食感を楽しめる。安全に食べるために、皮が青いものや芽がでているものは使用せず、新鮮でハリがあるものをチョイスすること。
男爵イモ(写真上)は、丸い形状でデコボコがあるのが特徴。
デンプンが多く加熱するとホクホクした食感が引き出される。煮くずれしやすいため、マッシュポテトなどの潰す工程が入る料理に適している。
すりおろして使うなら、品種は男爵イモがオススメ。火を通したとき、よりホクホク、モチッとした食感を与えてくれる。
煮る調理でも、まるごと、または大きめにカットしたものをホクホクな食感に仕上げたいなら品種は男爵イモがオススメ。水からじっくり煮ることで甘みも引き出される。
ではさっそくレシピをみていこう。
■細く切るのがおいしく仕上げるポイント「ジャガイモのシャキシャキ千切りサラダ」
ジャガイモをゆがいただけで食べるのは珍しいと感じたかもしれないが、シャキシャキ食感でなかなかおいしい。レモンの酸味を効かせたオリーブオイルのドレッシングでさっぱりと食べるのがオススメだ。
おいしく仕上げるにはポイントがある。必ず新鮮なメークインを使うこと、そしてなるべく細く切ること。よりシャキシャキとした繊細な食感を楽しめる。
■材料(2人分)
・ジャガイモ(メークイン) … 1個
・イタリアンパセリ … 3枝
・[A]オリーブオイル … 大さじ1
・[A]醤油 … 大さじ1
・[A]レモン汁 … 大さじ1/2
・塩、コショウ … 適量
・粗挽き黒コショウ … 適量
■作り方(調理時間:10分)
① メークインは皮をむいて水に5分ほどさらし千切りにする。イタリアンパセリは粗みじん切りする。
《ポイント》
細い千切りにした方がおいしいため、あればスライサーでカットするとよい。
② 鍋にお湯(分量外)を沸かし①をさっと湯通しし、ザルにあげる。
③ ボウルにAを入れて混ぜ、まだ熱い状態の②、パセリを加えて塩、コショウで味を調える。
④ 器に盛り、粗挽き黒コショウをふる。
■モチモチ食感がクセになる!「おろしじゃがいもの海鮮キムチチヂミ」
ジャガイモをすりおろして入れてもちもちっとした食感に仕上げたチヂミのレシピを紹介しよう。魚介やキムチを入れてうまみたっぷり。食事にもおつまみにもオススメな1品だ。
チヂミの生地は、小麦粉に片栗粉を混ぜるが、さらにすりおろしたジャガイモをプラスすると、モチモチ感が増して食感が格段によくなる。
■材料(2人分)
・ジャガイモ(男爵イモ) … 2個
・ニラ … 1/4束
・卵 … 1個
・水 … 50ml
・小麦粉 … 大さじ6
・片栗粉 … 大さじ3
・シーフードミックス … 100g
・キムチ … 60g
・ゴマ油 … 大さじ1
<たれ>
・[A]醤油 … 大さじ2
・[A]酢 … 大さじ1
・[A]きび砂糖 … 小さじ1
■作り方(調理時間:15分)
① 男爵イモは皮をむいてすりおろす。ニラは4cm幅に切る。
② ボウルに卵を溶きほぐし、水、小麦粉、片栗粉を加えて混ぜたら、①の男爵イモとニラ、シーフードミックス、キムチを加えて混ぜる。
③ フライパンにゴマ油を引いて中火で熱し、②を6等分に分けて流し入れて片面を3分ほどこんがりと焼いたら裏返し、こんがりと焼く。
《ポイント》
フライパンに1度に入りきらないため、数回に分けて焼く。
④ 器に盛りつけ、Aを混ぜて添える。
■スープのうまみがじんわり染みた「ジャガイモがホクホクな野菜たっぷりポトフ」
ホクホクなジャガイモにスープのうまみがじんわりと染みた、野菜たっぷりポトフの作り方を紹介しよう。おいしく仕上げるポイントは、ジャガイモを水から茹でること。じっくり火を通すことで甘みを引き出すことができる。ジャガイモは煮崩れないよう、大きめに切ってほしい。
仕上げに醤油を入れると味が引き締まるうえに、うまみと香りを加えておいしさがグンとアップする。
■材料(2人分)
・ジャガイモ(男爵イモ) … 2個
・ニンジン … 1/2本
・キャベツ … 1/6個
・ブロッコリー … 4房
・ウインナーソーセージ … 4本
・水 … 800ml
・コンソメ … キューブ1個(顆粒の場合は小さじ2弱)
・醤油 … 小さじ1
・塩、コショウ … 適量
■作り方(調理時間:35分)
① 男爵イモは皮をむいて半分に切る。キャベツは半分に切る。ニンジンは皮をむいて縦4等分に切る。ブロッコリーは大きければ縦半分に切る。
② 鍋に水、コンソメ、ジャガイモ、ニンジンを入れて強火で熱し、煮立ったら弱火におとし約20分コトコトと煮る。
③ キャベツ、ブロッコリー、ソーセージを加えて更に10分煮たら醤油を加え、塩、コショウで味を調える。
「ジャガイモ」の品種に適した調理法で、さまざまな食感を楽しめるレシピを紹介した。普段よく使う定番食材だからこそ、素材の性質を知り調理すれば、料理の仕上がりがワンランクアップすること間違いなし!
いつもの定番メニュー以外のおいしい食べ方を知れば、今よりもさらにジャガイモ料理を楽しめるだろう。
▼「ジャガイモ」の関連人気レシピ
【レシピ制作者プロフィール】
管理栄養士・料理研究家 五十嵐ゆかり
「ラク早ごはん」をモットーに、共働きで忙しい家庭でも作れる、簡単時短・ヘルシーでおいしい作り置きレシピを中心に提案している。
食の企画、レシピ・商品開発、執筆、動画制作、テレビ出演、イベント出演、インフォマーシャル出演、講演、料理教室、食品企業のレシピサイト制作やホームページ制作のディレクションなど、多方面で活動中。
著書に『食材の栄養素を最大限に引き出す便利帖』や『発酵いらずのちぎりパン』、『塩レモンでつくる基本のおかず』など。
Twitter:https://twitter.com/igarashi_yukari
運営レシピサイト ラクつく:https://glutenfree-life.com/
Blog:http://lineblog.me/igarashiyukari/
【調理・撮影】
フードクリエイティブファクトリー
「あなたとあなたの大切な人との暮らしをもっと穏やかで創造的に」を企業理念とする食のクリエイティブに特化した企画制作チーム。
食の企画、レシピ・商品開発、執筆、メディア出演、
イベントなどを手がけています。
HP:http://foodcreativefactory.com/
Twitter:https://twitter.com/fcf_staff?lang=ja
Instagram:https://www.instagram.com/foodcreativefactory/