連載第3回:「ソフトクリーム」をおいしそうに撮る方法 @カフェ maison port 『Banan』(メゾンポート バナン)
プロカメラマン・福田栄美子が教える『SNSで料理をおいしく魅せるためのスマホ撮影術』。
第1回はお肉、第2回はラーメンの撮り方を紹介しましたが、今回は細長いスイーツ「ソフトクリーム」がテーマ! ロケ地は「そごう横浜店」に2018年8月にオープンしたばかりの『カフェ maison port 「バナン」』(以下『バナン』)。ハワイ好きにはお馴染みかも? ハワイ生まれのバナナソフトクリーム専門店で、日本に初上陸したヘルシースイーツで話題のお店です。
指南役のプロカメラマン福田栄美子さん(以下、福田カメラマン)と私カメラ知識ゼロの助手役ライターK(以下、助手K)は、普段は仕事でグルメ取材に出かける間柄。私助手K、インスタグラムを始めたものの“イマイチ”な写真しか撮れず、日々悶々…。そんな思いを抱えている人、私だけではないのでは?
そこで、プロの技を教わることができれば、SNSにアップしたグルメ写真にもっと「いいね」がもらえるはず! 福田カメラマン直伝のコツを知って、一緒にスキルアップしちゃいましょう!
プロの写真とスマホで撮る写真の違いを比較するためにも、まずはプロの機材で撮影した画像とともにお店を紹介します。そのあと、2人がそれぞれスマホで撮影した画像を並べて、違いやポイントを解説していきます!
盛りつけの上品かつ可愛らしさが魅力! ヘルシーなバナナソフトクリーム
それでは、さっそく中へ入りましょう!
●福田カメラマン&助手K
「こんにちは~。今日はよろしくお願いします!」
●福田カメラマン
「日本では、ここでしか味わえないバナナソフトクリームがあると伺いました!」
●店長 佐野豊さん(以下、店長)
「はい、日本に初出店となりましたハワイ生まれの「バナナソフトクリーム」専門店です。ここでお出ししているのは、ハワイで食べるのと同じソフトクリームです。そのため、僕自身ハワイの『バナン』本店に行き、創業メンバーにこのソフトクリームへのこだわりを聞くなど交流を深めてきました。
砂糖は使わずバナナやハチミツなどの自然な甘さで、乳製品は不使用。あえて糖分や脂肪分を加えていません。だからフルーツそのものを召し上がっていただく感覚で、罪悪感なく食べられる“ギルトフリー”なスイーツです。SNSで店の存在を知ってくださった方が多いようで、来店されたお客さまもスイーツと撮影を楽しんでくださっています」
●福田カメラマン
「女子に限らずこれは撮りたくなるビジュアルですね。
さて、まずお店ご紹介用に、プロの機材でキレイに撮影します!」
●「バナン」のみなさん
「よろしくお願いいたします!」
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●福田カメラマン
「デパートの1階、ビューティフロアの中央にあるスイーツ店とは、めずらしいですね」
●店長
「 “美と健康”をテーマに、約半年間かけてこのフロア全体のリニューアルがありました。『バナン』のコンセプトと合致したので、ここにオープンすることになったんです。誰もが立ち寄りやすい場所なので、男性のお客さまやリピーターさんが増えつつあって、うれしいです」
▲『バナン』にきたらぜひ試してほしいスイーツ、名物の「パパイヤボート」!
●店長
「パパイヤを器にした『パパイヤボート』です。ヘタがあるほうが正面(写真上)、キレイに見えるように盛り付けにも気を配っています」
●福田カメラマン
「これは画になりますね~! バナナソフトクリームの高さを表現しつつ、トッピングもキレイに見せる角度はココ! パパイヤボートの向きはもちろん、高さや手の位置にも注意してね。そして溶けないうちに素早く撮影」
●助手K
「おお~~、なんという美しさ! さすがはプロの早業で、ソフトクリームの螺旋模様がくっきり。それにしてもこの『パパイヤボート』、ボリュームありますね」
●店長
「おひとりで召し上がる方も結構いらっしゃいますが、ハワイアンサイズというか、たっぷり入っていますのでシェアしながら召し上がる方も多いですね。次はこちら、食べやすいカップタイプです」
●福田カメラマン
「これはテーブルに置いて、シンプルに物撮りしてみましょう。カップから飛び出すトッピングのフルーツがかわいいアクセントになりますね。2つ一緒に撮るなら、少し前後にずらして配置して、こんなバランスがいいかな」
●助手K
「単に横並びにするより、上級者な感じがします!」
●福田カメラマン
「1つずつならこんな感じ。真横から(写真上・左)と、ちょっと俯瞰(ふかん)した(同右)2パターンで撮ってみました。カメラの角度をちょっと変えてみたよ」
●助手K
「本当だ、見比べると、ほんのわずかな違いなのに印象が変わりますね。そして、さすがプロの写真! バランスとつや感が絶妙で、とってもおいしそうです」
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●福田カメラマン&助手K
「では味の感想を。いただきまーす! ん~~、おいしーーーい!!!」
●助手K
「砂糖じゃない甘みが、こんなに優しいって知りませんでした。乳製品を使っていないからか、後味はさっぱり。時々感じるハチミツの甘みと香り、トッピングのフルーツのジューシーさ……、食べるごとにちょっとずつ味が変わるから食べ飽きないです。
それでは福田さん、SNSでも話題の『バナン』で、スマホで写真を上手に撮る方法、教えてください!」
●福田カメラマン
「かしこまり!」
注文する前に場所を決める! おいしそうに撮れる時間は限られている
●福田カメラマン
「まずは場所探し。なぜなら縦長スイーツは、撮影する商品の真横に目線を持ってくることで高さを表現するから、俯瞰して撮るのと違って“背景”が写り込んでしまう。どこで撮れば余計なものが写り込まないか考えてね。そして、前回の「ラーメン」と同じで、時間との勝負! あっと言う間に溶けて形が崩れちゃうから。今回は2カ所、あらかじめ撮る場所を決めておきましょう」
●助手K
「背景に注意! は、”正対”して(被写体の真横から)撮るときのポイントですね。これまで意識したことありませんでした……」
●福田カメラマン
「1カ所目はここ! パパイヤボートは、緑の葉っぱを背景にお借りしましょう。“Bananのロゴ看板”がテーブルより上の方にあるから、看板を入れるなら手持ちが適しているね」
●福田カメラマン
「カップを置いて撮れるいい場所を発見! 2カ所目はここで、“maison port”というロゴ看板を活用してみよう」
●助手K
「どちらも背景にワンポイントあって、かわいい写真が取れそうですね」
●福田カメラマン
「準備はこれでOK! バナナアイスクリームを買いにGO!GO!」
1.器までキレイに見せたい「パパイヤボート」をどう撮る?
●福田カメラマン
「名物のパパイヤボートはこうやって作るのか~~。パパイヤ1/2個にバナナアイスクリーム、トッピングのフレッシュフルーツにキヌアパフがぎっしり! …驚いている場合じゃなかった(笑)、急いで撮るよ! 「パパイヤボート」全体を“Banan”と書かれたロゴ看板を入れつつ、手持ちで撮ってみよう」
●助手K
「手持ち! どうやって持ったらいいんだろう。いきなり難易度高いですよ!?」
△【左】助手K撮影、【右】福田カメラマン撮影
●福田カメラマン
「ロゴ看板全体は入っているけど、距離がありすぎて肝心のソフトクリームが小さくなっちゃたね。それに、入れなくていいテーブルまで入っちゃった」
●助手K
「……なんだろう、同じ場所とソフトクリームなのにこの差は!」
●福田カメラマン
「持っている人の腕と肩が中途半端に入っている。それに、片手でワイルドに掴みすぎちゃってる(笑)。手持ちする時には特に指先を美しく。『自分は手タレです』と思い込むくらい持つ人に意識してもらうとキレイに見えるよ。他にもパパイヤの向きや、パパイヤボートが斜めになっているのも残念。おいしそうに見えないね」
●助手K
「距離か… 被写体を看板のそばに寄せると、全体のバランスが整って安定感が出ますね。それに、写したいロゴ看板とバナナアイスクリーム両方が大きく見えます。こうして見比べると、「パパイヤボート」を持つ手、すごく重要ですね。主役とともに写り込むから、無意識に持つのではなく、美しく持つことが大事なんですね」
●福田カメラマン
「そうなの。手が入ると“清潔感”が落ちやすいので、例えば剥がれかけたネイルや絆創膏は生活感が出ちゃって興醒めですよ」
△助手K撮影
●助手K
「解説を聞くと、この写真とか、全然ダメですね(笑) お見せするのもお恥ずかしい」
●福田カメラマン
「大きくて豪華なスイーツを強調したかったのかもしれないけど、おいしそうに見えない(笑)。せっかく撮るんだから“おいしそう&かわいい”を前提に、持ち方やバランスを考えてね」
商品にぐっと寄って撮るなら?
△福田カメラマン撮影
●福田カメラマン
「縦に長いスイーツの特徴を生かすなら、“縦撮り”や“スクエア撮り”が適しているね。このくらい寄ると、パーツの一つひとつがはっきりして、より一層おいしそうに見えます。コーン入りの一般的なソフトクリームの場合は、商品を垂直に持ったほうがいいけど、このソフトクリームのようにかわいいトッピングがたくさんあるときは若干カメラ側に傾けて写りこませるアレンジもアリだね」
●助手K
「なるほど。それにこの画像、奥行きを感じるというか、立体感が際立っている感じがするんですが、福田さん、何かしました?」
●福田カメラマン
「みんな知ってると思ってたんだけど……。撮影するとき、スマホ画面上でピントを合わせたいところにタッチすると、そこにフォーカスが来るの。だれでも簡単にピントが合わせられるように“被写界深度”が深く設定されているから、被写体にぐっと寄りさえすれば、自然と背景はボケてこんな感じに撮れるよ」
●助手K
「そんな機能があったんですね……、私知らなかった(笑)」
2.カップ入りバナナアイスクリームで差を付けるならどう撮る?
●福田カメラマン
「次は、ロゴ入りの黄色の背景でカップタイプの撮影をしてみましょう」
●助手K
「はい! 今回はトッピングがよく見えるように、ちょっとだけ俯瞰して撮ってみました」
△【左】助手K撮影、【右】福田カメラマン撮影
●福田カメラマン
「そもそもね、カップが裏面だから! ビジュアルを大事に作られているスイーツはちゃんと前と後ろを考えて作られているから、撮り始める前にちゃんとチェックしようね(この場合、Bananのロゴが正面)。
そして、アルファベットの『m』とソフトクリームがかぶっているうえに、切り方が中途半端で文字が『Maiso』までしか入っていないのが惜しい! 入れるなら入れる、切るならもっと被写体に寄るなどしないと」
●助手K
「せっかく場所選びをして準備万端だったはずなのに……」
△福田カメラマン撮影
●福田カメラマン
「ソフトクリームを手前に置いて強調してから、アルファベットが全て入っているかをチェック。あえてカメラを斜めにして撮ってみたら、メリハリがついておしゃれな印象になるよ」
△福田カメラマンの撮影する姿勢とカメラの角度
●助手K
「撮る時の目線はもちろん、姿勢ってやっぱり大事ですね。手元だけでいい画像は撮れないってことですね」
●福田カメラマン
「背筋をのばして、自分の目線を被写体に合わせて、が基本かな。今回の場合は、腰を下ろすことで、その姿勢になります。そして、左側にぐっと寄ることでソフトクリームを強調しつつ、文字をすべて入れることができました」
カップ入りバナナアイスクリームを正面から撮るなら?
△【左】助手K撮影、【右】福田カメラマン撮影
●福田カメラマン
「同じ場所で、コンパクトに正面からも撮ったのがこれ」
●助手K
「さっきの注意点、再び! ですね」
●福田カメラマン
「ここは“maison”という文字の横にかわいく鎮座しているソフトクリームと、黄色の背景を大事にして、バランスよく入れましょう。Kさんはソフトクリームを中心に撮ってしまったんだろうけど、だったらこの背景じゃなくっても良かったし、もっとソフトクリームだけに近づいた方がいいってことになってしまう」
△福田カメラマンの撮影する姿勢とカメラの角度
●助手K
「これが基本の撮る姿勢。カメラは垂直に持ち、背筋のばしてしゃがむことで目線を垂直に合わせる! ですね」
●福田カメラマン
「画像を2種類撮ってみたけど、比較すると、最初の“斜め撮り”のほうが断然かっこいい! ぜひ挑戦してもらいたいです」
3.写したくないものが、色々と写り込んでしまう場所での対処法は、これ!
●助手K
「本当においしそうだなぁ~」
●福田カメラマン
「ちょっとちょっと! そう撮ると、私が入っちゃっているんじゃない?」
●福田カメラマン
「やっぱり。これだと後ろの人物が邪魔だね」
●助手K
「こういった席で撮影するとき、背景はどうにもできない気がするんですが……」
●福田カメラマン
「あきらめないで(笑) いい方法があるよ。不要なものが写りこんでしまう場所のときはこれ!」
●助手K
「ショッピングバッグ!」
ショッピングバッグで背景を作る。そしてこれが美しいバランス!
●福田カメラマン
「ショッピングバッグを置いて壁をつくります。ソフトクリームを中央に置いて、スクエアもしくは縦撮り。
ショッピングバッグはできればポップな色が映えやすいね。背景を作ることで人物が入るのを防げるし、よりスッキリとしたかわいい画にすることができますよ」
●助手K
「さっきの野暮ったさが一瞬で消えました。ショッピングバッグが小道具になるなんて、目からウロコです」
助手K、たくさんの教えを復唱しながら撮影
●福田カメラマン
「カメラの角度が違う。垂直に!」
●助手K
「はい!」
●福田カメラマン
「そうそう、その角度。もっと寄って」
●助手K
「はい!!」
●助手K
「撮りました! がんばりましたが、何かが足りない気もします、いかがでしょうか?」
●福田カメラマン
「2人の画像を並べてみようか」
●助手K
「まだ垂直じゃなかった!? 角度が甘いですね」
●福田カメラマン
「正対して撮るのか、ちょっと俯瞰するのかが、まだ中途半端。そしてソフトクリームが溶け始めて斜めに…時間切れって感じだね。どんどん形が崩れてしまうアイスクリーム系の撮影は素早く! が鉄則です」
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●助手K
「福田さん、教えていただいた細長いスイーツ、ソフトクリームの撮り方のコツ、今日もたくさん勉強になりました。ありがとうございました!」
●福田カメラマン
「楽しかったね、次は何撮ろうか?」
めざせ! スマホですごい撮影力! 次回もお楽しみに。
【お願い】店頭は公の場です。撮影する時は、お店に許可を得ることや周囲の方への配慮を忘れずに行いましょう。
撮影・指導:福田栄美子
文:近藤由美
取材協力:カフェ maison port 「バナン」
【メニュー】
Papaya Boat(パパイヤボート) 1,500円
Cup(カップ) オリジナル、チャンカデリック、グアバ 各926円
※価格はすべて税別
連載【スマホで料理を華やかでおいしそうに撮る方法】バックナンバー
第1話:「最高にキレイなお肉の撮り方」
第2話:「食べたくなるラーメンの撮り方」
カフェ maison port 「バナン」
- 電話番号
- 045-465-5708
(直通)
- 営業時間
- 10:00~20:00(L.O.19:45)
- 定休日
- そごう横浜店に準じる
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。