どうも、料理芸人のクック井上。です!
離乳食は餃子、死ぬ前に食べたい料理も餃子。餃子の魅力に憑りつかれて44年、どうも料理芸人のクック井上。です!
今回、ご紹介する餃子は、僕のゆかりの地である下北沢から。下北沢の空気感が好きすぎて、1999年に上京して、初めてバイトしたのも下北沢。以後、ずっと京王井の頭線沿線に住み続け、いよいよ今は下北沢近くに住んでいます。つまり、僕にとって下北沢はホームタウン!
下北沢といえば、50年以上続く老舗町中華『珉亭』を以前紹介しましたが、今回は、ニューフェイスをご紹介しちゃいます。
可愛い見た目とのギャップ萌え! 下北沢の中華料理屋『下北グレイヴィ餃子』
やってきたのは、小田急線・京王線下北沢駅北口から徒歩約5分の『下北グレイヴィ餃子』。
▲この日はあいにくの雨でしたが、餃子への期待は高まるばかり…!
店名の“グレイヴィ”は、肉汁を意味する英語“gravy”から来ています。うん、まさにそれが魅力の餃子ということなんでしょうか。店名を聞いただけで、ワクドキが止まらないでしょ?
こちら、2016年11月にオープンした、まだまだニューフェイスです。青を基調とした外観は、アメリカンな雰囲気で可愛い! と思ったら、黄色の文字が、某北欧家具店っぽいという噂もあるらしい。何しろ、独特の脱力感とおしゃれ感がたまらないのですが、その魅力は外観だけではありません。
この店内の壁画を見てください!
壁画のテーマは「餃子と女子」だそうで、餃子の皿のイラストの近くに世界各国の美女が描かれていて、センス抜群。
「コップのフチにぶらさがる某キャラクター」ならぬ、”餃子皿のフチの世界の美女さん”が、なんともフォトジェニックです! そして、どの美女も色っぽいゼ!
このおしゃれ感に誘われてか、お客さんの7割は女性客だそうで、写真を撮っていく方も多いそうですよ。
さて、ここまで読んだ方の中には、「よくありがちな、流行りの女子向け餃子か…」とお嘆きの方もいらっしゃるでしょう。確かに、こんなおしゃれなお店なので、流行りの餃子のバルのように見えますが、声を大にして「否っ!」と言わせてください。
おしゃれなイメージに反して、提供するメニューはどれも本格的で、さらには間違いない腕に裏打ちされたアイデア料理まで、間違いなしのお店。
さて、前置きが長くなりましたが、店名のグレイヴィの如く、溢れだすその魅力をご紹介するとしましょう!
肉汁ジュワ~! 春雨がいい味を演出する「肉汁焼餃子」
まずは、看板の餃子からいっちゃいましょう! 餃子だけでも6種類あるのですが、今回はスタンダードで一番人気の「肉汁焼餃子」(写真下)をチョイス。
いい香りと共に幅広な、独特なフォルムでご登場! 早速、生ビールといっただきまぁーす。
▲う~ん♪グレイヴィ~♪
「肉汁焼餃子」という名称ですが、よくある、あの噴き出すような不自然な「肉汁」ではありません。ほどよい量の肉汁が口の中でじゅわ~っと広がっていく感じ。
お肉はたっぷり、その旨味と甘みも十分に感じられるし、まさに肉々しくてジューシーだけど、全く重くないんです。さぁて、それにはある秘密があるのであーる!
餡の材料は、国産豚挽き肉・キャベツ・ネギ、味付けには、ニンニク・ショウガ・醤油・ゴマ油・鶏がらスープと、ここまでは普通なのですが、そこに、肉の重さを感じさせない役割を果たす、ある2つの食材がまぜこまれています。
それが春雨とキクラゲ。このシャープな食感を持つ2つの素材が、めちゃめちゃいい仕事をしています。肉の旨味は減らさずに、乾物である彼らが「肉汁」を調整し、得てして重くなりがちな肉感を緩和するという素敵なテクニックです。
さらに、その味を生み出す、高等テクニックが隠されていました。国産豚挽き肉は、粗挽きと細挽きの2種類を混ぜ合わせていることで、お肉の肉々しさとジューシーさを体現。
肉の挽き方だけでもない、食材の組み合わせだけでもない、味付けの妙だけでもない、それら全てが相まって、絶妙な味わいを生み出しています。
実は、僕も同じような効果を狙って、挽き方の違う肉を混ぜたり、春雨やきくらげを餃子や焼売の具として使ったりするので、とてもシンパシーを感じましたが、『下北グレイヴィ餃子』の「肉汁焼餃子」は凄いバランス! マジで極上ですよ!!(←あまりの感嘆で、エクスクラメーションマーク2個!)
この絶妙な組み合わせと配合の餡を、製麺所に特注で作ってもらっている厚めのもっちりした皮で包んでいきます。餡はぎっしり詰まっていて、1個あたり40gほど。かなり大きめですが、先にも書いた通り、全然重くありません。
この餃子を生み出した店主の岡一聖(いっせい)さんは、大学在学中から某大手中華料理チェーン店でアルバイトし、そのまま料理人のキャリアを積んだ、その道20年以上のベテラン。比較的新しいお店ですが、その味の歴史は20年以上、老舗級。
20年の経験と、肉汁そしてアイデアが詰まった餡を丁寧に丁寧に、1日300~400個も包むそうですが、包むのは、店主・一聖さんではなく、奥様である理子(あやこ)さん。お二人の出会いは、一聖さんが以前働いていた中華料理屋。そのお店で当時アルバイトをしていたのが理子さん。アルバイト時代に培ったテクニックで、テンポよく餃子を包んでいきます。
ちなみに理子さん、店主・一聖さんの13歳下だそう! で、結婚を機に独立して、お店をオープンしたんですって。わぁー、餃子を焼く鉄板よりアツい! ズルいズルい、隅に置けませんなぁー(笑)
▲ひだを多く作る包み方ではなく、端を合わせるような包み方。中国のおばちゃんたちは、こうやって包むらしい!
ここでプチ情報。お客さんの中には、欧米系の外国人観光客もよく来店するため、英語表記のメニューもご用意。そして、メニュー表だけでなく、メニュー自体もインバウンド対応。ベジタリアンやビーガンの方向けに「肉無し野菜餃子」も用意してるんだって。
これ、外国人のお友だちと食事する時に、めっちゃポイント高くないですか? 連れていきたいお店ですよね。
あっ、「肉無し野菜餃子」は外国人観光客向けメニューですが、ゴリゴリ日本人のそこのあなたもオーダーしてみてくださいね。
お肉をガッツリ食べたいならこれ! お店イチオシ「漬け込み丸鶏揚げ」
さて、先ほどもお伝えした通り、店主は、中華の道20年以上のベテラン。ゆえに『下北グレイヴィ餃子』は、本格中華メニュー&アイデア中華メニューが豊富なんです!
ここで、餃子以外のメニューも紹介しましょう。なかでもお店イチオシは「漬け込み丸鶏揚げ」(写真下)。
▲「漬け込み丸鶏揚げ」半羽分
こちらは、紹興酒や白酒(パイチュウ:中国の蒸留酒)、セロリ、ネギ、山椒、唐辛子などで2日間漬けた鶏肉を揚げたもの。
出されるときに椒塩(ジャオ イェン:花椒と塩を混ぜた調味料)も付いてきますが、しっかり下味といい香りがついているから椒塩はつけずに、そのまま味わっていただき、お好みで付ける人は付けるってぐらいがオススメ。
餃子同様、こちらもお肉がジューシーに仕上がっています。ガッツリ肉を食べたい時におすすめで、ご想像通り、お酒もめちゃ進みますよ!
そうそう、お酒で思い出しましたが、『下北グレイヴィ餃子』はお酒の種類も豊富です。ビール、ハイボール、サワー、ホッピー、焼酎、日本酒、果実酒、ワイン、紹興酒、カクテル、さらにスッポン酒などの滋養酒までそろえています。
もちろんソフトドリンクも一通りありますし、中国茶もあります。そして、麦の焼酎の「いいちこ」に限り、ボトルキープも可能です。お酒もしっかり飲める中華料理屋、これ最高なり!
また、これから宴会シーズンですが、こちらの宴会メニューがとんでもない! 2時間飲み放題、餃子や丸鶏揚げなど6品付いて、な、なんとなんと、税抜3,000円というお得さ。
どういうことですか? 味気ないチェーン店じゃないんですよ。もはや“尊い”以外に、言葉が見つからないです。
ちなみにこの宴会メニュー、バンドマンや美容師、役者さんの打ち上げによく使われているそうです。さすが下北沢!
本当に〆たい人は頼まないで! ゴマのプチプチ食感が絶妙な「黒ゴマブラックチャーハン」
さぁ、飲んだ後の〆には麺類っていうイメージですが、ぜひオススメしたいごはんものの〆飯があります。それが「黒ゴマブラックチャーハン」(写真下)。
▲山盛りに盛られています。見るからにおいしそう、いや絶対においしい!
具材は豚挽き肉・ネギ・ニラ・卵。そして炒った黒ゴマ・唐辛子・黒コショウ・醤油。くぅー、素材と味付けを聞いただけでもたまりませんが、この、お米の独特の黒さの正体は、味付けで使う甘めの味の中国醤油。色は濃いけど、塩味は強くない。
旨味と甘みが魅力のチャーハンですが、噛むたびに、プチプチはじけるのが黒ゴマ。
▲芳ばしい匂いが広がり、この笑顔!
ひと噛みひと噛み、噛むたびに心地よい歯触り、そしてゴマのいい香りがホワーッと口と鼻を包みます。色も濃いし、ガッツリメニューっぽいのに、不思議と上品な味わいなんです。
嗚呼、美味しすぎる。でもさ、これ罪作りだわ。〆飯でオーダーしたのに、ビールにも合う! だから、結局また飲んじゃう…。だから忠告しておきます。
本当に〆で頼みたいって人は、美味すぎるんで、絶対に絶対にオーダーしないでください!! はい、食べたくなったー(笑)
▲最後に、岡さんご夫婦とパシャリ!
餃子の餡に練り込まれた春雨・きくらげが、主張していないのにちゃんと存在感があって、本当に素晴らしすぎました!
芸能界でも、いなきゃ困るっていうような、名バイプレイヤーと呼ばれる、いぶし銀の俳優さん達が今話題ですが、まさにそれ。肉と肉汁という主役を引き立たせる、餃子の名バイプレイヤーが、餃子をワンランクもツーランクも上に仕上げていました。
チャーハンの黒ゴマも、主役の米を食うほどの名バイプレイヤーだし(いや、食うのはお客さんだけど。ややこしい…)、もうそれらを材料と呼びたくない。もはや、キャスト(笑)
それを操るのは、店主・岡一聖さん。じゃなく、監督であり演出家の、店主の岡一聖さん!!
下北沢は、文化の街・サブカルの街と共に、演劇の街。そんな下北沢にふさわしい中華料理&餃子店が『下北グレイヴィ餃子』と言えると思います。
まずは、餃歴20年以上の店主が作る「肉汁焼餃子」という作品をビールと共に堪能してみてください。肉汁だけじゃなく、センスも溢れちゃってますから!
そして、今回ご紹介したメニュー以外の、麻婆豆腐・酢豚・ラーメン・坦々麺・焼きそば・チャーハンなどの定番メニュー、加えて女子が喜びそうな「トマトアボカド香菜サラダ」「エビイカセロリレモンあえ」など、ありとあらゆる作品にハマってください。
再開発中の下北沢にあって、着実に下北沢の顔になりつつある『下北グレイヴィ餃子』、大大大注目です!
撮影:佐々木雅久
【メニュー】
肉汁焼餃子 6ヶ480円/3ヶ280円
漬け込み丸鶏揚げ 一羽1,480円/半羽780円
黒ゴマブラックチャーハン 880円
生ビール 480円
※価格はすべて税別
下北グレイヴィ餃子
- 電話番号
- 03-3466-1422
- 営業時間
- 18:00〜24:00(L.O.23:30)、※金・土曜は、27:00まで営業
- 定休日
- 火曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。